©Franck Ferville

バーナード・ハーマン、ジョン・ウィリアムズ……古楽の巨匠・ミンコフスキと都響が驚きの映画音楽に挑む

 〈古楽の巨匠〉として世界的に知られるフランスの指揮者、マルク・ミンコフスキが東京都交響楽団と映画音楽プログラムを演奏する。この一報を聞いたとき、僕はミンコフスキとしてはあまりにも意外すぎる選曲だと驚いた一方、すごい音楽が生まれると確信した。何がすごいのか。公演の聴きどころを紹介する。

 まず、ミンコフスキは間違いなくクラシック音楽界における世界最高峰の指揮者である。19歳で古楽オーケストラ〈ルーヴル宮音楽隊〉を創設し、現在も同楽団を率いる。ミンコフスキの音楽は全く古くなく、常に新しい。彼の手にかかると、魔法がかけられたかのように生き生きとした躍動的な音楽が展開される。

 ミンコフスキのすごさは古楽だけでなく、現代音楽やオペラも含めた多彩なレパートリーにある。古楽という軸はぶれずに、音楽の幅を広げるのは並大抵の努力ではできないだろう。そんなミンコフスキが都響と演奏するのが、映画音楽の礎を築いた大作曲家のバーナード・ハーマンとジョン・ウィリアムズの作品だ。さらに後半はクラシックとポピュラーの垣根を越えて活躍したレナード・バーンスタイン、色彩的管弦楽法で世界中の映画音楽にも多大な影響を与えたモーリス・ラヴェルの“ボレロ”が登場する。ミンコフスキ自身も映画音楽が好きで、「『スター・ウォーズ』を演奏したい。『めまい』の音楽も好き」と語ったことが今公演のきっかけだという。

 ハーマンはオーソン・ウェルズ「市民ケーン」、マーティン・スコセッシ「タクシードライバー」など映画史に残る名作の音楽を担当。中でもサスペンス映画の大巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画音楽を多数手がけた。今回は「めまい」「サイコ」という代表作の音楽を再構成した組曲が演奏される。ハーマンの音楽なくしてヒッチコックの映画なし。一聴すればそのことが実感できるはずだ。

 「スター・ウォーズ」は言うまでもなくジョージ・ルーカス監督の最高傑作である。ジョン・ウィリアムズによるスター・ウォーズの音楽は全世界で最も有名な映画音楽で、クラシックの世界で最も演奏される映画音楽である。オーケストラによる臨場感ある交響組曲がスター・ウォーズの世界に誘う。

 都響は日本トップクラスの実力を持つオーケストラだが、日頃から映画音楽やゲーム音楽などの演奏にも多数関わっており、異色のプログラムにも大きな期待が持てる。古楽の大家が都響とともに奏でる映画音楽をとくと噛みしめたい。

 


LIVE INFORMATION
第1055回定期演奏会Cシリーズ

2026年10月28日(水)東京・池袋 東京芸術劇場 コンサートホール
開場/開演:13:00/14:00
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=4096

都響スペシャル
2026年10月29日(木)東京・池袋 東京芸術劇場 コンサートホール
開場/開演:18:00/19:00
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=4097

■指揮
マルク・ミンコフスキ

■曲目
バーナード・ハーマン:映画『めまい』組曲
バーナード・ハーマン:映画『サイコ』組曲
ジョン・ウィリアムズ:交響組曲『スター・ウォーズ』
バーンスタイン:『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」
ラヴェル:ボレロ