YOASOBI、岡村靖幸、乃木坂46、RHYMESTER、桑田佳祐……驚きの豪華コラボを満載したユーミンのアニヴァーサリー作品が登場。万歳の後は乾杯しよう!

 72年に荒井由実としてシングル“返事はいらない”でデビューした松任谷由実。その節目を祝う2022年の『ユーミン万歳~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』(オリコン史上初となる6年代連続のNo.1を記録)を引っ提げ、2023年5月から年末まで〈50th Anniversary 松任谷由実コンサートツアー The Journey〉を開催してきた彼女だが、そのフィナーレに前後するこのタイミングで届いたのが『ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』である。

松任谷由実 『ユーミン乾杯!!~50周年記念コラボベストアルバム~』 ユニバーサル(2023)

 〈コラボベスト〉とはいえ過去のコラボを集めたものではなく、ユーミンのオリジナルマルチテープを彼女の指名したアーティストたちに託し、各々の解釈に楽曲の再構築を委ねるという意味で〈コラボ〉した新録曲が並んでいるというもの。必然的にトリビュート的な色合いも濃くなるわけで、〈懐かしい未来、新しい過去〉というコンセプトに則って参加した顔ぶれは実に豪華だ。マーヴィン作法にフォーカスした岡村靖幸の“影になって”をはじめ、YOASOBIが“中央フリーウェイ”、GLIM SPANKYが“真夏の夜の夢”、くるりが“輪舞曲(ロンド)”……といった興味深い選曲で各々が過去のユーミンと〈共演〉する様はいずれも聴きどころだらけ。なかでもRHYMESTERがアフターアワーズ的に調理した“SATURDAY NIGHT ZOMBIES”、ニーナ・クラヴィッツによる浮遊リミックスの“春よ、来い”、YONCEが70年代ソウル風にデュエットした“真珠のピアス”、小室哲哉プロデュースで乃木坂46が唱歌のように披露する“守ってあげたい”など、それぞれの趣向を凝らした解釈が楽しい。

 それら8つの〈コラボ〉に加えて、大きな目玉の一曲となるのが〈桑田佳祐&松任谷由実〉名義の“Kissin’ Christmas(クリスマスだからじゃない)2023”。こちらは86年に桑田の旗振りで企画された音楽番組「メリー・クリスマス・ショー」のために作られたユーミン作詞/桑田作曲のナンバーを新録でリメイクしたもので、双方の名曲を歌い込む遊び心も含めて華やかなデュエットになっている。

 さらには、〈松任谷由実、小田和正、財津和夫〉名義による85年のコラボ・シングル“今だから”の初CD収録も嬉しいサプライズだろう(ゴー・ホトダがリマスタリングを担当)。80年代らしいオリエンタル・シンセ・ポップの歯切れの良さがいちばんモダンでフレッシュに響くかも?という時空の捻れっぷりも、まさに〈懐かしい未来、新しい過去〉。

左から、松任谷由実のベスト盤『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』(ユニバーサル)、桑田佳祐&松任谷由実のシングル“Kissin’ Christmas(クリスマスだからじゃない)2023”(タイシタ)

左から、岡村靖幸の2020年作『操』(V4)、YOASOBIの2023年作『THE BOOK 3』(ソニー)、ニーナ・クラヴィッツの2023年のシングル“Taxi Talk”(Rekids)、RHYMESTERの2023年作『Open The Window』(ビクター)、乃木坂46のニュー・シングル“Monopoly”(N46Div.)、くるりの2023年作『感覚は道標』(スピードスター)、GLIM SPANKYの2023年作『The Goldmine』(ユニバーサル)