フュージョンの美味しいところと歌モノの魅力を融合した自信作

――日本を代表するフュージョン・バンドTRIXが、結成13年目にして初めてヴォーカルをフィーチャーしたアルバムを発表。その真意をリーダーの熊谷氏に聞く

 「僕が作曲をする理由は、ドラムでリズムを刻むだけでは想いの全てを表現できないからなんです。最近はそれでも足りないと感じ始めて、それでボーカル曲も選択肢の一つとなったわけです。もともと僕が書く曲はメロディだけを聴けばJ-POP的なので、詞は乗せやすいんですよ。そこでヴォーカリストのいる別バンドを組もうと企てたこともあったんですが、うまくいかなかった。ならば自分で歌ってしまおう、TRIXでやってしまおう、ということです(笑)」

TRIX EVOLUTION ELECTRIC BIRD(2016)

――ヴォーカリストの位置付け、作詞について

 「80~90年代のヴォーカリストは上手いということが絶対条件でした。でも今は違う。むしろメッセンジャーとしての役割が優先しているように思えます。さらにヴォーカル・プロセッサーの進歩もあり、楽器プレイヤーである僕たちもこれまで封印していた “歌う” ということにチャレンジできる時代になった。作詞するにあたっては、メッセージを主軸に考えました。対象を限定せずに抽象的な部分を残し、あえて回答を用意しないで自由に受け取ってもらえるように意識しています。インストがイマジネーションを膨らませて聴く音楽であるのと同様に、歌詞にもそんな自由な広がりを残しておきたいんです」

――つのだ☆ひろとの奇跡のコラボレーションが実現

 「ドラマーとして大先輩であり、ヴォーカリストとしても一流のつのださんだけに、どういった共演にしようかと悩みましたが、スキャットという形で自由にやっていただきました。結果的に、フュージョンをベースにJ-POPのエッセンスを、さらにつのださんのテイストを盛り込むことが出来たと思います」

――ニュー・アルバムには見どころ聴きどころが満載

 「フュージョンの美味しいところと歌モノの魅力を融合した自信作です。ヴォーカル曲も表現方法の一つなので、今後もアルバム1枚に2曲くらい入れてみたいですね。今回はとにかくメロディをシンプルにして、ワードを印象付けることにエネルギーを注ぎました。もちろん演奏もおろそかにしていません。僕と須藤さんのリズム・セクションは他では聴けないくらいの筋金入りフュージョン・スタイルだし、キーボードのAYAKI、ギターの菰口雄矢という若手2人の神業プレイも要チェックです。エアロスミスの『ジャスト・プッシュ・プレイ』で有名な空山基さんによるジャケット・デザインもカッコいいでしょ?。とにかく、いろんな人に聴いてもらいたいですね」

 


LIVE INFORMATION
TRIX LIVE INFORMATION


○8/31(水)札幌 KRAPS HALL 
○9/19(月・祝)日立 GEORGE HOUSE
○9/21(水)仙台 LIVE HOUSE enn2 
○9/25(日)汐留 BLUE MOOD
○9/27(火)福岡 Gate’s 7 
○9/28(水)岡山 MO:GLA
○9/29(木)京都 LIVE SPOT RAG 
○9/30(金)名古屋 THE BOTTOM LINE 
○10/05(水)渋谷 Mt.RAINIER HALL
http://homepage2.nifty.com/ost-noriaki/trixtour.html