ソウル回帰な前2作がR&Bファンを熱狂させたノエル・ゴーディン。ボストンとミシシッピでの生活経験に基づく、都会的なエレガンスとダウン・ホームな感覚の両方が滲む歌こそ彼の魅力だが、まさにその両面を表すのであろうアルバム・タイトルを冠したこの3作目こそ最高傑作と言いたい。デビュー時にも関わったケイ・ジー一派のマルセラス・ドーソンが大半を手掛けており、先行曲“Heaven Knows”などの郷愁ナンバーをはじめ芳醇なソウルネスを感じる楽曲と、地声とファルセットを駆使する甘苦い歌声は不変。それに加え、アル・グリーン風味や陽性サザン・ソウルも際立つ楽曲群には、前2作よりも華やかで開放的なムードが漂う。本作で唯一イマイチなジャケも、そんな明るさの表れだと思えば許せよう。