インタビュー

妄想プリンセス・吉澤嘉代子、ポップなラヴソングばかりを集めた新作『秘密公園』と初恋や孤独について語る

妄想プリンセス・吉澤嘉代子、ポップなラヴソングばかりを集めた新作『秘密公園』と初恋や孤独について語る

今回の妄想の矛先は、とんでもなくポップなラヴソング集。秘密の公園を抜けて辿り着くのは……カラフルな恋のパラレルワールド!

 今年3月にメジャー・ファースト・アルバム『箒星図鑑』をリリースしたばかりのシンガー・ソングライター、吉澤嘉代子が早くも新作を完成させた。『秘密公園』はラヴソングばかりを集めたミニ・アルバム。なにしろ妄想プリンセスの吉澤だけにヴァラエティー豊かな恋物語が並んでいるが、なぜ今回はラヴソングがテーマだったのか? 彼女はその理由をこう説明する。

 「いま私ができるイケイケなアルバムを作りたかったんです。王道というか、ガツンとくるポップなものを。そういう曲を集めていったら全部ラヴソングだったんですよね」。

吉澤嘉代子 秘密公園 e-stretch(2015)

 なるほど彼女の言う通り、本作はポップで弾けた曲ばかり。オープニング・ナンバー“綺麗”から、ハープ、ヴァイオリン、グロッケンシュピールなど多彩な楽器を織り交ぜたゴージャスなサウンドで恋する気持ちをドリーミーに歌い上げる。

 「〈綺麗〉っていう漢字が、すごくキレイだなと思って、字のイメージから曲を作り上げていったんです。音はやっぱり煌びやかなものにしたいと思っていて、なかでもハープはどうしても入れたかった。ずっと前からハープは使いたかったんですけど、〈この曲しかない!〉と思って」。

 続く“ユキカ”は甘酸っぱい初恋ソング。〈自転車はETさながら あなたを映した月まで連れてゆくよ〉というフレーズには、彼女自身の思い出が含まれているとか。

 「中学生の頃、コンビニの深夜バイトの店員さんを好きになって、ヴァレンタインデーにチョコを渡したことがあるんです。その帰りに自転車に乗ったら、ふわふわ浮いているみたいで。その感覚が記憶に残っているんですよね。恋する感じって自転車で空を飛んでるみたいだなって」。

 そのほか、「ブライアン・メイクイーン)ばりのギターが鳴り響く」という“運命の人”や、「シュープリームス〈恋はあせらず〉の続編のつもりで作った」というモータウン・サウンドが楽しい“キスはあせらず”など、クラシックなサウンドを採り入れながらカラフルなアレンジとドラマティックな語り口で恋物語を展開していく。そして、アルバムを締め括るのは唯一のバラード“真珠”。孤独をテーマにしたこの曲は本作のキーになる曲だ。

【参考動画】シュープリームスの66年作『The Supremes A’ Go Go』収録曲“You Can't Hurry Love(邦題:恋はあせらず)”

 

 「今回の収録曲ではいちばん古くて21歳の時に書いた曲remesなんですけど、この曲が今回のアルバムの核になっているんです。孤独って世間ではネガティヴなものとして捉えられているけど、誰もが心に家族も恋人も立ち入れない領域を持っているし、独りの時間は大切だったりすると思うんですよね。だから孤独を否定も肯定もしない曲を作りたいと思ったんです」。

 恋と孤独はコインの裏表。いちばん若い頃に書いた曲なのに、この曲がいちばん大人びて聴こえるのは、彼女が幼い頃から孤独な時間に想像力を養っていたからだろう。そして、アルバム・タイトルについて訊ねると彼女はこんなふうに答えてくれた。

 「恋をした瞬間に秘密が生まれると思っていて。『秘密公園』は恋をすることによって迷い込んだパラレルワールドなんです」。

 では最後に質問。今回のアルバムで実際に恋をしている時に書いた曲はありますか?

 「ええっ!? えっと……ありますけど、どの曲かは訊いちゃダメですよ!」。

 そう、彼女も『秘密公園』に迷い込んだ乙女のひとり。そこで摘んだ花が歌になるのだ。ようこそ! 恋のパレラルワールドへ。

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