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Disc-1にはオリジナル・アルバムの最新リマスター音源を収録し、Disc-2〜3には75年9月のアナハイム・スタジアム公演の模様を収めた未発表ライヴ音源を収録。それに加えてBlu-rayにはアルバムとライヴ音源をDolby Atmos仕様で収録!

つきまとう終わりの気配

 ウェストコーストのローカルなシーンから飛び出し、まさに頂点へと駆け上がろうとするイーグルスの熱量と勢いを封じ込めた本作『One Of These Nights』。そのデラックス・エディションには、75年9月にアナハイムで開催された〈サンシャイン・フェスティヴァル〉でのライヴ音源が16曲にわたって追加収録されている。とりわけ重要なのは、初期のカントリー・ロック期を支えたバーニー・リードンのイーグルスにおける最後の輝きが記録されている点だ。音楽性の相違から本作を最後にバンドから去る彼の演奏には、いわばひとつの時代の終わりが刻まれているわけだが、バンジョーが軽やかに駆ける“Blackberry Blossom”や“Midnight Flyer”などのブルーグラス・チューンの躍動感には初期イーグルスのエッセンスが豊かに息づいていて素晴らしい。さらに当時十八番だったチャック・ベリー“Carol”のカヴァーもカッコいいし、まさにこの時期ならではの空気を伝える貴重なライヴ・ドキュメントだ。

 甘美な香りと華美な音色に包まれた『Hotel California』の前夜。70年代ロックの象徴とも称されるあのアルバムこそ代表作という見方は揺るがないだろうが、バンドとしてのダイナミズムと均衡が美しい形で結実する点から、音楽的ピークはこの『One Of These Nights』にあったと断言するリスナーが少なくないのも事実だ。それにしてもイーグルスという存在には、どこか常に終わりの気配がつきまとっている。退廃的な世界観を内包した『Hotel California』の影響も少なからずあるし、幾度となく繰り返されてきたフェアウェル・ツアーの記憶が絡んでいる気もするが、本作の時点においてそういった感触はすでに微かに立ち現れている気がしてならない。初期メンバー離脱という変化を目前に控えながらバンドはやがて離散へと向かうわけだが、終わりの始まりとも言うべき兆しがここには確かに刻み込まれている。煌びやかなサウンドの奥にどこか翳りを帯びた情感が差し込んでいる本作の豊かな陰影をこの機にじっくり味わってほしい。 *桑原シロー

『One Of These Nights』と同時期にメンバーが参加した作品を一部紹介。
左から、グラム・パーソンズの74年作『Grievous Angel』(Reprise)、ジャクソン・ブラウンの74年作『Late For The Sky』(Asylum)、ランディ・ニューマンの74年作『Good Old Boys』(Reprise)

左から、イーグルスの最新ベスト盤『To The Limit: The Essential Collection』(Rhino)、チャック・ベリーの59年作『Berry Is On Top』(Chess)