音楽評論家が紡ぐミステリアスな〈ミュージック × タイムトラベル小説〉。いったいなんのこっちゃ。読んでみると納得する。楽器、オーディオ、機材、ミュージシャン、物語の全般にわたって細部に音楽がちりばめられている。製作者でもありエンジニア、演奏者でもある音楽評論の第一人者:高橋健太郎が初めて小説執筆に挑んだ意欲作。叔母の失踪を告げる一本の電話から物語は始まる。タイムスリップと交錯する登場人物と時間軸。そしてたどりつく結末。情感溢れる世界観の中に、生々しいまでに詳細に描かれた音楽描写が異様なリアリティを生む。音楽ファンも納得の名小説の誕生だ。