THE BADDEST & Timeless=いちばんカッコよくて、永久不滅。彼を表すのに、これ以上ぴったりな言葉はないだろう。40年間、先頭を闊歩し、後進を鼓舞し続ける日本のキング・オブ・R&B――その歌とリズムはいつも、愛と歓びを伝播する!

 86年6月21日のファースト・シングル“失意のダウンタウン”リリースをふまえて、今年デビュー40周年イヤーに突入した久保田利伸。86年といえば、R&Bシンガーでは、ソランジュ、マリオ、アンダーソン・パークなどの生誕年。久保田とも共演したCrystal Kay、あの“LA・LA・LA LOVE SONG”をカヴァーしたBoAやBENIも86年生まれだ。彼らが産声を上げてからの40年間、久保田はずっと第一線で歌い続けてきた。ヴォーカルの艶やソングライティングのセンスも不変。もっとも、デビュー直後の歌声はいま聴くと青臭いし、新たなチャレンジをするなかで変化もあっただろう。が、久保田には良い意味で円熟という言葉が似合わない。こよなく愛するソウルやR&Bの最前線を常に意識し、更新されていく時代の空気を取り込んでいくことで、タイムレスかつ新しい音楽を作ってきたのだ。

久保田利伸 『THE BADDEST IV & Timeless Hits』 SME(2025)

 その40周年イヤーにちなんで新たなベスト・アルバム『THE BADDEST IV & Timeless Hits』が9月にリリースされる。お馴染み〈THE BADDEST〉シリーズの第4弾だ。初のベストとして89年に発表した第1弾『THE BADDEST』には、当時シングル・オンリーだった“TIMEシャワーに射たれて…”“CRY ON YOUR SMILE”“You were mine”などを収録。93年発表の『THE BADDEST II』には“Indigo Waltz ’93 (DEDICATE TO MICHAEL C. HOFFMAN)”“Dance If You Want It”、2002年リリースの『THE BADDEST III』には“Cymbals”や全米進出作からの曲などが並んでいた。まさに〈超最高!〉な選曲。そのスピンオフ的な企画盤も3種ほどあるが、今回の第4弾は本流のベストとなる。

 本編のDisc-1には2013年以降の主要な16曲を収録し、50代半ばからの12年間の軌跡を辿る内容となっている。Disc-2にはオールタイムの名曲から選りすぐった15曲を〈Timeless Hits〉として並べ、上で触れた楽曲群のほか、『As One』(2000年)収録曲をブラッシュアップした“the Sound of Carnival ~2025 edition~”などを収録。2020年10月には34年分の楽曲がストリーミング解禁されて、幅広い層に届くようになった久保田の音楽だが、今回のベストは40年の活動をコンパクトに伝えるダイジェストといったところだ。