時代の空気をたっぷり含んだシンセの音はパーティー開始の合図! ファッショナブルなアイコンを擁するユニットが全国デビュー!

 2010年代以降、海外とフラットに興味をシェアする新鋭が続々登場する日本のインディー・シーン。なかでも東京を拠点に活動するeimieは、フロントを務めるAmy(ヴォーカル/プログラミング)の華やかな佇まいと、ニューウェイヴからチルウェイヴまでを横断する音楽性が、チャーチズスカイ・フェレイラグライムスにも通じる魅力を持つユニットだ。

 結成は2014年。Amyが在籍したGO RETROの解散を機に、マニピュレーターのTakumaが彼女を誘い活動を開始。Amyと綴り違いのユニット名は、そのカナダ留学中のイングリッシュ・ネームをもじって左右対称にしたもので、彼女をアイコンにしながらも、2人の有機的なやりとりで楽曲が生まれていくそうだ。

 「私が書いた曲を、Takumaが伝わりやすい形にアレンジしてくれるんです。私が0を1にして、彼が1を10にするイメージですね」(Amy、以下同)。

 2人は親交の深いSuchmos、そしてAwesome City ClubYkiki BeatThe Fin.らにも刺激を受けつつ、2015年3月に初シングル“Carnival”を一部店舗限定で発表。そして今回、初めての全国流通盤『Silver Fox E.P.』を完成させた。

eimie Silver Fox E.P. Maxtreme(2015)

 まず印象的なのは、以前より顕著になった、往時のデュラン・デュランなどにも通じる80sポップ風の要素。表題曲ではシンセの煌めきが昂揚感を煽り、以前からライヴで披露していた“Fireworks”ではエリー・ゴールディング“Stay Awake”を影響源にしつつ英詞と日本語詞をミックス。そこに占いをテーマにした“Horoscope”や、原曲と大幅に異なるリミックスを加えた全4曲を収録している。全体の雰囲気は、グライムスがリアーナへ曲提供する話題が持ち上がったり、ブラッド・オレンジがスカイ・フェレイラの楽曲を手掛けたりする、時代の空気感ともリンクするものだ。

 「例えばトーヴ・ロースカイラー・グレイシーアのように、曲提供もできる存在になりたいです。そして、海外でも通用するアーティストになっていきたい」。

 今夏は〈出れんの!?サマソニ!?〉で〈いしわたり淳治賞〉を受賞して〈サマソニ〉に初出演。「より大きなステージに出たい」という気持ちを抱く機会にもなったそうだ。では、初の全国流通盤を出したいま、活動への思いは変わったのだろうか?

 「その時のベストを作ろうと思っているだけで、何も変わっていないです。でも、より私たちの音楽を聴いてくれる人が増えて、みんなでパーティーができたらいいな」。

 東京から全国へ、そして世界へ。いままさに活躍の舞台を広げるeimieの今後に注目を!