ポピュラーミュージックの功労者に贈られるガーシュウィン賞の受賞にちなんで企画されたカントリー界の重鎮によるガーシュウィン曲集。ウィリーのガーシュウィンといえば78年の名作『Sturdast』収録の《Someone to Watch Over Me》だが、本作でも再演。今回はグッとジャズ色強め、というかアルバムどこを切ってもジャズ。ウィントン・マルサリス、ノラ・ジョーンズとの共演盤も記憶に新しいが、お馴染みのガーシュウィン・ナンバーで滋味溢れるウィリーの歌声はより伸びやかにスウィングしている。シンディ・ローパー、シェリル・クロウとのデュエットも楽しげ。
ふと気付けばウィリー翁の新作が届く――ここ数年はそんな状態が続いているが、82歳を迎えた今日も元気に音楽を奏でる御大の笑顔に触れられて嬉しい限り。ガーシュインの名曲集となったジャジーでレトロな本作も、例に漏れず最高の笑顔が浮かぶ素敵な内容だ。気持ち良さげにスウィングしまくる歌声の変わらぬ味わい。この安定感は流石である。シンディ・ローパーやシェリル・クロウとのデュエットも雰囲気たっぷり。