DISCOGRAPHIC TOSHINOBU KUBOTA
久保田利伸を知るための12枚

久保田利伸 『SHAKE IT PARADISE』 CBS/ソニー(1986)

デビュー曲“失意のダウンタウン”を筆頭に“流星のサドル”や珠玉のバラード“Missing”など以前から存在していた曲を軸にしたファースト・アルバム。学生時代からのバンド仲間である羽田一郎との共作も多く、ここまでの歩みの集大成といった感じか。好青年なニューミュージック風の側面もあり、〈ファンキー〉というより〈ダンサブル〉な趣。

 

久保田利伸 『Such A Funky Thang!』 CBS/ソニー(1988)

同時期のシングル・ヒットは未収録ながらも初のチャート首位を獲得し、〈ファンキー〉という感覚/概念を世に広めた記念碑となる3作目。キャミオ仕事が著名なロッド・アントーンとLAで共同制作し、チャーリー・シングルトンも参加。リズミックなニュー・ジャックからスロウまで、打ち込みに肉体性を埋め込んだようなグルーヴが最高だ。

 

久保田利伸 『THE BADDEST』 CBS/ソニー(1989)

後にシリーズ化されるベスト盤の第1弾、なれど“You were mine”や“CRY ON YOUR SMILE”などのシングル曲を中心に、リミックスや新録を加えて聴き応えのある一枚に仕上げられている。サウンズ・オブ・ブラックネスを迎えて重厚に新生した“TIMEシャワーに射たれて”などミネアポリス色の濃さも熱い。ここで初のミリオンを記録。

 

久保田利伸 『BONGA WANGA』 CBS/ソニー(1990)

大物プレイヤーを大量動員したNY録音盤。異様な熱気の“大ボラof LIFE”やメイシオが主役のジャズ・ファンク、ジョージ・クリントンやブーツィーとのゴーゴー&ファンク祭り、アイラ・シーゲル参加のミッド、アフリカやジャマイカへの眼差し……とカラフルながらもコクのあるマッシヴな大傑作だ。柿崎洋一郎との共同制作もここから。

 

久保田利伸 『PARALLEL WORLD I “KUBOJAH”』 ソニー(1991)

〈PARALLEL WORLD〉シリーズの第1弾を謳い、大らかでアーシーな歌モノからチープなダンスホール、自曲のリメイクまで全編でレゲエに挑んだ野心作。都会的な“雨音”や湾岸戦争の時代を反映した“TELEPHOTO”など、繊細な美メロと声の艶が際立つ佳曲揃いだ。キャロン・ウィーラーとデュエットした“Just the 2 of Us”もここに。

 

久保田利伸 『LA・LA・LA LOVE THANG』 ソニー(1996)

件の大ヒットの勢いもあって、前年の『BUMPIN’ VOYAGE』や全米デビューから間を置かず届いた7作目。柿崎のトークボックスが快い“BODY-CATION”や初のアニソン“虹のグランドスラム”も違和感なく並び、総じて気負いのないポップさが楽しい。ブラックストリート風の“NOT TOO NICE”や名バラード“Summer Eyes”が聴きもの。

 

久保田利伸 『As One』 SME(2000)

本場っぽさ/日本らしさという安易な二元論を超え、自分らしさを束ねて文字通りのワンネスを確立した傑作。伸びやかな表題曲から柿崎とフィリップ・ウー(メイズ)が随所で彩りと翳りを加え、都会的に熟成されたグルーヴを艶めかしく聴かせる。吉田美奈子やカレン・バーノッドの関与も。ヒットした“the Sound of Carnival”を収録。

 

久保田利伸 『Time To Share』 Epic/SME(2004)

アンジー・ストーンがヴォーカル・プロデュースなどで大幅に関わり、アリ・シャヒードやバックワイルドも招いたUSでの3作目。ラリー・ゴールドも張り切るアイヴァン&カーヴィンとのコラボは特に刺激的で、カーティス・メイフィールド“Tripping Out”を用いた“Breaking Through”が麗しい。モス・デフやジャネイのレネーも参加。

 

久保田利伸 『Timeless Fly』 SME(2010)

先行シングルでコラボしたKREVAやMISIAをはじめ、WISEとTarantulaらとの新鮮な手合わせを多数含んだ11作目。アルB・シュア!使いの“24/7 ~NITE AND DAY~”やマイケル・ジャクソンに捧げた“STAR LIGHT”がある一方、UTAやALI-KICKをアレンジャーに迎えるなど時代を縦横無尽に行き交う奔放なセンスが光る。

 

久保田利伸 『PARALLEL WORLD II KUBOSSA』 SME(2013)

並行世界シリーズの第2弾は、“Adeus Meü Amor”(92年)あたりから導入されてきたボサノヴァに取り組んだ一枚。オリジナルからシリーズを繋ぐ自曲“雨音”の再演、アイズレーズやスタンダードのカヴァーまで全編をKUBOSSAマナーで聴かせ、川口大輔や伊藤ゴロー、ダニエル・ジョビンらが翳りのある歌声をシンプルに支えている。

 

久保田利伸 『L.O.K』 SME(2015)

〈Lots Of Kisses〉として感謝をテーマとした軽やかな痛快作。柿崎と森大輔がアレンジを分け合い、いつもよりシンプルで小気味良い意匠で流麗な歌いっぷりを際立たせる。AKLOを迎えた“Cosmic Ride”やシックな“Upside Down”などブギーな時流も踏まえたアップが目立ち、〈黒い夜〉オマージュの“Free Style”もいい感じだ。

 

久保田利伸 『Beautiful People』 SME(2019)

〈人間賛歌〉〈女性賛歌〉をテーマにしたという現時点での最新オリジナル・アルバム。Ryosuke “Dr. R” Sakaiと手合わせしたタイムレスなファンク“JAM fo’ freedom”を筆頭に、アフロビーツからミネアポリス風味まで多種多様なスタイルを自在に繰り出して伝統も流行も見事に折衷。風格を備えつつ瑞々しい歌声のしなやかさも凄い。

OTHERDISCOGRAPHIC
ALBUM
GROOVIN’(1987)
Neptune(1992)
BUMPIN’ VOYAGE(1995)
United Flow(2002)
FOR REAL?(2006)
Gold Skool(2011)

U.S. ALBUM
Sunshine, Moonlight(1995)
Nothing But Your Love(2000)

BEST ALBUM
the BADDEST II(1993)
THE BADDEST 〜Only for lovers in the mood~(2002)
THE BADDEST III(2002)
LOVE & RAIN 〜LOVE SONGS〜(2010)
THE BADDEST 〜Hit Parade〜(2011)
THE BADDEST 〜Collaboration〜(2016)

LIVE ALBUM
3周まわって素でLive! ~THE HOUSE PARTY!~(2017)