グループ結成10周年を迎えた2012年以降、キャリア初のベスト盤『Four Pieces: The Best Selection』や6枚目のオリジナル・アルバム『SOUL COOKIN'』、そしてそのツアーをパックしたライヴ盤『Soul Delivery Live -Shibuya AX-』のリリースに加え、各々の充実した課外活動などを通じて、ますます存在感を強めてきたquasimodeネオ・ソウルヒップホップ感覚を打ち出してロバート・グラスパーら新生ブルー・ノート周辺とも共鳴しながら、日本ジャズ・シーン屈指の人気と実力とセンスの良さを見せつけるこのクァルテットが、このたびカヴァー・アルバム『My Favorite Songs』をリリースしました。

quasimode My Favorite Songs ユニバーサル(2014)

 彼らのカヴァー・アルバムということでは、レーベル移籍第1弾にして、ブルー・ノート創立70周年を記念した2009年の『mode of blue』を頭に浮かべる方も多いかと思いますが、今回は制約なしにフェイヴァリット・ソングをセレクト。年代もバラバラなら、ジャズロックソウルにとカテゴリーもさまざまです。もちろん、前作『SOUL COOKIN'』ではアン・ヴォーグ“Give It Up Turn It Loose”を、2011年作『Magic Ensemble』ではローリング・ストーンズ“Sympathy For The Devil”を、2009年作『daybreak』ではダン・ハートマン“Relight My Fire”を……と、これまでもスタジオ作品に忍ばせてきたカヴァー曲のチョイスからもわかる通り、今回のラインナップにことさら驚いてみせるのは野暮な話。とはいえ、こうして11曲をずらっと眺めると、そこからメンバーの音楽的嗜好だったり、世代感だったりがより鮮明に見えてくる気がして興味深くないですか!?

 また、熱心なファンなら、松岡“matzz”高廣(パーカッション)の別ユニット、Tres-menとの違いも気になるかもしれません。カヴァー曲を中心にDJ目線でジャズ・ハウスなどにアプローチしていく、フロア志向の高いそのTres-menに対し、ここでのquasimodeの作法は非常にソング・オリエンテッド。どの曲もメロディーを前面に出すことで、メンバーが〈踊れるジャズ〉と共に掲げてきた〈ジャズの敷居を下げて、ポップスのように楽しんでもらおう〉という狙いが、グッとわかりやすく提示されています。そんな『My Favorite Songs』をきっかけに、グループの新章がスタートするような気がしてならないのですが、いかがでしょう。

 

▼quasimodeの作品

左から、2009年作『mode of blue』、2011年作『Magic Ensemble』、2012年作『SOUL COOKIN'』(すべてユニバーサル)
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▼関連作品

左から、平戸祐介の2012年作『Speak Own Words』(ユニバーサル)、松岡"matzz"高廣が在籍するTres-menの2014年作『Let's Get Going!』(Playwright)
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