インタビュー

Nao Yoshioka、R&Bの名匠ゴードン・チェンバースやブライアン・オウエンズら迎えオリジナル曲中心に据えたメジャー初作

Nao Yoshioka、R&Bの名匠ゴードン・チェンバースやブライアン・オウエンズら迎えオリジナル曲中心に据えたメジャー初作

 英語でソウル・ミュージックを歌って世界をめざす……と言っても、「冗談でしょ?」と本気にされなかった。だが、デビュー作から1年半ぶりとなる新作『Rising』を完成させたNao Yoshiokaは、もう世界の舞台に立っている。初のメジャー・デビュー盤となる今作は、カヴァーに重点を置いていた前作『The Light』と違ってオリジナル曲が中心。単に〈歌える〉という次元を超え、その先をめざした作品なのだ。 

Nao Yoshioka Rising YAMAHA(2015)

 「以前は怖気づきながら〈私を認めて!〉だったのが、『The Light』を出したことで自信がついて、全力でやった今作は〈どうぞ聴いてください!〉という作品です。自分で歌詞を書いたことで、メッセージをダイレクトな形で伝えられたと思います。とにかく今回は清々しいです」。

 メジャー進出はしたが、現在も彼女のホームはデビュー時と同じくSWEET SOUL RECORDS。前作同様、ネオ・ソウルを主力アイテムとするレーベルを通して培った人脈を活かし、ライヴなどで共演してきた世界のソウルメイト(“Awake”を手掛けた松田博之を含む)にプロデュースを仰いだ本作は、東京を含む3か国4都市で録音された。海外では精神面、環境面で相当苦労したようだが、特にトラブルの多かったオランダのロッテルダムでは悪条件を逆手に取って、「ハチロクのバラードを歌いたくて作った」という“Joy”などの制作を彼女自身が手掛け、Naoの総合プロデューサーであるSWEET SOUL代表の山内直己ゴー・ゴー・ビートの“Forget about It”を制作。加えて、ライヴでは必ずアレサ・フランクリンの曲を歌っているNaoらしく、そのオランダ滞在中にはシャーマ・ラーズの制作で“Rock Steady”をカヴァーしてもいる。

 「アレサの歌が自由すぎて人の曲でもオリジナルみたいになるように、私も自分のカラーが出せたらいいなぁと。それで今回のカヴァーではライヴでやっていたカッコいいリフも加えました」。

 一方で「本当に楽しかった」と語るのが、米セントルイスでのブライアン・オウエンズとの録音。その楽しさは冒頭のJB×モータウン的なファンク “Love Is the Answer”においても全開で、〈私には醜い部分だってある〉と歌う“I'm No Angel”やナッシュヴィルの奇才マイク・ヒックスも関与した“Nobody”では、ブライアンがゴスペルに基づいたレトロなソウル感覚でNaoのブルース趣味を引き出している。

 「ブライアンがディレクションしてくれたことで歌に命が注ぎ込まれました。レコーディングの終わりでは同じ曲が違う曲に思えるくらいイキイキしてましたね。自分の限界も越えさせてくれました。ブルースは歌いたくても自分で書けなかったんですが、彼がヒントをくれて出来上がったんです。(ダイナ・ワシントンで有名な)“Evil Gal Blues”とか、本気だけど冗談みたいな雰囲気が好きで。もちろん、ただのレトロなブルースじゃなくて新しさも入っています」。

 そして、世界をめざす彼女にとって、R&Bの名匠ゴードン・チェンバースとのタッグ(NY録音)は、さらに一歩、夢に近づいたコラボだろう。“Dreams”“I Need You”、そしてタワレコ限定盤のみに収録の“Rise”と、どれもゴードンらしい美しく繊細なバラードだ。

 「ゴードンは私になかった面を引き出してくれました。〈もっと静かな声でいい〉って言われて……私、あんなにソフトに歌ったことがないんですよ。でも、曲の最後では爆発する。彼の頭の中には〈曲のあるべき姿〉があって、私はその地図の上を歩いている感じだったんですけど、出来上がった音源を聴いて彼の考えがわかりました」。

 ネオ・ソウルの名門パーパスから前作の全米リリースも決まっているNaoだが、〈ソウルを歌う日本人〉として珍しがられるのではなく、J-Popの新たな地平を切り拓きながら世界と真っ向勝負したいと意気込む。

 「今回は自分自身が輝きはじめて人に夢をシェアできるような音楽をやっていくという、自分の中での決意のようなアルバムです。のたうち回りながらも成長(Rising)していくと思いますが、変なヤツが出てきたな、くらいの感じでおもしろがってくれたら嬉しいですね(笑)」。

 映画のワンシーンのように美しく、一方で作り手のアナーキーさが滲み出た一枚。ひたすら真っ直ぐに進んでいく姿が最高に眩しい。

 

Nao Yoshioka
関西出身のソウル・シンガー。幼い頃から歌いはじめ、16歳でデビューのきっかけを掴むも渡米。NY在住時の2009年にアポロ・シアターの〈アマチュア・ナイト〉で準優勝している。帰国後の2012年にSWEET SOULから配信シングル“Make the Change”でデビュー。同年にはコンピ『TOWER RECORDS CAFE -shibuya smooth music-』にてmabanuaとのコラボも経験する。翌2013年に発表したファースト・アルバム『The Light』が高い評価を得る。2014年はライヴ活動に注力し、海外ツアーも敢行。パーパスから初作が全米リリースされることも話題となるなか、このたびメジャー・デビュー作となるセカンド・アルバム『Rising』をリリース。