OPUS OF THE YEAR 2015
[特集]2015年の100枚+
ゆく年くる年。ゆく音くる音。ゆきゆきて音楽――2015年もいい作品は山ほどあった!という毎度の感慨と共に素敵な新年を迎えたいものです。でも、まだ安心し……ないでください、ここで紹介する作品を聴かずして、新しい年はやって来ないですよ!
★Pt.1 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 1⇒25
★Pt.2 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 26⇒50
★Pt.3 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 51⇒75
★Pt.4 【ディスクガイド】bounceの選ぶ2015年の100枚 76⇒100
★Pt.5 改めて、2015年ってどうだった? bounce編集部スタッフによる座談会
★Pt.6 結婚、脱退、再結成、解散、訃報……2015年の音楽ニュース総まとめ!
★Pt.7 座談会からこぼれた2015年のトピックをより詳細に解説!
GOOD RECYCLER
1. 『We Love Disney』(Verve)
2. BOB DYLAN 『Shadows In The Night』(Columbia)
3. 原田知世 『恋愛小説』(ユニバーサル)
4. 『Round Nina: A Tribute To Nina Simone』(Verve)
5. RYAN ADAMS 『1989』(Pax AM)
6. MURO 『Super Animated Breaks & SFX~30 Years and still counting~』(コロムビア)
7. MINMI 『新MINMI☆FRIENDS~"BAD""MINMI"というネタをラッパー、トラックメーカーがどう料理したのか~』(ユニバーサル)
8. BASEMENT JAXX 『Junto Remixed』(Atlantic Jaxx)
9. ENTER SHIKARI 『The Mindsweep: Hospitalised』(PIAS)
カヴァーもリミックスも氾濫している昨今、デヴィッド・フォスター監修のディズニー・ソングブックを筆頭に一年を通じてヴォーカル作品が目立っていた印象で、シナトラ曲を歌ったボブ・ディラン、多国籍メンツによる多面的なニーナ・シモン曲集など、大人向けの名品が充実していたのも全体の傾向かも。他にもライアン・アダムスのテイラー・スウィフト丸ごとカヴァー、アニメや特撮の劇伴からグルーヴを取り出したMUROのミックス、MINMIの最高すぎるリミックス企画盤など、過去の音をフレッシュに再生する試みは多様でした!
SOUNDTRACK
1. 『APPLESEED ALPHA』(unBORDE)
2. 『Fifty Shades Of Grey』(Republic)
3. 『「ローリング☆ガールズ」ソング集「英雄にあこがれて」』(ポニーキャニオン)
4. 『Furious 7』(Atlantic)
5. 『Mad Max Fury Road』(Sony Classical)
6. 『Pitch Perfect 2』(Universal)
7. 『God Help The Girl』(Milan)
8. コーネリアス 『攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T.』(flying DOG)
9. 『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』(ユニバーサル)
ヒット・シングルを輩出したという意味では、計12週も全米No.1を記録したウィズ・カリファ&チャーリー・プース“See You Again”の「ワイルド・スピード SKY MISSION」でしょうか。日本でも大ヒットした「マッドマックス 怒りのデス・ロード」や、アンビエント官能R&Bのまとめ盤的な内容だった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」、〈歌う映画〉の最新弾「ピッチ・パーフェクト2」、アニメでは「ローリング☆ガールズ」のブルーハーツ30周年にも絡んだ歌曲集など、音楽アルバムとしても普通に楽しめるようなタイトルが多かったのは相変わらず。日本公開が2015年だったものでは、ベルセバのスチュアート・マードック初監督作、JBの伝記映画が双璧でしたね!
TREASURES
1. ROGER AND THE HUMAN BODY 『Introducing Roger』(KTI)
2. ALANIS MORISSETTE 『Jagged Little Pill: Deluxe Edition』(Maverick)
3. G.I. ORANGE 『Psychic Magic: Remasterd Edition』(ソニー)
4. 『Sherwood At The Controls Volume 1: 1979-1984』(On-U)
5. MAX EIDER 『The Best Kisser In The World』(Big Time/Pヴァイン)
6. YO LA TENGO 『Extra Painful』(Matador)
7. KURT COBAIN 『Montage Of Heck: The Home Recordings』(Universal)
8. B.B. KING 『Here's One You Didn't Know About』(Ace)
9. SOICHI TERADA 『Sounds From The Far East』(Rush Hour)
もはやジャズやロック、ソウルに止まることなく、テクノもハウスもヒップホップも誕生から何十年もの時を経ているわけで、ストレート・リイシューも手のかかった復刻も凝ったコンピの編纂もジャンルや国を問わずに進行しまくり。そうなると従来的な価値基準からレアリティーを謳うこと自体にはかつてほどの価値は見出されなくなってきているのかもしれません。逆に言うと、成り立ちを気にせず良い音源をチェックしたいという思いは、フラットなリスナーにとっては新譜であろうと発掘音源であろうと変わらないはず。カート・コバーンのデモ音源集、追悼の意味も込めたBB・キングの発掘音源集など……他の新録タイトルと同じように楽しみたいブツを並べてみました!
BIG COLLABORATION
1. FFS 『FFS』(Domino)
2. MANNISH BOYS 『曲がれない』(スピードスター)
3. CHRIS BROWN & TYGA 『Fan Of A Fan: The Album』(RCA)
4. 小島麻由美 『With Boom Pam』(AWDR/LR2)
5. HOLLYWOOD VAMPIRES 『Hollywood Vampires』(Universal)
6. KAHN-COMMODO-GANTZ 『Volume 1』(Deep Medi)
7. LIBRO×嶋野百恵 『オトアワセ』(AMPED)
8. NEIL YOUNG+PROMISE OF THE REAL 『The Monsanto Years』(Reprise)
9. COOL UNCLE 『Cool Uncle』(Fresh Young Minds)
連名のコラボ作はもちろん、パーマネントな新プロジェクトの発足も含めてビッグネーム同士の自由な盤上交流は2015年も引き続き盛んでした。フランツ・フェルディナンドとスパークス、ウィリー・ネルソンの息子たちとニール・ヤング、エイドリアン・シャーウッドとピンチといった納得の組み合わせから、クリス・ブラウンとタイガ、LIBROと嶋野百恵のようにこれまでの共演の延長線上にあるものまで、もうどんな組み合わせが出てきても驚きはしませんが……メイヤー・ホーソン&ジェイク・ワンの向こうを張ってボビー・コールドウェル&ジャック・スプラッシュが結成したクール・アンクルなど、予想の上を行くコラボレーションとその成果自体は嬉しい驚きでしたね!
ANNIVERSARY
1. 『ShadyXV』(Shady/Interscope)
2. ROBERT HOOD 『M-Print: 20 Years Of M-Plant Music』(M-Plant)
3. 『μ20』(Planet Mu)
4. My Little Lover 『re:evergreen』(トイズファクトリー)
5. キングギドラ 『空からの力 20周年記念エディション』(Pヴァイン)
6. A TRIBE CALLED QUEST 『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm: 25th Anniversary Edition』(Legacy)
7. SHOW-YA 『PROGRESS』(ユニバーサル)
8. 『風街であひませう』(ビクター)
9. 八代亜紀 『哀歌 -aiuta-』(コロムビア)
マーケットが爆発的に拡大した90年代もすでに15年以上前……ってことで、この周年リリースは今後も加速していくはず。エミネム率いるシェイディは15周年、ロブ・フッドの設立したM・プラントとマイケル・パラディナス主宰のプラネット・ミューは20周年、と名レーベルの記念盤が並び、同じ20周年ということではMy Little Loverの名盤丸ごと新録盤や、KGDRの蔵出し音源入りの復刻も話題でした。そんななか、SHOW-YAはデビュー30周年を豪華な新作で現役感バリバリにお祝い。そして、松本隆の作詞家生活45周年を祝う新録集に、八代亜紀のチャレンジングな45周年記念盤にも敬服させられましたね。
REST IN PEACE...
1. 『D.L Presents FREEDOM JAZZ FUNK MELLOW STORM』(Pヴァイン)
2. DJ Deckstream 『DRESS CODE』(Sepera)
3. ふぇのたす 『PS2015』(ユニバーサル)
4. 椎名もた 『生きる』(U/M/A/A)
5. SCOTT WEILAND AND THE WILDABOUTS 『Blaster』(Softdrive)
6. SEAN PRICE 『Songs In The Key Of Price』(Ruck Down)
7. VISAGE 『Demons To Diamonds』(August Day)
8. CHINX 『Welcome To JFK』(Coke Boys/eOne)
9. THE DETROIT EXPERIMENT 『The Detroit Experiment』(Pヴァイン)
ここでは2015年にこの世を去った人たちの作品を紹介。ミックス・シリーズの第2弾を発表したD.L、前年末にアルバムを出していたDJ Deckstream、ふぇのたすでメジャー・デビューしたばかりの澤“sweets”ミキヒコ、そして新バンドで初作を放ったスコット・ウェイランド……と、いずれもリリースの記憶が新しいうちの逝去ということもあって、その驚きはより大きいものでした。さらにリリースを控えていたミックステープが置き土産となったショーン・プライス、ヴィサージやチンクスの没後タイトルも印象深いものに。また、デトロイト・エクスペリメントの復刻が実現したのに前後して亡くなったマーカス・ベルグレイヴにも哀悼を。作品は永遠です。