清爽なヒップホップR&B調の“Diggin' On U”で開幕する早熟の初作。同曲や“One Last Kiss”では小気味良いラップも聴かせ、柔らかくもディープな“LOVIN U”にはルーツにあるニュー・クラシック・ソウルの趣が。10代にして生バンドによる小粋なジャズ曲“Rainy Day's Morning”もモノに。
どことなくニュー・エディション“Mr. Telephone Man”を連想させる甘酢な“CREAM”が出色。甘く切ないメロディーが90sのベイビーフェイスに匹敵する優美なバラード“Close to you”もありつつ、ボートラの“Let's Groove”では70sディスコ~ブギーで新境地を拓き、遊び心も見せる。挑戦の2作目。
ジョーとの共演曲“"Be With You"”も収録された、R&B色が際立つ深化の3作目。他にも80sファンクな“Party All Night”やブラコン~フュージョン路線の“Midnight Flight”、トークボックス使いの“Winter Love Song”、ネオ・フィリー的な“So Good”、ディアンジェロ風の“Eclipse”が。
冒頭2曲はヒップホップR&B経由、古典ソウル行きの解釈が窺える佳曲。プリンス趣味丸出しの粘着質なスロウ・ファンク“Overflow”がありつつ、“Your song”“Only me, Only You”“Tonight”にはもうひとつのルーツであるビリー・ジョエル的なピアノマン志向が表出。原点回帰の4作目。
多能な歌い手であることを痛感するカヴァー集。“白い恋人達”ではとろみのあるコブシと美しいファルセットで聴き手を引き寄せ、“even if”では平井堅の歌いグセまでコピー。“誰より好きなのに”を真っ黒なブラス・ファンクに仕立てたかと思えば、“化粧”ではフォーキーな囁き唱法で魅せる。
華美で力強いヒップホップ調の“Impossible”が印象的だが、本作でめざした方向の本質は、数多のソウル歌手も歌ったキャロル・キング“You've Got A Friend”のカヴァーと、アコギが掻き鳴らされる“シンガーソングライターの唄”だろう。内なるソウル志向をポップに昇華してみせた、洗練の5作目。