Suchmosのギタリストが、ヴォーカルと作詞作曲に加えてあらゆる楽器をみずから奏でて作り上げた初のフル・アルバム。土屋太鳳の艶やかな歌声が映えるブラコン調のミディアムをはじめ、ラリー・カールトンやリー・リトナーを思わせるインスト、はっぴいえんど風のフォーク・ロックなど曲調は幅広いが、ベースにはソウル~ファンクのメロウでブリージンな味わいとシティ・ポップ的な親しみやすさがある。地元・湘南の風景や時間の流れを綴る詞と、若き日の小沢健二を思わせるテンダーで素直な歌い口も好ましい。ギターのフレーズや音色をときに淡く、ときに緻密に重ねて空間を彩色する手際の鮮やかさは、Suchmosでも彼のギターが楽曲のカラーやエッジを際立たせていたことを再認識させる。