映像でも伝わる、4人と7万人が作り出す一体感
昨年、同公演を現地で体験し、約1年という月日を経て今作を視聴して目を見張ったことは、あの日に現地で感じた熱量や興奮が、あの日のままダイレクトに蘇ってきたという点である。つまり彼らの強みとポリシーを終始効果的に映し出したライブ映像作品であるということだ。
彼らの一挙手一投足を捉えたカメラワークは、音色をより晴れやかに映し出す。例えば“FIRE GROUND”のインタールードとして楽器隊3人が熱いハードロックを轟かせるシーン、小笹とショルダーキーボードを抱えた藤原が並んでソロを弾く場面、松浦と藤原のツインドラムによるパフォーマンスなど、バンドならではのロマンチシズムときらめきを存分に味わえる。
このライブで彼らはそうした瞬間を〈祭り〉と称していたが、そのセクションでは観客の歌声もさらに大きく響き渡ると同時に、カメラも広大な会場を様々な角度から映し出し、映像を観ているこちらも7万人の作り出す一体感に包まれる。また、全体を通してメンバーの表情にフォーカスする場面も多い。ファンの存在がバンドにとってとても大切であることを真摯に伝えるMC、演奏に没頭しながらも客席に目をやると時にほころび、時に感慨に浸る4人の表情、ステージ上のメンバーの視点で会場を望むカットなど、現地では捉えきれなかった鮮明な視覚情報は当時の4人の心をより近くに感じさせる。観客の歌声を聴くためにその都度瞬時にイヤモニを取る藤原の姿にもオーディエンスへのリスペクトが表れ、4人が言葉にしていない気持ちまでもが画面を通してこちらに伝わってきた。
会場を周囲の街ごと捉えた空撮のシーンや、ステージ背面にそびえ立つ湾曲状の巨大なLEDスクリーンなどは、ライブそのものの規模感を伝える上で非常に効果的に映し出される。噴水の演出では流水音もノイズにならない程度の絶妙な音量で入っており、現地に赴いた人ならばあのとき会場で感じた雨上がりの湿度を帯びた風の感触なども蘇るだろう。現地での臨場感を尊重しながら、映像作品としてもしっかり成立させている。
メイキング映像では彼らがどんなツアーを目指していたのかが語られ、この熱演に至るまでのドラマが30分のダイジェストとして凝縮されている。真剣な面持ちで念入りなリハや綿密な話し合いを重ねる4人の姿からは、万全の状態でツアーに臨もうという気概が溢れ、「実際に本番を迎えてみないと見えないこともある」といった旨の発言からは、彼らが事前に作り上げたものを披露するだけではなく、ライブならではの偶発性を重んじていることも伝わってくる。
彼らは音楽にも観客にも愛情を持って真摯に向き合い続けており、現在のバンドの状況に幸福を感じているからこそ、より良いものを作りたいと情熱を燃やしている。それを十二分に裏付ける舞台裏映像である。メンバーが意見を出して変更された演出が、このライブにおいて印象的なワンシーンになっていることなども明かされているため、彼らのクリエイティブの才に唸ることだろう。