NAOKIとTAISHO、それぞれのヒストリーとモーメントを振り返ってみよう!
兵庫県の尼崎で生まれ育った宮本兄弟は、それぞれの道で音楽活動をスタートしている。兄のNAOKIは中学の同級生だったYOSU-KOらと82年にCOBRAを結成、翌83年にはLAUGHIN' NOSE主宰のAAから初のシングル『BREAK OUT』を発表するも84年に脱退。その後に誘われてLAUGHIN' NOSEに加入すると、バンドは当時の〈インディーズ・ブーム〉を牽引する形で初作『PUSSY FOR SALE』(84年)から大躍進していく。そのままメジャー・デビューを果たして順調に人気を博していくが、レーベル移籍を経た89年にNAOKIはPONと共に脱退し、旧友YOSU-KOと合流して90年にCOBRAを再始動した。Oiパンクを基盤に親しみやすい楽曲を連発したCOBRAでは、折からのバンド・ブームの流れにも乗ってアルバム『Oi Oi Oi』(90年)と『CAPTAIN NIPPON』(91年)がいずれもオリコンTOP10入りのヒットを記録。武道館公演も成功させるが、91年に活動停止となってしまう。そこでNAOKIが選んだのが、実弟のTAISHOをフロントマンとするDOG FIGHTの結成だったわけだ。
そのTAISHOは83年にTHE WANDERERSを結成して活動を開始。尼崎を拠点としたバンドはAAのコンピ『Oi Of JAPAN』(85年)に参加するなど関西のパンク・シーンで活躍するも、諸事情から86年に解散。東京に移ったTAISHOは翌年にTHE WANDERERSを再始動するが、アルバム『Rough Songs』(91年)を残してふたたび解散となる。そこで兄のNAOKIに誘われて結成したのがDOG FIGHTだった。92年にいきなりメジャー・デビューから始まったこのバンドは、TAISHOの甘い声質も活かすストレートでメロディアスなロックを持ち味に、ドラムスを元COBRAのKI-YAN、ベースをKEN(現SA)が務めた4人組。2作目『STAND AND FIGHT』(93年)以降はTAISHO作詞・NAOKI作曲というコンビが確立されていき、バンド・ブームが収束した時代のなかでパンクの範疇には収まらない音楽性の幅を広げながら、“激しい雨に打たれて”や“終りなき明日へ”といった代表曲を生み出しつつ97年の解散までを駆け抜けた。
その後のNAOKIは音楽活動の休止やCOBRAへの再々加入を経て、2002年よりSAのギタリストとして現在に至るまで精力的に活動中だ。一方のTAISHOはソロやTOUGHBANDとの活動を経て、2011年に元THE WANDERERSの仲間たちとWDRSを結成。以降は難病と闘うなかで、2017年にはDOG FIGHTとしての最後のライヴも行った。この後には闘病生活を追ったドキュメンタリー番組の放送も予定されているそうで、兄弟のストーリーはまだまだ続いていく。 *出嶌孝次
左から、LAUGHIN' NOSEの編集盤『LAUGHIN' COMPLETE AA TRACKS』『LAUGHIN' COMPLETE VAP TRACKS』(共にLetsrock)、COBRAの90年作『Oi Oi Oi』(ポニーキャニオン)、DOG FIGHTの7インチ『激しい雨に打たれて/この夜の向こう』『終りなき明日へ/遙かなる鐘』(共にディスクユニオン)、WDRSの2018年作『incompiuto 未完成 ~The Wanderers History~』(AA Records)SAの2023年作『hopes』(SELECTIVE)