INTERVIEW

SPECIAL OTHERSが新作『WINDOW』を機に語る、本質的にカッコイイものを積み重ねることで洗練された〈メイド・イン・ジャパン〉な音楽【後編】

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やりたいことがいっぱいある

――では、この機会にこれまでにリリースしたアルバムのなかでいちばん思い出に残ってるものを訊いてみたいのですが。

芹澤「いちばん思い出に残ってるのはコラボ盤(『SPECIAL OTHERS』)じゃない?」

宮原「『BEN』じゃない? 1枚目だよ」

柳下「衝撃度で言ったら『BEN』だね」

又吉「『BEN』か『IDOL』かな」

宮原「『BEN』だな」

――……これは一人ずつ訊いたほうがいいかもしれませんね。では又吉さんは、『IDOL』?

又吉「なんてったってメジャー・デビュー作だからね。ようやくメジャーというところに行くんだ、どういうものなんだろうっていう興味があった。インディーの頃はショット(1枚ずつレーベルと契約する)だったから、結構不安っちゃ不安じゃないですか。だからメジャーはそうじゃなくなるし、どうなるのかな~と」

SPECIAL OTHERS IDOL ビクター(2006)

――そういう意味で思い出深いと。

又吉「“IDOL”が出来た時はすげーカッコイイ曲になった、マジですごいわと思った記憶がある」

【参考動画】SPECIAL OTHERSの2006年のミニ・アルバム『IDOL』収録曲“IDOL”

 

――いまでもライヴの定番曲ですよね。私も好きです。ではヤギさんは?

柳下「『BEN』も確かに印象に残ってるけど、『Good morning』かな」

SPECIAL OTHERS Good morning ビクター(2006)

――初のフル・アルバムですね。

柳下「さんざん俺らはミニ・アルバムしか作らないって言ってたけど、〈フル・アルバム作ってみたらどうだ?〉って言われて、〈じゃあ……〉って作った」

――なんでミニ・アルバムにこだわってたんですか?

柳下「インスト・バンドだし、全5曲ぐらいが聴きやすいんじゃないかなと思って。それ以上になると訳わかんなくなっちゃうんじゃないかと。でもフル・アルバムを作ってみて、山中湖に合宿行ったりして作る過程がものすごく楽しかった。SPECIAL OTHERSというバンドの創世記からいまの形になるまでのムードが一枚に凝縮されてると思う。ここに至るSPECIAL OTHERSの起点というか」

【参考動画】SPECIAL OTHERSの2006年作『Good morning』収録曲“AIMS”

 

――なるほど。では宮原さんは?

宮原「『BEN』じゃないほうがいいんだよね」

――そうですね(……いや、それでもいいのにそう答えてしまった)。

宮原「『Have a Nice Day』かな」

SPECIAL OTHERS Have a Nice Day SPEEDSTAR(2012)

――その心は?

宮原「その心はね、コラボ盤(2011年作『SPECIAL OTHERS』)後の、ヴォーカリストがいなくなった作品で注目度の高さもあるだろうと思ってたから、どんなSPECIAL OTHERS感を出していくか、というのを考えて作ったこともあって、思い出深い気がするな」

【参考動画】SPECIAL OTHERSの2012年作『Have a nice day』収録曲“ROOT”

 

――内容的に言うと宮原さんは『THE GUIDE』だと思ったんですよね。

宮原「その心は?」

――すごくアフロビートのイメージ、トニー・アレンが好きっていうイメージがあったから、そういうビートの楽曲が印象的なアルバムといえば『THE GUIDE』かなと。

宮原「なるほどね。まあどれも思い出深いんだけど」

――まあそうですよね。はい、では最後に芹澤さん。

芹澤「コラボ盤だと思ったけど、いまは『WINDOW』かな。いままででいちばん鍵盤という楽器にちゃんと向き合った気がする。シンセの音を探してみたりだとか、個人的にいちばん鍵盤という楽器としっかり向き合ってることが新鮮だったから」

――これまでもエフェクターによって音の種類が増えたりしたことありませんでしたっけ?

芹澤「あった」

――でも今回はそういう意味ではなく?

芹澤「あの頃はね、鍵盤として良い音を出すというよりは、〈おもしろい音を出す〉という捉え方だったというか、奇を衒ったというか。でもいまは鍵盤ありきで、鍵盤としてどういったおもしろい音を出せるかというほうが楽しくなってきてる。例えばブラッド・メルドーはディレイをすごい使ってローズの音を出したりしてるんだけど、あの人はローズの音のなかでその音を出してるんだよね。そうやって鍵盤のなかでどれだけおもしろい音を作っていけるかっていうことを個人的に考えはじめたという意味で『WINDOW』に思い入れがあるかな」

【参考動画】メリアナ(ブラッド・メルドー&マーク・ジュリアナ)の2015年のライヴ映像

 

――ほ~、なるほど。普段聴いている音楽から得たものを作品に活かすことは結構あるんですか?

芹澤「それしかない」

――『WINDOW』の場合だとメルドー以外に何かありましたか?

宮原「最近はマーク・ジュリアナとか、ロバート・グラスパー・エクスペリメントクリス・デイヴと交代で入ったマーク・コレンバーグが気になってて。ロバート・グラスパー・エクスペリメントのようなちょっとモダンな音作りが好きになってきたかな。現代的なドラム。昔は、ミュートしなかったりとかちょっと古めかしい音を作ってたんだけど、最近はそういうライヴを観て、ちょっと現代的にしていってる傾向にある」

【参考動画】ロバート・グラスパー・エクスペリメントの2013年のライヴ映像

 

――そういういまっぽい感じの。おもしろいですね。

柳下「俺はNYのシーンとか常に気になっちゃったりする。いま言ってたクリス・デイヴみたいな格好良いドラムの人がいたり、ギターだとカート・ローゼンウィンケルあたりに共通した雰囲気があるんだけど、ちょっと整理されたフレージング、機械的なフレージングがいまっぽくてカッコイイなと思って、そういう感じを採り入れたりしましたね」

【参考動画】アーロン・パークス(ピアノ)ら擁するカート・ローゼンウィンケル・クアルテットの
2015年のライヴ映像

 

又吉「俺はあんまり新しい音楽を聴いてないんだけど、みんながわりとヴィンテージの楽器を使ってるから、最新の設備でいかに新しい音を出していくかについて調べたりしてる。でもそれが結構難しいので、もうちょいかなっていう」

――もうちょいですか(笑)、がんばってください! では最後になりますが、これからSPECIAL OTHERSとしてやりたいことはありますか?

宮原「〈SPE FES〉かな」

芹澤「そうだ、フェスだよね。いちばん考えているのは」

宮原「フェスと言わずとも自分らのイヴェント」

――具体的に予定はあるんですか?

芹澤「まだ構想段階だけど、完全に自分たち主導で出演者を決めるような」

――楽しいですね、そういうの。

又吉「あと海外ツアーかな」

宮原「いいね。やりたいことがいっぱいあるな。またアコースティックでも出したいしね。曲のストックが10曲ぐらい揃ってるから。(前作と合わせて)アルバム2枚出せばツアーも回れそうだし。エレクトリックでもさらにアルバムを出したい」

柳下「コンセプトを設けたライヴもやりたいな」

宮原「水着限定とか?」

柳下「そういうの」

――本当に……?

芹澤「ミュージック・ビデオになってる曲はやりませんとか、アルバムに入ってる曲はやりませんとか?」

――普段ライヴではやらないような、裏ベスト的セットリストだと新鮮かもしれませんね!

柳下「1時間音を止めずにずっとセッションしますとか、いろんなパターンがあるなと思って」

――ひとつずつ実現していってください!

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