来日を控えた伝説のファンク・バンド、ウォーの50年前の初来日公演が音盤化!
50年前にあたる74年の冬に初めて日本を訪れ、静岡、東京、大阪、神戸を巡るツアーを開催したUS西海岸の伝説的なファンク・バンド、ウォー。それから50年という節目で今年2月7〜8日にBLUE NOTE TOKYOで彼らの来日公演が開催されるのだが、そんな記念すべきタイミングを祝うべく今回バンドのアーカイヴから発掘されたのが、その74年の初来日公演の模様を収録したライヴ・アルバム『Live In Japan 1974』である。収録音源はこれまで完全に未発表だったもので、しかも来日公演の直前となる1月29日に日本先行でリリースされることとなった。
69年にカリフォルニア州ロングビーチで結成されたウォーは、もともと元アニマルズのエリック・バードンをフロントマンとしたエリック・バードン&ウォーとしてデビュー。同時代のスライ&ザ・ファミリー・ストーンと同じく多様な人種から成るメンバー編成もあってソウルやファンク、ラテン、ジャズ、ロックなど多彩なジャンルをクロスオーヴァーさせた音楽性で大きく脚光を浴びた。バードンが離れた71年には改めてウォーとしての初作『War』をリリース。71年の次作『All Day Music』を経て、72年の3作目『The World Is A Ghetto』が全米チャート首位に輝き、そこからのシングルも“The Cisco Kid”が全米2位、“The World Is A Ghetto”は全米7位とゴールド・ヒットを連発して一気にブレイクを果たしている。なお、この絶頂期にあたる72年11月のシカゴ公演で収録されたのが最初のライヴ盤『War Live』で、いわゆる全盛期メンバーの公式ライヴ音源はこれまで同作が唯一のものだった。その意味でも今回の『Live In Japan 1974』は、世界中のファンにとって貴重な音源となるわけだ。
来日公演を敢行した74年冬のウォーは、73年の4作目『Deliver The Word』も連続ヒットさせ、全米ツアーを経て30公演に及ぶ欧州ツアーを行った後のタイミングだった。当時の編成はいずれも結成時から不動だったオリジナル・メンバーで、ハワードE・スコット(ギター)、リー・オスカー(ハーモニカ)、パパ・ディー・アレン(パーカッション)、ハロルド・レイ・ブラウン(ドラムス)、BB・ディッカーソン(ベース)、チャールズ・ミラー(サックス)、そして現在もグループを率いるロニー・ジョーダン(キーボード)という7名。ブックレットに掲載されたロニーと長年のプロデューサーであるジェリー・ゴールドスタインが当時の思い出を語るインタヴューも興味深いが、もちろん注目すべきはオリジナル・メンバーによる全盛期のパフォーマンスそのものだろう。
CD 2枚組に収められたパフォーマンスは、『All Day Music』と『The World Is A Ghetto』『Deliver The Word』の収録曲を中心とした当時の定番と思しきセットで、全米8位を記録していた“Gypsy Man”や“Me And Baby Brother”といった直近のヒット・チューンも含め、当時の生々しいエナジーに満ち溢れた演奏と総勢で送るソウルフルな歌唱がライヴ音源としてたっぷり収録されている。
さらに興味深いのは、翌75年の名作『Why Can’t We Be Friends?』で世に出ることになる“So”と“Don’t Let No One Get You Down”、そして“Lotus Blossom”の3曲がいち早くライヴで披露されていることだろう。そもそも来日時に接した日本人との交流にインスピレーションを得て書かれたのがバンドにとっての代表曲のひとつ“Why Can’t We Be Friends?”だったという逸話もあるわけで、そんな意味でもバンドにとっても重要だったパフォーマンスが記録されているのだ。彼らにとって日本の観客が非常に印象深かったのであろうことは、今回のライヴ盤に“Shizuoka Chant”のトラック名で収録された、静岡・駿府会館公演におけるアンコール前後の歓声とステージとのやりとり、それらを包む会場の温かい雰囲気からもよくわかる。
単純に貴重なパフォーマンス音源の発掘というだけでなく、バンドの歴史においても極めて重要な瞬間を確認できる音源がたっぷり収録された『Live In Japan 1974』。ウォーというバンドのいまなお絶大なパワーと影響力を改めて強く感じさせられつつ、ここからいろいろ続いていきそうなアニヴァーサリー系のさまざまな展開も楽しみにしておきたい。
『Live In Japan 1974』で披露された楽曲のオリジナルを収めたウォーの代表作。
左から、71年作『All Day Music』、72年作『The World Is A Ghetto』、73年作『Deliver The Word』、75年作『Why Can’t We Be Friends?』(共にUnited Artists/Avenue)
来日情報
WAR Live at BLUE NOTE TOKYO
2025年2月7日(金)BLUE NOTE TOKYO
2025年2月8日(土)BLUE NOTE TOKYO
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/war/