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音楽の魔法が起こった、さだまさしとの共演

「クリスマスの約束2007」は、幕張メッセ(一部はTBSのスタジオ)で収録された。くるり、さだまさし、佐野元春、宮沢和史、矢井田 瞳という5組のゲストに加えて、小田の母校である聖光学院の弦楽オーケストラ部、早稲田大学のグリークラブも参加した。“こころ”では、聖光学院の弦楽オーケストラ部が演奏に加わり、世代を超えた共演となった。途中で小田と学生たちとのリハーサル映像も映し出され、先輩と後輩というよりも、先生と生徒のように見える瞬間もあり、微笑ましい気分にさせられた。

小田和正 『クリスマスの約束2007』 ARIOLA JAPAN(2026)

宮沢和史との共演では、THE BOOMの“中央線”“風になりたい”“島唄”が演奏された。“中央線”では、宮沢の伸びやかな歌声に小田の抒情性の漂うコーラスが加わることによって、沿線の風景が立体的に浮かび上がり、深い余韻が残った。宮沢が好きだという“YES-YES-YES”を小田が披露し、宮沢が客席で耳を澄ます場面もあった。年齢やキャリアは違うが、互いのリスペクトが伝わってくる共演となった。

小田とさだまさしとの共演も「クリスマスの約束2007」の見どころの1つだ。小田がピアノの弾き語りで山口百恵の“秋桜”のカバーを〈渾身〉と形容したくなるような歌声で披露し、作者であるさだを呼び込んだ。「改めていい曲だなと思いました」と、さだが小田の歌を称える場面もあった。オフコースとグレープのメンバーとして、70年代の音楽シーンを牽引してきた者同士ということもあり、軽妙な本音トークがしばらく続いた。トークすらも見どころにしてしまうところはさすがだ。

小田の“woh woh”では、さだがメインボーカル、小田がコーラスを担当。両者の歌声が混ざり合った瞬間に、音楽の魔法が起こった。声質の似た成分が共鳴し合い、異なる成分が互いを引き立て合った。続いて、2人による共作曲の制作風景の映像が流れた。意見の相違があった際の、「老いては君に従おう」との小田の言葉が印象的だ。その共作曲“たとえば”は、さだの歌で始まり、小田の歌で終わる構成。この2人だからこその味わい深い歌の世界は格別だった。演奏が終わった瞬間に、互いに拍手し合う光景は清々しく、そして温かかった。

世代も音楽のタイプも異なる者同士の顔合わせとなったのは、くるりとの共演だ。“Jubilee”と“ばらの花”というくるりの代表曲2曲が披露された。“Jubilee”にはストリングスが加わり、“ばらの花”ではソプラノサックスをフィーチャー。小田がアコースティックギター、岸田繁がエレキギター、佐藤征史がベースを手にして、3人並んでのパフォーマンスだ。名曲とは、アレンジの仕方によって、曲の輝きはそのままに、新鮮な表情が見えてくるものである。2組の共演は、それを証明するような演奏だった。

未放送だった“ばらの花”は小田の歌で始まったのだが、小田の声という唯一無二の楽器が加わることによって、新鮮な彩りが加わった。楽曲へのリスペクトとクリエイティビティのバランスが絶妙で、音楽表現の可能性の大きさを感じる共演となった。