バレーヌの思想や活動をふまえて、かつ〈紅河〉が雲南からハノイを流れるベトナムの川だと知った時はベトナム戦争の関連か思い浮かべた。しかし確認したら第二次大戦後フランス領だったベトナムがそのフランスに抵抗したインドシナ戦争の頃の作品。サウンドは即物的でメシアンの“トゥーランガリラ交響曲”を彷彿とさせる。しかし一斉に鳴らす大音量場面は少なく、マリンバや弦・管楽器が音色の変化を巧みに表現する。交響曲第2番はタイトルは〈戦争〉だがカラフルな弦や軽やかな木管が滅法明るく面白い。怖いくらいの明るさはショスタコーヴィチの交響曲9番の皮肉の表現ようだ。
クリスティアン・マチェラル&フランス国立管弦楽団(Cristian Măcelaru & Orchestre National De France)『エルサ・バレーヌ:交響曲第1&2番、紅河、ツィガーヌ』マリンバや弦・管楽器で音色の変化を巧みに表現