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プロモ用に制作した金沢明子の7インチ盤

――『Tinsagu Nu Hana』と同日には金沢さんの“秋田大黒舞”“秋田音頭”のレゲエミックスを収めた7インチ盤も発売されますが、こちらはどういった経緯でリリースすることになったのですか?

「先ほど少し触れた『金沢明子 HOUSE MIX I』を1991年にリリースしたとき、プロモーション用に7インチ盤を作りたいとビクターにお願いしたらOKが出て、その2曲を収録した100枚ぐらい非売品の7インチホワイト盤を作ったんです。だけど、当時自分が上手く人づてにプロモーションできなくて、在庫がデッドストックとして手元に残ってしまいました。

パンデミックの最中にOmodakaでオンラインライブをやったんですけど、その宣伝材料として、90年代に作ったステッカーを買ってくれた人にはその7インチが付いてくるという形で物販を行ったんです。それで抱えていた在庫は捌けたんですけど、昨年とある販売店の方から〈プロモーション盤はまだありますか?〉と問い合わせを受けまして。もう手元にはないとお伝えしたら、再発するのはどうかという話になりました。そこからレコード会社の方にライセンスしてもらえるようお願いして、今回のリリースに至った感じです」

2020年12月に行った配信ライブ〈合成的な性質〉の合成の様子を捉えた映像

――当時はどのような状況でリミックス作業をしていたんですか?

「『金沢明子 HOUSE MIX I』は、自分だけでなく他にも数名のリミキサーがいて、金沢さんの歌をそれぞれが分担してリミックスするという制作の仕方でした。アレンジャーだけでも4、5人くらいいたと思います。金沢さんの⺠謡を純邦楽の演奏家による伴奏でパートごとに一発録りして、さらにその歌や楽器をパートごとにDATテープに入れて各リミキサーに渡す。そして各々がそれを編集したり、いろんな音をくっつけて楽曲を完成させるというやり方でした」

――寺田さんはそこでレゲエにアレンジしたんですね。

「1人2曲という振り分けだったんですけど、僕はたくさん曲をリミックスしたくて勝手に何曲も作っていた記憶があります。レゲエもあったし、グラウンドビート的なものやハウスみたいなトラックも作りました。当時もプロモーション盤に収録した2曲なので、改めて製品盤として7インチでリリースされるのは感慨深いですね」

 

新作はデコトラのようなアルバム

――ここ数年クラブ界隈の現場では、世界的に見ても90年代のハウスミュージックに回帰しているように感じます。寺田さんは海外でライブを行うことも多いと思いますが、どんなことを意識してプレイしていますか?

「国というよりは、オーガナイズされたパーティーによって雰囲気が違うので、ハウスやテクノに溢れる夜になることもあるし、テンポが大幅に動くような雰囲気になるときもあります。僕の主観としては、イベント中ずっとハウスやテクノだけがかかっているというより、全体的により自由になっているような状況で、それにつられて自由な気持ちで演奏することを心がけています。またその感じが自分にフィードバックされて、曲作りに影響することもありますね」

――レゲエもハウスもルーツのある音楽ですが、それらを民謡と掛け合わせることで人々にどんなことを伝えたいのでしょうか?

「それがね、特にないんです(笑)。理念や信念がないというか、僕の場合は好奇心だけなんですよ。⺠謡という音楽が人間だとしたら、自分の妄想の中でその人間にいろんな衣装とかを着せてデコるような感じ。例えば、もしその⺠謡がトラックだとしたら、いろんなパーツや装飾をつけてデコトラにするとか、多分そういう感覚に近いと思います。

『Tinsagu Nu Hana』も、ここ数年自分がデコった作品をまとめたものという感じです。自分が思う⺠謡の着せ替え人形……いや、やっぱりデコトラですね(笑)。デコトラ大集合のようなアルバムを皆さんにぜひ聴いてみて欲しいです」

 


RELEASE INFORMATION

Omodaka 『Tinsagu Nu Hana』 Far East(2026)

リリース日: 2026年3月25日(水)
品番:FER06950
価格:1,650円(税込)

TRACKILIST
1. Ina Bushi (2026 Mix)/伊那節
2. Dodarebachi (2026 Mix)/ドダレバチ
3. Donpan Bushi (2026 Mix)/どんぱん節
4. Mamurogawa Ondo (2026 Mix)/真室川音頭
5. Tinsagu Nu Hana/てぃんさぐぬ花
6. Yosakoi Bushi (2026 Mix)/よさこい節
7. Owase Bushi (2026 Mix)/尾鷲節
8. Hokkai Bon Uta (2026 Mix)/北海盆唄
9. Gujoh Bushi (2026 Mix)/郡上節
10. Bisraam (2026 Mix)/ビスラーム
11. Lumbini/るんびに
12. Mogamigawa Funauta (2026 Mix)/最上川舟唄
13. Oedo Nihonbashi (2026 Mix)/お江戸日本橋
14. Kyoteizinc (2026 Mix)/競艇甚句
15. Hohai Bushi (2026 Mix)/ホーハイ節
16. Cantata no147 (2026 Mix)/万舟のカンタータ
17. Tawaratsumi Uta (2026 Mix)/南部俵積み唄
18. Fortunate 1mark (2026 Mix)/運命の1マーク
19. BWV 1007/無伴奏チェロ組曲第1番

Produced by Omodaka
Vocals by Akiko Kanazawa
Music, Words & Performed by Soichi Terada
Except 09.CZ-5000 by Satoshi & Makoto
16.19.Music by J.S.Bach
Mastered by Stefan Betke (Scape Mastering)
Art Direction & Design by Kentaro Fujimoto

 

金沢明子 『秋田大黒舞/秋田音頭』 ビクター/ローソンエンタテインメント(2026)

リリース日:2026年3月25日(水)
品番:NKS-779
価格:2,420円(税込)
仕様:7インチシングルレコード

TRACKILIST
Side A
1. 秋田大黒舞

Side B
2. 秋田音頭

編曲:寺田創一(Far East Recording)