NHK BSのドキュメンタリー番組「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で、ドラマ「傷だらけの天使」の特集が放送される。
松嶋菜々子がナビゲーター、濱田岳が語りを担当する「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」は、ダイアナ妃の事故死、ベルリンの壁崩壊、ビートルズの来日といった、人々が固唾を飲んで見守った出来事や事件の裏にある、もう一つの物語〈アナザーストーリー〉を、関係者へのインタビューや残された映像、決定的瞬間を捉えた写真などを通して明らかにしていくマルチアングルドキュメンタリー番組だ。
2025年7月30日(水)にオンエアされる最新回は、「傷だらけの天使 ~なぜ伝説になったのか~」と題して、萩原健一が主演、水谷豊が弟分役で出演したドラマ「傷だらけの天使」の制作の舞台裏に迫る内容だ。
1974年10月から1975年3月まで放送された同作は、二人の絶妙な掛け合いと、かっこ悪さや情けなさを隠さない自由な空気をまとう若者像が支持を得たが、当初は過激な性描写で叩かれ、予算もオーバー、さらに視聴率も低迷。しかし徐々に注目を集め、高視聴率を記録した圧巻の最終話へと向かっていった。その後、ドラマは伝説と呼ばれるようになるが、果たしてそれはなぜなのか? 水谷や撮影を手掛けたカメラマン・木村大作といった関係者の証言や秘話から解き明かしていく。
今回、この特集を担当した石井大介(テレビマンユニオン)が、収録にあたって水谷に「今やっている作品もあるのに昔話をするのって嫌じゃないですか?」と尋ねると、水谷は「20代のあの時と同じことはできないし、やろうとも思わない。70代になっても今だからできることを精一杯やっている。そういう意味では当時も今も同じ。だから昔話に抵抗はありません。何でも話します。でも思い出せるかなぁ50年前ですよ……」と答えたという。
石井曰く「誤解を恐れずいえば〈どこまでも怪しく〉〈破綻しまくり〉で今では考えられないほどの〈粋〉と〈自由〉が溢れていた」という「傷天」。それを見習って、新宿のとあるバーで行なわれた水谷へのインタビューでは、映像を確認するためのモニターを現場に置かないという、現代では考えられない手法が採用された。これは、木村から「傷天」の撮影現場にはモニターを置かなかったと聞いたからだという。
現場にモニターがないことで、スタッフが一人残らず、水谷の顔を見て直接話に聞き入る。次はどんな話が出てくるのか耳をそばだてる。それが熱量になり、証言者の水谷を50年前にタイムスリップさせることに成功したそうだ。そんな貴重な証言を通して明らかになる「傷だらけの天使」の伝説の裏側に、ぜひ注目しよう。
TV INFORMATION
NHK BS「アナザーストーリーズ 運命の分岐点 傷だらけの天使 ~なぜ伝説になったのか~」
放送:2025年7月30日(水)21:15~22:00
司会:松嶋菜々子
語り:濱田岳
番組サイト:https://www.nhk.jp/p/anotherstories/ts/VWRZ1WWNYP/