凄腕のプレイヤー陣による繊細な演奏に加え、静寂、あるいは時間そのものを音として鳴らしているような音響処理も相変わらず凄い。ジャケットの如き鬱蒼と茂る森に紛れ込んだ感覚がもたらされる新作は、前作と同じく物語性の高い内容に。ピアノにハープ、フルートなどとそっと寄り添い合っては、またクラシック・ギターだけを伴ってエアリーな歌声を宙に浮かべる。単音のフレーズで構成されるソフトなレイヤーが如実に伝える、壊れ物のような世界観――そのなかで小さな心の動きを積み重ねながら、儚く、けれど確かな存在感で命の光を発する生き物たちの何と美しいことか。ヘッドフォン推奨です。