コラム

ショーターに捧げる〈Children Of The Light〉―原雅明が綴る深い愛情と理解に支えられた実力派トリオの初録音盤

ショーターに捧げる〈Children Of The Light〉―原雅明が綴る深い愛情と理解に支えられた実力派トリオの初録音盤

Danilo Pelez, John Patitucci, Brian Brade
他に類を見ない完成度の高さ~この3人だからこそのコンビネーション

 ウェイン・ショータージャズ・メッセンジャーズ時代の代表曲から名前を採って、チルドレン・オブ・ザ・ライト・トリオ名義でこれまでライヴをおこなってきたダニーロ・ペレスジョン・パティトゥッチブライアン・ブレイド。そのトリオの初めてのスタジオ録音が遂に届いた。言わずもがなだが、この3人は、ショーターのアコースティック・カルテットのメンバーで、近年のジャズの新作としては圧倒的なまでに高い評価を得た『Without A Net』を作り上げた面々でもある。そして、本作もショーターに捧げられたもので、本人にこの録音を聴かせる際に、「3人の気持ちとすべてのレッスンへの感謝をこめた贈り物」であると伝えたそうだ。

DANILO PEREZ,JOHN PATITUCCI,BRIAN BLADE Children Of The Light Mack Avenue/King International(2015)

※試聴はこちら

 ショーターへの3人の深い愛情と理解が、本作を成立させているのは聴けばすぐに分かる。『Without A Net』で維持されていた緊張感を継続しつつも、3人の柔軟性のある、自由度の高いプレイを楽しむことができる。それは、ショーターが作り上げた関係性なのだろうと想像もできる。単なるピアノ・トリオの作品とは片付けられない、ショーターも含めた、各人のキャリア、経験が幾重にも重なり合って 出来上がった作品で、しかし、最終的にはシンプルで無駄のない音楽を構築しているのが印象深い。

【参考動画】ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドによる2015年の演奏

 

 ダニーロ・ペレスの『Across The Crystal Sea』や、ブライアン・ブレイド・フェローシップの『Landmarks』など、各人の近作も素晴らしい作品が多いのだが、この3人のコンビネーションは、他に類を見ない完成度をいまのジャズの世界にもたらしているのではないだろうか。目新しいことは何もしていないが、しかし後ろ向きの演奏をしているわけでもない。気負いや自惚れとは無縁の、ジャズを演奏することへの矜持がこの音楽には感じられる。やや抽象的な言い方になってしまうのだが、そうしたものをほんとうに感じさせるジャズは少ないことを教えてもくれるのだ。

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