キャリア18年で初のソロ・アルバムは、THA BLUE HERBの盟友O.N.Oの音を離れ、90年代的な王道ヒップホップ・サウンドを軸にラッパー勢ともマイクを交えた作り。逆境や重圧に立ち向かう意志が〈3.11〉以降のムードともリンクしたTBHでの『TOTAL』を経て、少年期やラッパーを志した頃~下積み時代の回想に根を張った個人史的な側面を強く打ち出している。闘うことにみずからを駆り立てた過去を消化しその矛を収めた姿は、かつてディスしたYOU THE ROCK★との共演“44 YEARS OLD”(制作はDJ YAS)に象徴的。〈笑えねえ世を笑え〉と歌う“MATCHSTICK SPIT”や、PUNPEE製の“SEE EVIL, LISTEN EVIL, SPEAK NO EVIL”で投げかける〈ONE LOVE〉に改めて活動の軌跡を見る一作だ。