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中嶋錠二、千葉広樹、福盛進也とカルテットを結成した理由

――新カルテットのメンバーのうち、ピアノの中嶋錠二さんだけRS5pbと共通しています。中嶋さんとはアコースティックなデュオでも長く活動されていますよね。今回の新カルテットは、類家さんが中嶋さんとデュオで続けてきたことを発展させる狙いもあったのかなと思ったのですが、いかがでしょうか?

「たしかに、見方によってはそうとも言えますね。でも錠二とずっと一緒に演っているのは、単純に彼のピアノがいいなということが大きい。それと、錠二とはスタンダードの曲もわりと演っていて、それはデュオだと自由が利く、スタンダードでもいろんなところに行けるということもある。コンセプトを立てているわけじゃないけど、自然とそういう感じになっていて、それに対してカルテットはもうちょっと自分のオリジナル曲を演る傾向が強いですね」

――中嶋さんのピアノについて、具体的にはどのようなところに魅力を感じますか?

「オリジナル曲を演った時に、僕のイメージに近いピアノを弾いてくれるんです。長いこと一緒に活動しているのもありますけど、話が早いというか、ツーカーみたいな。細かく説明しなくても理解してくれる。

錠二はジャズが主戦場のミュージシャンで、歌伴からいろんなバンド活動までやっていて、何でも弾けてしまう。準備したものじゃなくて、毎回その場でいろんなアプローチをしてくれるし、嘘のないピアノを弾いてくれるんですよね。コードに対してのアプローチも既存のものとは全然違うし。そういうところが好きです。こっちの音をちゃんと聴いて返してくれる。当たり前のことだけど、それがしっかりとできるプレイヤーは実は少ない。だから僕にとってとても貴重な存在です」

――ベースの千葉広樹さんとはいつからお知り合いですか?

「千葉ちゃんとの付き合いは長いんですよ。錠二と同じぐらい前から知っていて、何度も一緒にライブしています。千葉ちゃんと服部正嗣(ドラムス)の3人でバンドを組んでいたこともありました。最近はkaYakというデュオユニットでも活動していて、去年1stアルバムを出しました。そこでは千葉ちゃんはベースを弾かず、モジュラーシンセとプログラミングを担当しています。彼はジャズのフィールドだけじゃなくて幅広い視点で音楽を捉えてくれる。もちろん彼のベースもすごく好きなので、一緒に演りましょうということで誘いました」

――千葉さんはエレクトロニクスも多彩ですが、アコースティックベースに関してはどんな魅力を感じますか?

「やっぱり音色が好きですね。あと曲に対してアイデアをくれるので、そこもすごく助かっています。例えば、今回は収録されていない曲ですけど、ベースの最低音のEよりも全音下のDの音をボロンボロンと弾き続ける曲があって。ライブではよく演っているんですが、普通のベースプレイヤーだとDは出ないからオクターブ上のDを弾くと思うんです。それでも演奏としては成立する。けど、初めてその曲をライブで演った時に、千葉ちゃんは自然と調弦を緩めて低いDを出してくれた。僕は何も言っていなかったのに、曲の雰囲気として低いDを出した方がいいという感覚をおそらく共有してくれていて。その辺のセンスはさすがだなと思いました。やっぱりオクターブが違うと音色がだいぶ変わってしまうので」

――ドラムの福盛進也さんはいかがでしょうか? 今回のカルテットでは最年少になります。

「進也くんと知り合ったのは最近なんです。一昨年(2024年)、青森県八戸市の〈南郷サマージャズフェスティバル〉で一緒に演奏して。もともとは齋藤悌子さんという沖縄出身のジャズシンガーとピアニストのデイヴィッド・マシューズがメインで、歌モノの曲をやる予定だったんですが、その2人がコロナに罹ってフェスに出られなくなってしまった。それでベースの人(松永誠剛)と進也くんと〈どうしようか〉と相談して。用意してきた楽曲ができないですからね。なので結局、そこではトリオでほぼフリージャズみたいなことを演りました。そしたら進也くんのドラム、やっぱりすごくいいんですよ。もちろん噂は聞いていたし、ECMから出したアルバムも聴いてましたけど、実際に演ってみたらとても面白かった。世界観が大きい感じがするというか、視野の広いドラムで。それから一緒に演るようになって、今回のカルテットでも声をかけたんです」