フランキー・ナックルズの元で放った“Tears”(89年)のヒットから始まり、25年以上も前から世界の第一線で活動してきたサトシ・トミイエ。メジャー球界でいうと野茂みたいな存在にあたるわけだが、そんな先駆者が15年ぶりにオリジナル・アルバムを出すとなれば、これはもう事件だ。そして、ここに提示された骨太な内容は軽々と期待を越えるもの! 超一級品のエレクトロニック・ミュージックを知り尽くしているからこそのハイブリッドでディープな音像。ジャズ/フュージョンに精通した彼ならではの曲展開とか、ミニマルに潜行する渋いハウスとか、進化したプログレッシヴ・テイストとかいろいろあるけど、全編有無を言わさぬ貫禄と迫力、前進する勢いに満ち溢れていて、〈凄い〉という言葉しか出てこない。