黒沢清監督最新作は死んだ夫と生きている妻の永遠の別れを描いたファンタジーであり、ホラーであり、ロードムービーであり……非常に不思議な映画。生と死、現実と幻想が交差し、その境界線をあえて非常にあいまいにしたことが観る者に想像を与える。夫との別れを前提に旅に出る深津絵里の姿はとても美しく、どうしようもなく切ない。物語が進むにつれて夫婦ひとつひとつの会話が重みを増し涙を誘う。脇を固める俳優陣も素晴らしかった。出演時間こそ短いが蒼井優の存在感は圧倒的。深津絵里VS蒼井優の〈女の対決シーン〉は必見。ある意味男性はホラー的な演出のシーンよりもこっちの方が怖いかも……。