COLUMN

ヴィンセント・ハーリング、自らのルーツ辿りながらハードバップ&ファンキー・ジャズの進化と未来を表現した新作

Photo by Takehiko Tokiwa Vincent Herring @ Smoke, NYC

 

高々と上がるネオ・ハードバップ&ファンキー・ジャズの烽火

 アッパー・イーストサイドのジャズ&サパー・クラブ〈Smoke〉が、レーベル〈Smoke Sessions Records〉を立ち上げたのは2013年だった。当初は、同クラブの常連出演者のヴェテラン、中堅アーティストのライヴ・アルバムを中心としたが、2015年のリリースからは、舞台をアコースティック録音では評価の高いシェア・サウンド・スタジオに移し、96KHz/24bit のハイレゾ録音をアナログ・テープにミキシングし、ハイレゾ、CD、重量盤LPの高音質でリリースしている。

 同レーベル13作目の本作には、現代のハードバッパー、ヴィンセント・ハーリング(as)が2作目の登場だ。キャノンボール・アダレイ(as)・レガシー・バンドの同僚のジェレミー・ペルト(tp)とフロントを執り、マイク・ルドーン(p)、ジョー・ファーンズワース(ds)のSmokeのハウス・リズム・セクションに、カナダ出身の新鋭女性ベーシスト、ブランディ・ディスターヘフトが加わった。

VINCENT HERRING Night And Day Smoke Sessions(2015)

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 ヴィンセント・ハーリングは、80年代半ばにニューヨークのシーンに登場してから、アート・ブレーキー(ds)・ジャズ・メッセンジャーズ、キャノンボール・アダレイ (as)の実弟のナット・アダレイ(tp)・クインテット、シダー・ウォルトン(p)のグループと、ハードバップ&ファンキー・ジャズの重鎮達のグループで、その薫陶を受けて音楽的人格を形成してきた。本作でもキャノンボールの〈Wabash〉、ウォルトンの〈Theme for Jobin〉が取り上げられている。またマイク・ルドーンによるトリビュート曲〈Walton〉も、熱いハードバップ曲だ。タイトル曲の〈Night & Day〉は、チャーリー・パーカー(as)のヴァージョンを発展させた。ヴィンセント・ハーリングが自らのルーツを辿りながら、ハードバップ&ファンキー・ジャズの進化と未来を表現した作品である。

【参考動画】ヴィンセント・ハーリング・カルテットによる“Wabash”演奏の模様(2014年)
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