音楽の記事が中心のMikikiですが、作家や写真家、映像作家、漫画家、演劇関係者など関わってもらう方は多種多様。そこで、音楽関係以外の表現者のみなさんが好きな音楽は?という興味からスタートさせたのが連載〈My Favorite Songs〉です。毎回、1人の選曲者が設定したテーマと、それにもとづく3曲以上の選曲を記事化。〈あの人がこの音楽を好きだったんだ〉という発見や、音楽とほかのカルチャーのクロスオーバーを楽しんでもらえたら幸いです。第14回は、ウンゲツィーファ演劇公演「8hのメビウス」深化版への出演を控える俳優の豊島晴香さんが登場。 *Mikiki編集部
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選曲によせて
4月15日〜上演されるウンゲツィーファ「8hのメビウス」はひたすらに繰り返される日々の労働など無限=∞がモチーフとなっている演劇作品。そんなモチーフにちなんで、〈あの頃、∞リピートで聴いていた曲〉を選曲してみました。
劇中で描かれる∞には徒労や閉塞感・停滞感が漂いますが、どハマりして1曲をリピートしているときには何回聴いてもたまらない感情が新鮮に湧き上がる。そんな〈今〉を感じたくてあの頃∞に聴いていた曲たちをご紹介します。
くるり “ロックンロール”
(2004年作『アンテナ』収録曲)
この曲がとんでもなく好きで、定期的に永遠に聴いていたくなるタイミングが訪れます。一つのギターフレーズを、8の字を描くようにひたすら繰り返しながら疾走する4分間。その時間に風のように立ち現れ消えていく言葉たち。人生の相棒のように、これからも何度でも聴きたい曲です。
星野源 “ステップ”
(2011年作『エピソード』収録曲)
お墓参りの曲だけどその足取りは軽やかで、ステップを踏むように死んだ人に会いにいく。この曲の中に存在する、遠くて近い人と対話する物語のような時間に身を浸したくて、飽きずに何度も何度も聴いていました。この曲と同じ『エピソード』というアルバムに入っている、火葬場での出来事を描いた“ストーブ”も心底好きな無限リピート曲です。
平賀さち枝とホームカミングス “白い光の朝に”
(2014年)
久しぶりに聴いたら、白い光がまぶしすぎて咽び泣きそうになりました。もう二度とは戻れない、あの頃のきらめきゆらめき。今の私にとってリピートするには刺激が強いようですが、これからはそっと取り出すように、大切に聴きたい。
はっぴいえんど “田舎道”
(1973年作『HAPPY END』収録曲)
大滝詠一と松本隆コンビの曲が大好き。この曲はイントロも最高なのですが、情景描写がたまりません。菜の花畑にどさっと寝っ転がった恋人の耳が、太陽の光に照らされすきとおって見えたその瞬間。曲を聴きながら脳内で結ばれる映像の鮮烈さにやられ、すぐにまたその映像を見たくなってリピートボタンを押してしまうのです。
ハンバート ハンバート “くたびれ詩人”
(2010年作『さすらい記』収録曲)
どうしようもなく寂しい気持ちに閉じこもりたくなる、そんなときってありませんか。20代のあの頃、この曲を聴きながら遠い目でひたすら窓の外を眺めていた時間が私にはありました……。
INFORMATION
ウンゲツィーファ演劇公演「8hのメビウス」深化版

特設サイト:https://ungeziefer.site/8h_mobius/
作・演出:本橋龍
出演:黒澤多生/近藤強/高澤聡美/豊島晴香/はましゃか/藤家矢麻刀/百瀬葉/山田薫
■スタッフ
脚本・演出:本橋龍
音楽:浜間空洞
美術:小駒豪
スタイリスト:カワグチコウ
照明:渡邉結衣
音響(東京公演):大嵜逸生
映像:megzo
舞台監督:黒澤多生
演出助手:はましゃか/山田薫
楽曲提供:heron
宣伝美術:一野篤
絵:樋口寛人
記録映像(東京公演):河野恭平
制作:山中美幸/山下悠
当日運営(東京公演):加藤七穂
協力:青年団/点と/レトル/Vivienne/WAM Management
主催:一般社団法人PAL(秋田公演)/ウンゲツィーファ(東京公演)
企画・制作:ウンゲツィーファ
おまえもおれも、あんたもわたしも。
メビウスの輪の最中で。
あらすじ
コミネは勤めていた「合同会社メビウス」を辞めた。アルバイトのシバタとの諍いが原因だ。
元々会話も少ない妻のサチにはバレる気配もなく、会社に行くふりをしてウーバーイーツをやりながら私人逮捕系YouTuber「ワロボロス」の動画を見ていた。
シバタもメビウスのバイトを辞めた。
50歳にして自営業をリタイアした後、メビウスのバイトは暇つぶし程度にやっていただけだった。
娘のアスナと一緒にキャンピングカーでの日本一周の旅をすることが夢だが、妻と離婚してからずっと嫌われている。
メビウス社員のサカヅキは急な人手不足に途方に暮れた。
メビウスの仕事は、帯状の長い物体を八の字巻きで巻き続ける仕事だ。
巻いたものは出荷されて、ぐちゃぐちゃになって戻ってくる。それをまた巻く。巻き続ける。
生産性もやり甲斐もない労働をやり続けて生きる人々の、世界を俯瞰する余裕もなく、
目の前にあるものを奪い合う蠱毒のような日々と、最果てで見つめる小さな光の物語。
■観劇をご検討される方へ
本作品は暴力的、性的なハラスメントを想起させる演出やセリフが一部含まれます。ご留意の上、ご鑑賞をお願いいたします。ご不安な場合は、該当箇所の台本を事前にお送りすることも可能ですのでご相談ください。
■会場
BUoY(東京都足立区千住仲町49-11)
https://buoy.or.jp/about#access
■日程(全9回公演)
2026年4月15日(水)19:00~
2026年4月16日(木)13:00~★/19:00~
2026年4月17日(金)19:00~
2026年4月18日(土)13:00~★/19:00~
2026年4月19日(日)13:00~★/19:00~
2026年4月20日(月)14:00~★
※★は上演後にアフタートークを開催
■チケット
前半(2026年4月15日~2026年4月17日)
事前決済:3,200円
当日精算:3,300円
後半(2026年4月18日~2026年4月20日)
事前決済:4,200円
当日精算:4,300円
学割(全日)
事前決済:2,500円
当日精算:2,600円
支援(全日)
事前決済のみ:8,000円
※支援チケットには〈上演台本プレゼント〉〈「8hのメビウス」秋田公演の動画配布〉の特典があります
主催:ウンゲツィーファ
■ウンゲツィーファとは
演劇作家・本橋龍を中心に活動する演劇集団。2024年で活動10周年を迎える。リアルな日常描写と幻想の世界をシームレスに行き来する演出と、何気ない台詞から人物の人生を浮かび上がらせる会話劇が魅力。いつも何かから少しズレてしまう不器用な人々の、生々しい葛藤や矛盾と、日常の隙間からにじみ出る夢想や希望を〈生活臭のする幻想〉として描く。代表作「動く物」が平成29年度北海道戯曲賞大賞を受賞し、以降も2年連続で優秀賞を受賞。「湿ったインテリア」が〈CoRich舞台芸術まつり2025〉グランプリを獲得。
■問い合わせ
メール:ungeziefer23@gmail.com
電話:070-2167-2137
公式サイト:https://ungeziefer.site/
PROFILE: 豊島晴香
俳優、ときどき脚本家。「湿ったインテリア」「旅の支度」「8hのメビウス」などウンゲツィーファの演劇作品に継続的に出演。その他の舞台出演はムニ「ことばにない」など。また映画製作ユニット〈点と〉として映画の企画・製作から宣伝・配給までをおこなう。2023年に脚本を担当し主演した映画「距ててて」がポレポレ東中野を皮切りに全国で公開。新作映画「わたのはらぞこ」は2025年8月の公開から現在に至るまで全国各地で上映が続いている。
映画「わたのはらぞこ」オフィシャルサイト:https://watanoharazoko.com/




