Girls Dead Monster Keep The Beats! Key Sounds(2010)

〈泣きゲー〉のパイオニアであるゲーム・シナリオライター/音楽プロデューサーの麻枝准が初めて携わったアニメ作品「Angel Beats!」の劇中バンド、Girls Dead Monsterの2代目ヴォーカリスト・ユイ役の歌い手として一枚を通して参加した、同アニメのヴォーカル・アルバム。その麻枝が全曲で作詞/作曲を、同人シーンでも活動するクリエイター、光収容が編曲を担当した本作は、アコギのみを伴った弾き語りナンバーから疾走感溢れるギター・ロックまで、(アニメの舞台は死後の世界だが)日々を懸命に生きる少年少女のひたむきさを言葉とサウンドで表現。LiSAも活き活きと表情を変えるフレッシュな歌唱でその心情を体現している。

 

 

LiSA Letters to U アニプレックス(2011)

ソロ名義でのファースト・ミニ・アルバムでは、ニコ動や同人界隈で活動するプレイヤー/トラックメイカーを多く起用しており、激しくドライヴする“永遠”を岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)が、性急なビートの狭間でカオティックな展開を見せる“エスケープゲーム”をハチこと米津玄師が、ユーモラスなギター・フレーズが交錯する“覚醒屋”をwowakaが提供。ガルデモのユイとしては見られなかったシニカルな攻撃性を滲ませる歌い口が新鮮だ。また、これ以降たびたびタッグを組むことになる田淵智也UNISON SQUARE GARDEN)は本文で言うところの〈テヘペロ系〉ロック・チューン“妄想コントローラー”で軽快なステップを誘い、カノンアンティック-珈琲店-)はスケール感のあるバラード“無色透明”でLiSAの強い意志を引き出している。共作の1曲を除き、詞はすべて自身が担当。音に寄せたキャラの使い分けがお見事。

 

 

LiSA LOVER"S"MiLE アニプレックス(2012)

ベーシックな編成のバンド・サウンドを基調としていた前作から一転、先行シングル“oath sign”と同じく渡辺翔×とく(GARNiDELiA)の作/編曲コンビによる、ストリングスをふんだんに使用したエモーショナル・チューン“優しさに辿りつくまで”で幕を開ける初のフル・アルバム。本作では曲調の幅がより広がっており、はすっぱな歌唱で挑発するwowaka製の“EGOiSTiC SHOOTER”や、彼女のライヴにおいてアグレッシヴ・パートを担う“ROCK-mode”といった田淵智也によるナンバー、LiSAがソロ活動以前に活動を共にしていたLove is Same Allが編曲した“笑ってほしくて”が主役のロックな面を体現するなか、古屋真が開放的&リラクシンな歌詞を誂えた“WiLD CANDY”“花とミツバチ”はこの作品のポップ・サイドか。支えてくれるリスナーへの愛と感謝をみずからの手で綴った“LOVER"S"MiLE”はもちろん、麻枝准のペンによるおとぎ話のような歌世界をANANT-GARDE EYESが組曲風の長尺バラードにアレンジした“終わらない歌”も、LiSA自身の歌に対する思いを暗喩しているようで感動的。

 

 

LiSA LANDSPACE アニプレックス(2013)

自身の身上である〈今日もいい日だっ。〉を投影した初のノンタイアップ・シングル“best day, best way”の成功で備えた自信が感じられる2枚目のフル作。彼女のルーツにあるUSポップ・パンク~西海岸サウンドを反映させた楽曲も増量するなか、カヨコが手掛けた“DOCTOR”ではエロティックな振る舞いで聴き手を翻弄し、清水葉子UNLIMITS)が書き下ろした“うそつきの涙”では女性らしい切なさを滲ませ、HIDEO NEKOTAFOX LOCO PHANTOMGOLIATHTHE TEENAGE KISSERS)が担当した“traumerei”では逆に〈男前なLiSA〉で斬り込んだりと、初顔合わせとなったソングライターたちとも好相性を見せている。また、エッジーにもキャッチーにも振り切れるakkinのアレンジや、各作家陣によるトリッキーなメロディーラインを乗りこなすシンガーとしての力量も格段にアップ。ラストには、彼女が初めて作詞/作曲の両方を手掛けた“winding road”も置かれ、多面的なチャレンジが作品全体をポップに彩る一枚となっている。