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自分でどうにかしよう

 ストリングス・アレンジがエモーションを募らせる冒頭のエレクトロニカ・ナンバー“A Silent Letter”の静謐を破り、ヘヴィーなギターが歪みを増幅させる“Anthem Of Sutra”。ヒップホップ・バンドのドラマーがロックにアプローチしたかのような“Deep ‘n’ Shallow”は、新たに加わったベースがTAMIWの新機軸となるロック・テイストを際立たせている。

 「中高生時代に聴いていた星野源さんをはじめ、おそらく僕はメンバーのなかでいちばんポップス色が強いんですけど、ヒップホップも好きだし、通っている芸大で触れるようになった現代音楽や前衛音楽、アンビエントまで、好みの振れ幅が大きい。だからこそ、TAMIWでベースを弾くのは楽しいです」(良村太一、ベース)。

 「いままでいわゆるロック・ギターらしくないことを意識的にやってきたんです。でも、近年、ふたたびロック・ギターが新鮮に響く時代が巡ってきたようにも思いますし、もともとは自分もギターヒーローがいるようなバンドをきっかけに楽器を始めた人間なので、そろそろ、自分のルーツであるロックなギターを弾いてみてもいいんじゃないかなって」(河部翔、ギター)。

 さらに“Pay Me Back!!”“3 Stupid Thieves”でオーガニックなバンド・サウンドによるレゲトンを披露する一方、ドージャ・キャット“Mooo!”に触発されたというトロピカルなベース・ミュージック“A.H.O.”、スーダン・アーカイヴスにヒントを得て、Tamikeemがみずから弾いたバイオリンのオリエンタルな旋律とエレクトロニック・ミュージックを融合した“Sudan”など、ビート・ミュージックとしての折衷性を活かした楽曲も見事に共存。Black petrolのラッパーSOMAOTAを“We are Not Friends”に、N4TURAL KILLERSでヴォーカルを務めるSHIMMYを“Run the world”にそれぞれフィーチャーするなど、オーセンティックなバンド・フォーマットに収まらない柔軟なコラボも行なった結果、TAMIWのバンド・サウンドは『future exercise』と比較すると多様性を内包してモダンにアップデートされている。

 「2023年に(創設メンバーにしてシンセ奏者の)田口智章くんが脱退したことで、バンド内で私がいちばん傷ついたんです。あまりに落ち込んで、半年くらい曲が出来なかった。いままでになかったことだったので、どうしようって焦りも大きかったんですけど、人に何かを期待するんじゃなく、自分でどうにかしようという気持ちになったんですよ」。

 そう語るTamikeemはアルバム・タイトルである『Farewell Party』に込めた想いについて言葉を続ける。

 「ただ、いろんなことが起こるなかで、徐々に客観的になっていって。自分なりに取り払っているつもりでも払拭しきれていなかったバンドに対する思い込み、人に合わせすぎてしまったり、過剰な自責思考に行きがちだったりする自分と決別したかった。前作は世界情勢も込みでシリアスに作ったんですけど、そういうことを考えるのも止めて、まず自分に向き合って、その延長線上で人のことも考えてみようと。その過程で生まれた苦しさを歌うことも自分にとって必要なことだったし、それが誰かにとっての財産になればいいなと思います。だから、マインドとしてはかなり前向きというか、ここから先、いろんな曲が生まれて、何かが始まりそうだなって」(Tamikeem)。

TAMIWの作品。
左から、2020年作『future exercise』(5square)、2022年のEP『Floating Girls』、2023年作『Fight for Innocence』(共に5square/Bigfish Sounds)

本文中に登場するアーティストの作品。
左から、N.E.R.Dの2004年作『Fly Or Die』(StarTrak/Virgin)、ドージャ・キャットの2023年作のデラックス・エディション『Scarlet 2 Claude』(Kemosabe/RCA)、スーダン・アーカイヴスの2022年作『Natural Brown Prom Queen』(Stones Throw)