「ちょっと待ってて。玄関のドアを開けてこなくっちゃ」
そう言ってインタビュー中に席を立つと、カメラを持ちながら玄関まで歩いて行ったコートニー・バーネット。図らずも彼女の住むロサンゼルスのセンスの良い自宅をルームツアーしてもらう形になったわけだが、玄関を開けたのが急な来訪者のためなのか、それともアルバムの曲名の由来にもなった、愛犬のためだったのかはわからない。けれども、それは今のコートニーの心境を表しているかのようでもあった。
惜しまれつつも閉鎖した自主レーベル、ミルク!レコーズの最後の作品となり、ウォーペイントのドラマーであるステラ・モズガワと2人だけで制作された2023年のインスト作品『End Of The Day (Music From The Film Anonymous Club)』から一転、2021年の『Things Take Time, Take Time』以来のオリジナルアルバムとなる最新作『Creature Of Habit』で、彼女はドアを開け放ち、やってくる人たちを招き入れている。
カリフォルニア州のジョシュア・ツリーで録音され、ワクサハッチーことケイティ・クラッチフィールドに加えて、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、フローティング・ポインツのサム・シェパードといった驚きのゲストが参加した最新作について、そしてアルバムのジャケットを飾るカマキリの意外な魅力について、コートニーが晴れやかな表情で語ってくれた。
歌詞は一語一句重要、一言たりとも無駄にしたくない
――これまでのあなたの作品にも必ず好きな曲が何曲か入っていましたが、個人的に新作は全曲大ヒットという感じです。ファーストアルバムの“Pedestrian At Best”で歌っていたように自己評価が低めなあなたですが、新作についてはどう思いますか?
「私もこのアルバムが大好き。心から誇りに思ってるし、大満足しているし……完成までに時間がかかったしね。曲作りにもレコーディングにも時間がかかって、ときには自尊心が低くなったりもした。完成する日は来るのかな? 自分は良質なソングライターやミュージシャンなのかな?って自問自答するようになって、失敗とかそういうことも考えたりした。でも、そういう想いをはねのけて、最終的には収録曲に大満足してる。サウンドとかの面でね」
――歌詞の面でも評価されているあなたですが、本作では完璧なメロディやキャッチフレーズが思い浮かばないことについて、素直に歌っているような気がします。歌うテーマについてはいつも悩んだりしますか?
「うん、確かに歌詞で悩むことが多い。一語一句重要だし、一言たりとも無駄にしたくない。一行でもそう。
事前に歌詞の内容を決めていないことが多いんだ。ソングライティング中にそれが見えてくる。(曲作りは)潜在意識から生まれるから、(最初から)どういう歌になるかは私自身も常にわかっているわけじゃなくて」
