カリブ海経由のアフロリズム、ヨーロピアンなギターやヴァイオリンの華麗な弦楽器アンサンブルから成る民族音楽、メキシコ東海岸ベラクルス地方のソン・ハローチョ音楽。そのソン・ハローチョの顔である実力派バンド、ソン・デ・マデーラが制作したメキシコ史上輝く大傑作のアコースティック作品。海と大地を彷彿させる色彩豊かなカリブのリズムや鳴り響くギターの音色、牧歌的であり普遍的な美しいメロディや歌は無二の世界。奏でること、歌うこと、つまりは音楽の根源的な魅力を伝える感動作品なのです。ゲストには、グラミー賞受賞ケッツァルのマーサ・ゴンサレスとロス・ベガのラケル・ベガが参加。
黒田朋規(タワーレコード神戸店)
intoxicate 2015 August
ソン・ハローチョの伝統をいまに継ぐメキシコはヴェラクルスの4人組によるこの新作は、同地に伝わるカリブ海の音楽を色濃く反映させた内容に。波間にたゆたうような感覚をもたらすリズムは風雅と表現するほかなく、叙情味溢れる歌や哀感に満ちたレキント・ギターと相まって甘美なノスタルジーを生成、涙腺をグイグイと刺激する。詩情溢れる物語や風景が浮かんでは消えていく、あまりに美しいアコースティック盤だ。