インタビュー

Kaedeが思い返す激動の3年間! Negicco新シングル“光のシュプール”リリース記念、吉田豪によるロング・インタヴュー2014 第4回

Negicco “光のシュプール”ミュージックカード Kaede盤

 

新潟発の3人組アイドル・グループ、Negiccoが、ニュー・シングル“光のシュプール”を12月2日にリリース。シングル表題曲としては約2年ぶりにconnieが詞曲を手掛けた“光のシュプール”は、前シングル“サンシャイン日本海”のプロデューサーである田島貴男オリジナル・ラブ)が編曲で再登板した極上のウィンター・ソング。カップリング曲“1000%の片想い”もconnieペンによるもので、こちらのアレンジにはShiggy Jr.が起用されるなど、話題満載の勝負シングルとなっている。

Mikikiでは、同作のリリースを記念して、プロインタビュアーの吉田豪によるロング・インタヴューを掲載! 第4回は〈かえぽ〉ことKaedeが登場。危機感と持ったというT-Palette Records参加時から、大きな転機となったジェーン・スーとの出会い、3人が口を揃えて「いまが一番楽しい」という現在まで、忘れやすいことで有名(?)な彼女に、大学生としても過ごしたこの3年間についてじっくり語ってもらった。

※第1回:全員編はこちら
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Negicco 光のシュプール T-Palette(2014)

 


――個別インタヴュー、最後はかえぽです! 今日はT-Palette移籍後の3年間をざっくり振り返っていただきたいんですけど、最初はどんな流れで聞いたんですか?

KaedeTパレっていうレーベルがどうだとかとは聞いてなくて。どうやらタワーレコードさんからCDを出すみたいだっていうところから始まって、〈バニラビーンズさんと記者会見をするので予定しておいてください〉ってメールがきて、なんの話だ?と思って」

――そんなボンヤリした感じで記者会見に出て。

Kaede「まずバニラビーンズさんに会ったときに、これはヤバいと思ったんですよ。この場にいちゃいけないと思って」

――ダハハハハ! そこまで劣等感を刺激する存在だった(笑)。

Kaede「ホントそうですね。劣等感というか、なんで私ここにいるんだろうっていう危機感がすごくて」

――あのときバニビとネギが別れて立ってたから、もっと一丸となってる感じがほしくて、「ネギの3人の間にバニラビーンズさんを挟みましょう!」ってボクが提案して写真撮影をしたわけですけど、どうやら余計なことをしちゃったっぽいですね(笑)。

 

2012年の〈T-Palette Records〉発足記者会見の模様
(TOWER RECORDS ONLINEより引用)

 

Kaede「〈ヤバッ!〉と思いましたね、あのときは。いろいろヤバいことになってきたなっていう」

――ヤバいこと!

Kaede「いままでみたいにやってたら、これはマズいところにきたなというか、とにかくヤバいなって思った記憶がありますね。そのあとも痩せなきゃいけないとか、いろいろしなきゃいけないっていうことがバーッと頭をよぎって」

――痩せなきゃいけないっていうのは、誰かに言われたわけでもなく?

Kaede「バニラビーンズさんを見て、芸能人ってこうだよなと思って」

――「私は全然芸能人じゃなかった」と。

Kaede「そうです、芸能人じゃないと思って。ガツンとやられた感じがして焦ったし、ずっと変な汗かいてました、あの場は」

――それでダイエットを始めたんですか?

Kaede「ダイエットを始めたというより、次の日からあんまり食べられなくなって」

――プレッシャーで?

Kaede「ヤバいと思って。これはなんとかしなきゃいけないっていう焦りとかがすごくて、この時期かなり落としましたね」

――みんなが徐々に洗練されていってるように見えたのは、そういう理由もあったんですね。

Kaede「プレッシャーとかで」

――「ヤバい、私、顔丸いわ」みたいな思いから。

Kaede「〈ヤバいヤバいヤバい!〉って思いました、ホントにヤバいしか思ってなくて、頭の中は真っ白で。タワレコの社長さん許して、みたいな」

――『GET IT ON!』、“恋のEXPRESS TRAIN”と、最初はそれまでの流れでconnieさんの曲でしたよね。

Kaede「そうですね。いま考えると『GET IT ON!』、〈恋エク〉あたりはそんなに変わってないというか。ジャケットも新潟で撮ってたし、特別誰かがやってっていうよりは、CDを出していただくっていうかたちだけだったので。リリース・イヴェントは大きかったんですけど、それはちょっと新鮮で、これTVで見たことあるヤツだなっていうか。私は風男塾さんが渋谷のタワレコの地下でリリース・イヴェント行ないました、みたいなのを〈めざましテレビ〉で観て、こういうことできる人ってすごいな、こういうところに私たちは全然達してないなって思ってたから。やっぱり新潟のグループだし、そういう機会ってたぶんないんだろうなと思ってやってきてて」

――そしたら会見もそこでやるし、リリイベもそこでできるようになり。

Kaede「だから、ここでリリイベができますってなったとき、すごいうれしくて。一生懸命というか、必死でやってたような気はしますね」

――その頃のことで言うと、個人的にはhy4_4yhと絡んだときの、かえぽ&Sadachiの関係が好きでした。無口なふたりが微妙に共感し合ってる感じで。

Kaede「ハハハハ! そうでしたっけ? 全然覚えてないんだよな……」

――え!

Kaede「私、Sadachiさんすごい好きだったんですよね」

――だから、Sadachiさんが辞めるって聞いたときはすごいショック受けてましたよね。

Kaede「ショックでしたね、ビックリした。近いものを感じてたので」

――でも、あんまり覚えてないんですね(笑)。

Kaede「あんまり覚えてないです(笑)」

――基本、大学が忙しそうでたいへんそうだなって感じがこの時期はずっとしてましたね。

Kaede「そうですね、忙しかった気がします」

――「気がします」ぐらいの(笑)。

Kaede「ホントに覚えてないんですよね、このあたり」

――なんなんですか? あんまり寝てなかったみたいだし、そもそも単純に忘れやすい人なのは知ってますけど。

Kaede「忘れやすいですね(笑)」

――結構なスケジュールで活動してたじゃないですか、大学の授業を全部クリアしたうえで。

Kaede「…………覚えてないや(笑)」

――ダハハハハ! やっぱり(笑)。

Kaede「全然覚えてないですね。ただ、“あなたとPop With You!”はPVの撮影が大変だったっていうのは、なんとなくぼやっと覚えてるけど。あと撮影前にフィッティングがちゃんとあったのも新鮮だったかな。ジャケットを見たとき、〈うわ、すごい!〉って思った記憶があります」

――あれ、みんなかわいかったじゃないですか。

Kaede「かわいい感じにやっていただいて」

――基本、外見に自信のないNegiccoさんですけど、だんだんああいうジャケとか撮ってるうちに自信はついてくるものなんですか?

Kaede「これはすごい好きって思いました。なんとなく自信も持てそうな感じになってきてるのかなって思ったのは、ここからですね」

――ちゃんと洗練されてきてますよ。まだ自信ないでしょうけど。

Kaede「ないですね(笑)。まったくないです」

――そこは安定してますよね(笑)。

Kaede「〈TIFTOKYO IDOL FESTIVAL)〉とか出るたびに〈なんで私ここにいるんだろう?〉ってやっぱり毎年思うんですよ。一瞬フッと辞めたくなる」

――え! 「私はこのレベルに達してない! ここにいちゃいけない!」みたいなことですか?

Kaede「容姿は全然足りてないっていうのは毎回思ってて。スタイルも悪いし顔も丸っこいし田舎くさいし、〈TIF〉は結構心が折れる感じ」

――そんな思いで出演してたんですか!

Kaede「ただ、自分たちがやってるステージには毎年自信がついてきてるので。毎年っていうか、今年に入ってからですかね、ちゃんと生歌でやってっていうところで」

――生歌になることについてはどういう思いがありました?

Kaede「私は最初からずっと生歌でやりたかったんですけど、そうもいかず被せの時期があって。生でやりたい気持ちもあるけど、そこまでうまくできるわけじゃない。歌もうまくないし、ダンスと一緒に器用にこなせるレベルにも達してなかったので、仕方ないと思ってやってたんですけど。でも、もともと生でやってたから、被せをやってしまったことによって、すごいレベルが落ちたのを自分でも感じていて。歌が歌えなくなったなっていうのが」

――どこかのタイミングで、これは被せでやったほうがクオリティーを保てるんじゃないかっていうことになったんですか?

Kaede「あまり覚えてないんですが(笑)、みたいな感じになったんですよね、たしか。でも、やってて楽しくないっていうのもあるし、かといって〈じゃあできる?〉ってなってもできる状況ではなかったというか、もうボロボロで。ただ、被せになっちゃうと被せに甘えて、全然声が出ないときとか、ホントに口パクに近い状態でもやったりしてたし。それをやることによって、ホントにどんどん落ちてっちゃったなっていうのがあって。ダンスに集中できてよかったなっていうのはありますけど、結局そのダンスに集中して歌はどんどんダメになっていって。これはやりがいもないなと思って」

――正直、かえぽのヴォーカルは不安定な部分もあるわけじゃないですか。それでもやりたかったですか?

Kaede「やりたかったですね。歌が好きなので、歌をやりたいってずっと思ってて。それなのに自分の録ってある声を通してしか見せられないっていうのが悔しいなと思ってました。だけど、どう歌っていいかわからないし、この歌い方だとずっとこんな感じだし。さあどうしようってなったときに、歌の先生をつけてほしいなって思って」

――ヴォーカル・レッスンしたいって話はずっとしてましたよね。

Kaede「そうですね。私もそうだし、母も〈どうにかなんないの?〉って言ってて、熊さん(マネージャー)に相談して、つけてもらえるようになったんですよ。いまでも全然失敗してますけど、最近になってやっと自分で今日は大丈夫だって安心して、怯えたりしないでステージに立てるようになってきてるし」

――だんだんよくなってるのはハッキリわかりますよね。

Kaede「ホントですか? それを聞けただけでうれしいです。いまは歌ってても楽しいなって思うし、もし失敗したとしても修正の仕方とかがなんとなく体でわかってきて」

――声がひっくり返っても動じなくなったというか、笑顔をキープしたままちゃんとやりきれてますよね。

Kaede「そうですね。昔だったら1曲目でスベッたら全部スベるっていうか、もう怖くて歌えない感じだったので」

――どんどん安定してきてると思いますよ。

Kaede「結局、精神的に弱かったなっていうのは思いますね。大学に通いながらやってたし、進路もどうしようっていうのがあって、いっぱいいっぱいだし、自分はどうしたらいいかわからないし、周りは〈就職どうすんの?〉とか言ってくるし。もう知らないよと思って。自分が一番自分のこと考えてない(笑)。

――いちいち進路で悩み続ける人生ですよね。

Kaede「ホントそうですよね」

――大学に進学するべきか悩んだ頃と違って、さすがに今回は就職しようって思いはなかったわけですよね。

Kaede「そうですね、就職しようとかは全然考えてなかったです」

――この前のUNITで生歌、生バンドでやったのがすごい良かったんですけど、やっぱり生歌だとライヴを観なきゃっていう気になるんですよね。平均的に70点を取る被せのライブよりは、波があってもそのときしか観られないリアルを観たいというか。

Kaede「そうですね。まさかバンドでできるようになるとは思ってなかったです。バンドって絶対に被せはできないし」

――やってる側としても充実感は全然違うわけですか?

Kaede「全然違いますね、うれしくてしょうがなかったです。全部生バンドでできるんだって」

――その楽しさが伝わってるんですよね。

Kaede「最近ホントにステージがすごい楽しいんですよね、1回1回が。不安っていう部分が絶対に残ってたんですけど、それもなくなったかな。今年の春ぐらいからやっとですけど」

――長いですよね、キャリア10年を超えてやっと(笑)。

Kaede「めっちゃ長いですけど」

――レッスンが自信になってきたんですかね。

Kaede「そうですね、レッスンできるようになってきてるし、かける時間も違ってきてるし。大学を卒業したあと、ボイトレとかもめっちゃいっぱい入れてくださいって先生に頼み込んで、いっぱい入れてもらって」

――外部作曲家路線はかえぽ的にはどうですか? “愛のタワー・オブ・ラヴ”以降、connieさんがサイドBに回って、豪華なメンバーが次々とタイトル曲を手掛けるようになりましたけど。

Kaede「プレッシャーでしたね(笑)。〈そんなすごい方がNegiccoに?〉っていう不思議な気持ちにもなったし、なんとなく緊張感もすごいあったし」

――“愛のタワー・オブ・ラヴ”と“アイドルばかり聴かないで”辺りは、その緊張がジャケにも出てる感じしますもんね。

Kaede「そうかもしれない(笑)。ホントにこれはちゃんとやらなきゃいけないって……いや、もちろん前からもそうだったんですけど、それ以上に緊張感の高まりがすごくて。ここでガラッと曲調も変わったし、新鮮味はありましたね。いままでのNegiccoにはなかった楽曲だなって。〈アイばか〉はホントに緊張感もあったし、詞に対して、これは大丈夫なのかっていうのもあったし」

――「私たちがこんな歌を 歌っちゃって怒られないのか?」と。

Kaede「そう、ホントに怖いなっていうのもあったし。小西さんだからっていうのもあって、取材の方も結構来られた印象があって。でもホント、この曲がいろんな人を引き寄せてくれたというか」

――〈夏の魔物AOMORI ROCK FESTIVAL)〉で会った大槻ケンヂさんが絶賛したりで。

Kaede「そうなんですよ。やっぱり〈『アイばか』で知りました〉っていう人が多くて、やっぱりすごい経験というか、いい曲をいただけたんだなって思います」

――〈夏の魔物〉のあのクソ暑いライブはどうでした?

Kaede「全然覚えてない(笑)」

――ダハハハハ! しんどいことも忘れるんですね。

Kaede「忘れますね。1回目ですよね?」

――1回目に出たとき室内が異常な温度になってて、ほとんど限界だったはずなんですけど、それすら覚えてない(笑)。

Kaede「覚えてないですね。袖にいずこねこちゃんがいたのは覚えてるんですけど、それぐらいしか覚えてないなぁ」

――苦労もリセットしていく感じが。

Kaede「だからやっていけるのかもしれない(笑)」

――引きずらない人ですからね。

Kaede「なんで覚えてないんだってよく親にも怒られます。〈昨日のことじゃん!〉みたいな」

――それでいいんだと思いますよ。活動でどういうことは覚えてるんですか?

Kaede「覚えてることは……ホント点というか、ポツポツと覚えてるかな。あんまり覚えてないです。ただ、『Melody Palette』のときにジェーン・スーさんと出会ったのは結構大きかったなっていうのはあります。知ってはいたんですけど、ホントにすごくいい方に出会えたなと思ったんですよね。自分の容姿に自信がなかったので、撮影をしながら〈こうじゃなくてこうしたほうがいいよ〉とか〈表情はこうしたほうがいいよ、アゴ上げたほうがいいよ〉とか〈顔周りスッキリさせたほうがいいよ。ほら、こんなにかわいいでしょ?〉みたいなことをすごい言ってくれて。私もその写真を見たときに、こうしたら違うんだなとか、自分の見え方とかを全然研究したことがなかったので」

――これまで顔を見せないように見せないようにしてましたよね。

Kaede「そう、暖簾みたいだったって言われて。顔を隠してばっかりだったし 、輪郭とかも嫌いだったし」

――自信のなさが髪型に出ていて。

Kaede「そうです。とにかく隠そう隠そうってやってたのが、〈あなたはそうじゃなくてこうしたほうがいい。まず髪の毛を上げるわよ〉って言われて、髪の毛を結んでもらって」

――そのせいか『Melody Palette』はすごいジャケが明るいんですよね。

Kaede「そうですよね、表情が全然違うなと思って。でき上がったときも自分で納得がいくというか、早く誰かに見せたいみたいな気持ちになるぐらい」

――あんなに自信のなかった人が!

Kaede「ここで変わったんです」

――〈TIF〉に出るたびに辞めたくなる人が(笑)。

Kaede「そうです。私、変わったなと思って。ジェーンさんに感謝してます」

――あの人、基本的にアドヴァイスとかもキツめじゃないですか。だからこそ響いた部分もあるんですかね。

Kaede「私はキツいこと言われるのは苦じゃないっていうか、逆に言われたほうが勉強になるし、そこは吸収したいから、そういうことを言ってくれる人のほうがいいなと思ってて」

――前にジェーン・スーさんとの対談を見てハラハラしたんですよ。「もうネガティブなこと言っちゃダメ!」とか結構強く言ってるから、大丈夫かなと思ってて。

Kaede「そういうこと言われても、あんまりグサッとこないタイプというか」

――忘れますからね(笑)。

Kaede「忘れるのもあるんですけど、愛があるのがわかってるから。このあたりですかね、やっとちょっと変わってきて」

――外見的にも変わったきっかけだった、と。

Kaede「〈アイばか〉のときにコンセプトが強かったので、メイクが全然違くて。なんとなく顔が違うなって思いながら、でもこういうコンセプトだしなって思って自分を納得する感じだったんですけど、その次に自分がしたい感じにやってもらえたというか。ナチュラルなNegiccoで、でもちょっと大人っぽい、みたいな」

――どんどんナチュラルな流れになってますよね。

Kaede「そうですね。それがすごいうれしかったなと思います。“ときめきのヘッドライナー”のとき、ジェーンさん来られるって聞いてすごいうれしくて。で、〈髪切ってもいい?〉って言われて、〈切ります!〉って」

――それでショートカットになって。

Kaede「自分から言い出してもそれは許可が下りない話だったし、ジェーンさんが言ってくださってショートにできて、気持ちもすごいスッキリしたし。いままでのモヤモヤとかも髪の毛が断ち切ってくれたような気がして」

――そんなに違うんですか!

Kaede「全然違います。切ったあと1週間ぐらい、性格が違うんじゃないかって思うぐらいサッパリしてて。こん なに変わるんだなって思って」

――ジェーン・スーさん恐るべしですね。

Kaede「ホントにジェーンさんすごいんですよ。ジェーンさんとボイトレの先生にはめちゃめちゃ感謝してます。変わったきっかけですね」

――活動が楽しくなったきっかけ。

Kaede「ホントそうなんですよ」

――そして矢野博康さんの〈トリプル!WONDERLAND』があり。

Kaede「〈WONDERLAND〉のときは、準備期間が完全に卒論の時期で、完徹でそのまま行って撮影して。ジャケットがもうひどくてひどくて(笑)」

――顔のコンディションが(笑)。

Kaede「顔がもうヤバい。気持ち的にも〈間に合うのかな、間に合わなかったら秋に卒業とか言われてるしな〉って思いながらの撮影だったので、プレッシャーがすごかったです」

――そう考えると、“サンシャイン日本海”ですごいリラックスした顔をしてるのは、「卒業できた!」とかもあるわけですかね(笑)。

Kaede「全然違いますよね。めっちゃ固い顔してるんだもん、全部。9形態出して全部固い顔してて」

――〈サンシャイン〉は全部リラックスしてますもんね。

Kaede「ホントに全然違う人かのように笑ってるし」

――〈サンシャイン〉はPV初公開のUSTREAM兼ラジオにボクが呼ばれたじゃないですか。あのときの話がすごい印象的だったんですよ。「今回のスタッフさんたちがみんなすごいいい人たちで、とにかく終わってほしくないと思った」みたいな。

Kaede「ホントそうなんですよね。みんなヲタで」

――ヲタが有志でチームを作ったんですよね。

Kaede「しかもネギヲタじゃない。すごい不思議な気持ちになりました。だからファン心というか、そういう人が一番わかると思うし」

――コンバットRECが大興奮してましたもんね。PV撮影で日本海に日が沈む瞬間、「ウォーッ、最高! アイドル! 夕陽! 日本海! 最高!!」って(笑)。

Kaede「ホントに、なんなんだこの人たちって思うぐらい、いい人たちばっかりで」

――「金じゃない」ってスタンスで参加してる人たちですからね。

Kaede「ボランティアぐらいの気持ちで、ほぼそうだったみたいなんですけど、それでもこんなにいいものを作り上げてくださってるし」

――そして田島貴男さんも含めて、いいチームが今回のシングル“光のシュプール”で再結集して。

Kaede「そうですね。ずっとこのチームでやりたいなと思うぐらい いい環境で。今回もフィンランドでPV撮影が終わったあと、寂しいなって思いましたもん。また解散しちゃうのかって思って」

――かえぽは向こうの食べものは合ったんですか?

Kaede「ダメでしたね。だけど、食べないとしんどいので」

――しかし、まさかNegiccoが北極圏でロケできるようになるなんて。

Kaede「ホントですよね、信じられない。Negiccoやってるうちは絶対に海外なんか行けないなって思ってたんですよ。旅行で海外に行ったのも、Negiccoのオーディションに受かりましたって言われた2日後ぐらいで」

――つまり、小学生以来ってことですね。

Kaede「そうですね。たぶんもう無理だろうなと思ってて」

――週末は基本的に何かしらあるし。

Kaede「学校もあるし。だから信じられなかった 。寒いところが苦手だったんで、なんとなく行きたくないなっていう気持ちもあったんですけど」

――え! 新潟の人なのに!

Kaede「そう、寒いのめっちゃダメで結構憂鬱になってた時期もあったんですけど、行ってみたときの感動とか、来れてよかったなって思いました。仕事で来れるって、そんな幸せなことないよなと思って」

――みんなが口を揃えて「いまが一番楽しい」って言ってるのはホントいいですよね。

Kaede「一番楽しいし、メンバーのモチベーションも揃ってるような気がします。団結してきてる感がすごくあるので」

――もともと仲のいいグループだったのが。

Kaede「どんどん強まってますね」

――目標もできて、チームもよくなって。

Kaede「頑張りたいなって思います」

――プレッシャーをそんなに感じないで、これぐらいの感じでやり続けれたらいいですよね。

Kaede「楽しんでればいいのかなっていう気はします」

――それが一番ですよ。

Kaede「一生懸命宣伝したりとか、ライヴを一生懸命ちゃんと丁寧にこなすとか、そういうところでいいのかなっていう気がします」

――ファンは単純にメンバーが楽しんでるのを見たいだけで、苦しんでるところは見たくないんですよ。オリコンのベスト10入りなりなんなり、いろいろ目標はあると思いますけど、それほど苦しまずに。

Kaede「そうですね、追い込まずにというか。自然に楽しめれば一番いいですよね、余計なことを考えずに。すごい穏やかな気持ちでいられてるんですよ、最近」

――大学と並行してると殺伐とする部分はあったんですか?

Kaede「そうですね。寝てないのもあるし」

――一時ケンカした時期もあったっていうのは、どれくらいの時期だったんですか?

Kaede「いつだろう?」

――それすら忘れてる(笑)。

Kaede「イヴェントのときにちょっと揉めて。ステージ前なのにヤバいってなって、話し合ってステージに立った記憶はあります。でも、それがいつだったかはわからないし、内容もよくわからない(笑)」

――そのときはポーチ投げたりしたんですか?

Kaede「投げてないです(笑)。ただ、〈もう無理、話したくない!〉ってなって」

――でも、これだけ長く活動が続いて、3人の関係性がここまでうまくいってるグループも珍しいと思いますよ。Berryz工房も“普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?”って歌ってたら、実際やめちゃうわけじゃないですか。

Kaede「やめちゃいましたね。ビックリでした。でも、こういう環境があるってすごいありがたいことです」

――社長も「30歳ぐらいまでは活動できる環境にしたい」って言ってるじゃないですか。

Kaede「そうですね、やりたいけど。どうなんだろう?」

――そこには金銭的な問題が。

Kaede「金銭的な問題はあります。これで食べていければ、そんなにいいことはないんですけど。やりたいことやれてるし。楽しいことやって生活できて、こんな幸せなことないと思うので」

 

 

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