ワーナーミュージックの洋楽名盤シリーズ〈FOREVER YOUNG〉と連動した定番のリイシュー作品を紹介! 今回は、ジョージ・ベンソンやアル・ジャロウ、ラリー・カールトンらの届けたフュージョンの名品が盛りだくさん!

 洋楽名盤をリイシューするワーナーミュージック発の〈フォーエヴァー・ヤング〉シリーズからタイムレスな定番タイトルを紹介していく連載。今回は11月10日に登場する第16弾より、〈フュージョン〉をテーマにした名盤揃いのラインナップを合計22タイトル紹介します。昨今の〈J-FUSION〉ブーム逆輸入の影響などもあって、〈フュージョン〉といえばロッキンでメロディアスなクロスオーヴァー系のインストのみをイメージされることも多いかもしれませんが、実際はAORやヨット・ロック、ソウル/ブラック・コンテンポラリー、スムース・ジャズやイージーリスニングなどと重なるさまざまな作風が、さまざまな演奏家やシンガーたちの作品を通じて〈フュージョン〉として楽しまれてきました。

 まず、そのカテゴリーの先駆者/代表格と目されることも多いギタリスト/ヴォーカリストのジョージ・ベンソンです。どの時代に焦点を当てるかによって作風が変わる人ですが、今回はブラック・コンテンポラリーに傾倒したスタイルでブレイクした時期の4タイトルと、ギタリストに回帰したアール・クルーとのコラボ盤という計5作品が登場。そのアール・クルーはベンソンのライヴ・メンバーも務めたアコースティック・ギタリストで、今回はスムース・ジャズ作法で評価を得たワーナー時代の4タイトルがラインナップされています。AOR文脈からも評価の高いブラコン系統の作品ということでは、80年代にポップ・フィールドでブレイクしたアル・ジャロウの4タイトルも聴き逃せません。

 一方で、日本におけるフュージョン像の確立に影響したギターの名匠、ラリー・カールトンは日本でのライヴ盤を含む5作品がラインナップされています。さらにはかの“Just The Two Of Us”を生んだグローヴァー・ワシントンJrのスムース・ジャズな2作品もあり、ソウル系の仕事で名高いギタリストであるコーネル・デュプリーの初作、ブラジル音楽とソウル/ファンクを融合したデオダートの逸品もあり……ここではそうした心地良くも多種多様な名盤たちを味わっていきましょう!


 

GEORGE BENSON 『Breezin’』 Warner Bros./ワーナー(1976)

60年代から活躍するギタリスト/シンガーのワーナー移籍作で、〈フュージョン〉のイメージを世に広めた名盤。インスト主体のアルバムとしては異例の全米1位を記録し、“This Masquerade”はグラミーの〈年間最優秀レコード〉を受賞した。ボビー・ウーマック作のガボール・ザボ曲を取り上げた表題曲を筆頭に、爽風のようなギターと滑らかな歌唱が流れていく聴き心地はまさにブリージン。

 

GEORGE BENSON 『Give Me The Night』 Qwest/Warner Bros./ワーナー(1980)

巨匠クインシー・ジョーンズが全面プロデュースを担当し、より都会的なディスコ以降のサウンドとスムースなギター&ヴォーカルが融合した名盤。ソウル・チャート首位を記録したロッド・テンパートン作の表題曲をはじめ、マイケル・ジャクソン『Off The Wall』(79年)で成果を上げたクインシー軍団の名手たちがコンテンポラリーな手腕で主役のスタイリッシュな側面を輝かせている。

 

GEORGE BENSON 『In Your Eyes』 Warner Bros./ワーナー(1983)

アリフ・マーディンをプロデューサーに迎え、『Give Me The Night』で獲得したスタイルをさらに洗練させた快作。冒頭の軽妙洒脱な“Feel Like Making Love”のカヴァーからジャケの印象そのままの音が奏でられ、新進気鋭のカシーフが共同制作した“Inside Love (So Personal)”などAOR/ブラコンの佳曲集として楽しめる。ドラマティックな“Lady Love Me (One More Time)”がヒット。

 

GEORGE BENSON 『20/20』 Warner Bros./ワーナー(1985)

軽快なシンセ・ポップ“No One Emotion”での幕開けからあくなきクロスオーヴァー志向の追求が感じられる80年代ならではの華やかなアルバム。マイケル・マッサーやマイケル・センベロをプロデューサーに迎え、豪華な作家陣がキャッチーなポップ・ナンバーを持ち寄っている。多くのカヴァーを生んだ名バラード“Nothing’s Gonna Change My Love For You”のオリジナルもここに収録。

 

GEORGE BENSON, EARL KLUGH 『Collaboration』 Warner Bros./ワーナー(1987)

絶頂期のベンソンが、70年代に彼のグループでセカンド・ギタリストを務めたアール・クルーと再会するという、豪華なギタリスト共演作。マーカス・ミラー(ベース)やハーヴィー・メイソン(ドラムス)、グレッグ・フィリンゲインズ(キーボード)らを従えた両名のメロディアスなアンサンブルが堪能できる名品で、“Brazilian Stomp”などドラマティックなクルー作の楽曲も聴きもの。

 

EARL KLUGH 『Soda Fountain Shuffle』 Warner Bros./ワーナー(1985)

デトロイト出身でブルーノートなどに録音してきたアコースティック・ギタリストの第一人者によるワーナー移籍作。グレッグ・フィリンゲインズやハーヴィー・メイスンがプログラミングも駆使した音作りは80年代らしいが、品のあるギター・プレイが優しく温かい雰囲気を注ぎ込んでいる。ルイス・ジョンソンやパウリーニョ・ダ・コスタ、ポール・ジャクソンJrらの弁えた演奏も実に心地良い。

 

EARL KLUGH 『Life Stories』 Warner Bros./ワーナー(1986)

引き続きグレッグ・フィリンゲインズのモダンなサウンドを基調にしながら、デヴィッド・マシューズとドン・セベスキーという2人の巨匠にストリングス・アレンジなどを委ねた、味わい深い大人のギター・アルバム。アイズレー・ブラザーズ“For The Love Of You”のカヴァーもリッチに響かせ、自身で鍵盤やシンセのアレンジを担当した軽快な“Second Chance”も意欲的だ。

 

EARL KLUGH 『Volume One』 Warner Bros./ワーナー(1991)

ラルフ・アームストロング(ベース)、ジーン・ダンラップ(ドラムス)とのトリオでレコーディングしたアルバムの第1弾。“Days Of Wine And Roses”や“Love Theme From Spartacus”“I Say A Little Prayer”などのスタンダードをライヴ感のある演奏で聴かせる。当然ながら破綻はないものの、軽やかで滑らかなギターが紡ぐアコースティックな温かみは唯一無二だ。

 

EARL KLUGH 『Sudden Burst Of Energy』 Warner Bros./ワーナー(1996)

本人はギターとキーボードを担当し、ジーン・ダンラップやロニー・フォスターやバーナビー・フィンチら馴染みの名手たちを迎えてリラックスしたセッションを展開するセルフ・プロデュースのスムース・ジャズ名作。要所でリゾート感のあるリズムが入ってくるのも心地良い。なお、後にエミネムの制作パートナーとして名を上げる鍵盤奏者のルイス・レストが初参加している。

 

CORNELL DUPREE 『Teasin’』 Atlantic/ワーナー(1974)

アレサ・フランクリンやダニー・ハサウェイらの作品でキャリアを積んできた名ギタリストが発表した初のソロ名義作。ブルースとソウルを基調に味わい深いギター・プレイを聴かせ、チャック・レイニー(ベース)やバーナード・パーディー(ドラムス)、この後スタッフを組む盟友リチャード・ティー(キーボード)らの演奏も素晴らしい名盤だ。なお、ジャーメイン・デュプリの芸名の由来でもある。

 

LARRY CARLTON 『Larry Carlton』 Warner Bros./ワーナー(1978)

クルセイダーズやフォープレイの活動でも名高い伝説的なギタリストがワーナー移籍第1弾として発表し、ジャズ × ロックの進化形態としてのフュージョンの美意識を提示した名盤。空を駆けるような冒頭の“Room 335”からメロディアスでどこまでも爽快なフュージョン・ギターの真骨頂が堪能できる。“Where Did You Come From”などで聴ける内省的なヴォーカルも味わい深い。

 

LARRY CARLTON 『Strikes Twice』 Warner Bros./ワーナー(1980)

78年11月の来日公演の模様を収めたライヴ盤『Mr. 335 Live In Japan』(79年)を間に挿みながら、前作『Larry Carlton』の路線を意欲的に推進した力作。ドライヴ感に溢れたプレイと洗練されたLAサウンドが全編で調和し、“Room 335”を発展させた表題曲は以降のライヴで定番の人気曲となった。AORタッチの素朴な歌唱曲やほぼ全編を自身で演奏した哀愁の“For Love Alone”も上々。

 

LARRY CARLTON 『Sleepwalk』 Warner Bros./ワーナー(1982)

前作までのカラッとしたロック・テイストが後退して、ルーツであるブルースのフィーリングやメロディアスな側面にフォーカスした繊細な逸品。スティーヴ・ガッドやジェフ・ポーカロらが曲ごとにドラムを担当し、洒脱な“Upper Kern”にはデヴィッド・サンボーン(サックス)もフィーチャー。ブリージンでドリーミンな表題曲などリラックスした空気感を纏った楽曲が余韻を残す一枚だ。

 

LARRY CARLTON 『Eight Times Up』 Warner Bros./ワーナー(1982)

82年1月の来日公演の模様を収録し、しかも前回と同じく東京郵便貯金会館を舞台としたキャリア2枚目のライヴ盤。テリー・トロッターやブライアン・マン、エイブ・ラボリエル、ジョン・フェラーノ、パウリーニョ・ダ・コスタという凄腕のレギュラー・メンバーたちとダイナミックな演奏を展開する。幕開けの“Think Twice”からライヴ感に溢れた自由闊達なギター・プレイが聴きものだ。

 

LARRY CARLTON 『Friends』 Warner Bros./ワーナー(1983)

タイトル通り〈友人たち〉とのコラボをテーマに、リラックスした雰囲気で仕上げられたセッション・アルバム。ジェフ・ポーカロやマイケル・ブレッカー、ジョー・サンプルらがバックを出入りし、アル・ジャロウのスキャットをフィーチャーした“Tequila”、BB・キングがギターを弾く“Blues For T.J.”というスペシャルな共演もある。多彩な交流が音楽性の幅に直結した一枚だ。

 

AL JARREAU 『This Time』 Warner Bros./ワーナー(1980)

ミルウォーキー出身の〈人間楽器〉と呼ばれたジャズ・ヴォーカリストがワーナーに移籍して発表した通算4作目。同年にエアプレイの初作を発表したジェイ・グレイドンをプロデューサーに迎えて時代の雰囲気をキャッチし、唯一無二の歌唱をソウル/AOR的なセンスで響かせている。ジャズ・チャート首位を獲得した本作の成功は、メインストリーム路線を推進していく転換点となった。

 

AL JARREAU 『Breakin’ Away』 Warner Bros./ワーナー(1981)

引き続きジェイ・グレイドンと組み、代表曲“We’re In This Love Together”を筆頭にAOR〜ブラック・コンテンポラリー系の洒脱なスタイルでさらなる躍進を果たしたキャリア最大のヒット作。デヴィッド・フォスターやマイケル・ボディッカー、TOTO勢ら演奏陣の顔ぶれも80年代LA産ならでは。グラミーでは〈最優秀ポップ・ヴォーカル〉と〈最優秀ジャズ・ヴォーカル〉の2部門を受賞している。

 

AL JARREAU 『Jarreau』 Warner Bros./ワーナー(1983)

ジェイ・グレイドンとの黄金タッグによる3作目。デヴィッド・フォスターらが引き続き脇を固め、ソフト&メロウな“Mornin’”がソウル・チャートでヒットしたほか、マイケル・オマーティアンによる軽快な“Boogie Down”など、上品なポップ・テイストでまとめられたアダルト・コンテンポラリー作品となっている。ここで確立された不動の人気は“We Are The World”参加まで続いていった。

 

AL JARREAU 『Tenderness』 Reprise/ワーナー(1994)

ワーナー系列からの最終作。マーカス・ミラーをプロデュースに迎えたスタジオ・ライヴ形式で一発録音され、冒頭の“Mas Que Nada”から“Try A Little Tenderness”などのカヴァーを中心に、整ったポップ・サウンド主体の80年代にはない自由さで圧巻のヴォーカル・パフォーマンスを聴かせる。スティーヴ・ガッドやジョー・サンプル、デヴィッド・サンボーンら演奏メンバーも豪華。

 

GROVER WASHINGTON JR. 『Winelight』 Elektra/ワーナー(1980)

70年代にクードゥーなどでジャズ・ファンクの名品を連発したサックス奏者が、80年代の扉を開いたエレクトラでの2作目。ラルフ・マクドナルドとの共同プロデュースでイージーリスニングとソウルを折衷した都会的でコンテンポラリーなサウンドを鳴らしている。ビル・ウィザーズが歌った説明不要の名曲“Just The Two Of Us”はグラミーの年間最優秀レコード部門に輝いた。

 

GROVER WASHINGTON JR. 『The Best Is Yet To Come』 Elektra/ワーナー(1980)

スムース・ジャズ路線をさらに突き詰めたエレクトラでの4作目。ラルフ・マクドナルドとデクスター・ワンゼルが制作を分け合い、前者はマーカス・ミラーやエリック・ゲイル、ヨギ・ホートンらを従えて『Winelight』と地続きの洗練された心地良さを追求。フィリー録音の後者は、パティ・ラベルが歌ってヒットした表題曲やボビー・マクファーリンとの“Things Are Getting Better”を生んだ。

 

EUMIR DEODATO 『Love Island』 Warner Bros./ワーナー(1978)

この後プロデューサーとしてソウル方面で大活躍することになるブラジルの鍵盤奏者、エウミール・デオダートがワーナーに移籍して放ったメロウ・フュージョンの快作。トミー・リピューマを共同プロデューサーに迎え、ハーヴィー・メイソン(ドラムス)を筆頭とするLAの敏腕たちとAOR的な洗練のサウンドを奏でている。モーリス・ホワイトと共作した“Tahiti Hut”にはEW&Fの面々が参加。