スティングの来日ツアーが9月12日の兵庫公演よりスタートした。ザ・ポリス以来となるトリオ編成でのパフォーマンスも話題となっている今回のツアーでは、ザ・ポリス時代の名曲群はもちろん、新たなバンドでの最新曲も披露されている。そんな待望のジャパンツアーより初日の公式レポートとライブ写真が到着した。 *Mikiki編集部
73歳の鍛え抜かれた身体から生み出される雄々しき歌唱
ザ・ポリスで世界的な成功を収め、1985年のソロデビューから40周年を迎えるスティング。2年ぶりとなる来日公演〈STING 3.0 JAPAN TOUR 2025〉が、今年4月にオープンした神戸の新しいアリーナ、GLION ARENA KOBEからスタートした。今回のツアーはザ・ポリス以来となるトリオ編成の新グループでの来日となり、メンバーは長年に渡ってスティングをサポートしてきたギタリストのドミニク・ミラーと、ドラマーのクリス・マースが務めている。



開演前からアリーナ全体に期待感が充満するなか、大歓声に迎えられてライブは“Message In A Bottle”から幕開けた。ベースを抱えて悠然と上手から登場したスティングは「1、2、3」と力強くカウントして歌い出す。曲中で「KOBE!」と声をかけると観客の熱気は一気に上昇し、アリーナの隅々までパワフルなロングトーンを響き渡らせる。2曲目には早くもソロの最新曲となる“I Wrote Your Name (Upon My Heart)”が披露される。ボ・ディドリーを思わせるロックンロール回帰的なナンバーで、雄々しきスティングの歌唱と共にダイナミズムあるグルーヴを生み出していた。
“Englishman In New York”では冒頭から観客に向けてコール&レスポンスやクラップを促し、〈Be yourself no matter what they say(自分らしくあれ)〉というメッセージをリフレインで強く印象付ける。
スティングはスタンドマイクは置かず、ヘッドセットタイプのマイクを使用しており、アリーナ全体を見渡すようにステージ上を移動する。Tシャツと黒のスリムパンツというシンプルな装いだが、古希を超えても贅肉のない鍛えられた身体で、そのたたづまいのなんと格好いいことか。歌い終わるとおだやかな笑みを浮かべて、「お~きに」と関西風の挨拶をする場面も見られた。時々両手を大きく広げ、自らクラップしたり、スキャットで掛け合ったりしてオーディエンスとの距離を縮めていく。


中盤にはクリーントーンのギターが引きたつ“Fields Of Gold”の美メロと芳醇さにあらためて酔いしれる。スリリングな展開で大きな歓声が上がっていた“Never Coming Home”、一方で“Mad about You”“Wrapped Around Your Finger”といったミディアムからスローテンポの曲ではゆったりと浸らせる。