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TOMOO

数字ではなく音がすべて

――(笑)。最近、プロデューサーの加茂啓太郎さんが新人発掘について執筆されたnoteを読んだんです。今はSNSの数字を見てバズっているアーティストに声をかけるので、新人発掘が誰にでもできるようになってしまった、という内容なのですが、そういった状況についてはどうお考えでしょうか?

「僕は、SNSの数字などは一切気にしないですよ。まずは音源なんです。音源を聴いたあとにそのアーティストのライブに行くんですけど、ライブがよくないケースもあります。ただ、ライブは鍛錬すれば上手になるし、規模が大きくなったら見せ方もそれに順じて成長していく。とはいえ、音源の良し悪しって変えようがないんですね。僕の仕事は、そこの見極めがすべてなんです。なので、SNSアカウントのフォロワーが5人でも10人でもまったく問題ありません。

僕らもアーティストがすぐ売れるだなんて思っていませんし、時間をかけて少しずつ届けていく音楽を扱っているつもりです。いい音楽を作ることかSNSでのバズか、どちらが優先かといったら、100・0で前者の優先度が高いですね」

――音がすべて?

「音がすべてです」

――では、宣伝面で心がけていること、大事にしていることはなんですか?

「本気でバズらせようとプロモーションしているプロの方々と同じ土俵で戦って勝てるわけがないので、僕らはそうじゃないことをする必要があります。音の部分で勝負して作品を作っているので、たとえばラジオとか、とにかく音がかかるものに対するプロモーションを設立当初からずっと頑張っています。逆に、もし音源をかけて反応がなければ、それ以上どうしようもないんじゃないか、というくらいに考えているんです。

関係者の方も、ラジオとかはよく聴いていますよね。それがタイアップに繋がることも多いんです。IRORIのアーティストはアニメやドラマの主題歌など結構な数のタイアップを5年間で担当してきましたが、〈どこかで聴いた曲がすごくよくて、調べてみたらIRORIさんのアーティストでした〉という感じでお話がくるケースが多くて」

――コンペではない形なんですね。

「ヒゲダンが主題歌を担当させていただいた『コンフィデンスマンJP』のプロデューサーの方が、〈次のドラマの曲は女性アーティストにしたい〉と思ってYouTubeを検索していたら、TOMOOの曲に引っかかった、ということもありました。〈また守谷さんのところかと思って、連絡しようか迷ったんですけど〉なんて言われて(笑)。そういうプロモーションはしていないのに、感度がいい方が僕らの音楽をちゃんとキャッチしてくれているのが嬉しいですね」

――CDなどのフィジカルにこだわりはありますか? スカート作品の特殊なパッケージだったり、Kroiがシングル“Hyper”をCDだけでリリースしたりと、IRORIならではのアプローチは多いですよね。

「アルバムを大事にするアーティストばかりなので、パッケージを出さない選択肢はないんです。〈パッケージを出そう〉という方針を掲げているわけではないのに、〈LPも作りたい〉というアーティストは多いですね。みんな音楽好きなので、そうなると、やっぱりパッケージも好きで」

――守谷さんご自身もフィジカルが好きですか?

「僕ももちろんそうです。たとえば、音源がサブスクで突然聴けなくなることもあるじゃないですか。でも、フィジカルは買った人が永遠に持っていられるので、形として残しておくことの大事さは強く感じますね」

――デジタルって、なんだかんだで不確かなものですよね。

「そうですね。もちろんサブスクでなんでも聴ける時代なので、パッケージを買ってくださる方々に満足してもらえるように、デザインなどには手間をかけるようにしています」