『As If』のインスピレーション源はこれだ!!!
80年代に地下シーンを揺るがしたZE勢と共鳴する雑食性とトリッキーなサウンドで、結成時から世界に向けて熱量たっぷりのグルーヴを振り撒いてきた!!!。その根底にはファンクやパンクのDNAが常に横たわっていたが、ミニマル化を図ったり、ライヴ感を強めてみたりと変化を厭わない姿勢もまた!!!ならではだろう。そんな彼らのニュー・アルバム『As If』でキーとなるのがハウス・ミュージックだ。制作過程を語るメンバーの口からは、ロウハウスの牙城であるL.I.E.S.や、シカゴ・ハウスの伝説的存在であるダンス・マニアを筆頭に、ナイト・ライフを謳歌してきた人たちならニヤリとしてしまう名が次々と飛び出す。実際に聴いてみると、冒頭曲にはニーナ・クラヴィッツのヒプノティックさがあったり、ムーディーマンに通じるラフな音像が楽しい“Sick Ass Moon”では、ディスクロージャー“Second Chance”を筆頭にここ数年の流行でもある、R&Bからサンプルしたヴォーカルのカットアップを用いたり、“I Feel So Free (Citation Needed)”ではグリーン・ヴェルヴェットのお株を奪うハード・ハウスとファンクの合体技を見せつけたりと、最新トレンドから古典まで、熱心に研究している姿が脳裏に浮かぶ出来映えだ。
さらに、オールド・スクールなディスコやモータウン、フィリー・ソウル、ガラージへの情熱も包み欠かさない。テクノロジーのみならずエモーショナルな生の要素も追求し、“Every Little Bit Counts”や“Freedom! ’15”では、ソウルフルなメロディーで曲に多幸感をもたらしている。またストレートなダンス・サウンドばかりでなく、狂気を孕んだインダストリアル・ファンク“Bam City”(これを作る前にジャム・シティの『Classical Curves』を聴きまくっていたんだって!)、ブラッド・オレンジ顔負けのサイケなインディーAOR“Lucy Mongoosey”など、この一枚でさまざまな表情を披露し、バンドの特異性を遺憾なく発揮。本当におもしろい集団である。