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武道館はすごく立ちたい場所だからこそ、無理してやるのは違うと思った(Nao☆)

――NHKの「MUSIC JAPAN」(2015年8月30日放送)の出演もありました。

Nao☆「“光のシュプール”で〈MJ〉に呼んでくださった方は、もともと『ポップジャム』にいた方で、Negiccoはずっとがんばってるから呼びたいと常に言ってくださっていたんですけど……」

――なかなか良いタイミングがなかった。

Nao☆「はい。何か結果を残さないと出られなかった。だから“光のシュプール”で出られる理由を作れたということですよね」

Megu「NHKホールでのワンマンも、デビュー当時に『ポップジャム』(2004年9月10日放送)に出たってことだけじゃなくて、〈MJ〉さんがあったからこそ自分たちの思い入れがまた増えて、自分たちにとっても大切な場所になった」

――〈MJ〉では、かつて共演した(渋谷O-WEST/2004年10月29日)こともあるPerfumeとの再会と、その流れでの〈Perfume FES!! 2015~三人祭~〉(2015年9月22日)への出演というドラマもありましたよね。

Nao☆「PerfumeさんをO-WESTで観たときに、マットを敷いて念入りにストレッチしている姿や、ステージに向かう姿勢がすごいなと思いました。そのあと『GAME』ツアーで新潟に来られたとき(新潟LOTS/2008年5月10日)に挨拶させていただき、あ~ちゃんに〈また同じステージに立ちましょうね〉と言われて、そこでがんばらなきゃという気持ちにさせてもらったんですよ。Perfumeさんが広島から出てきて、がんばって大きくなっていった姿を見て、もしかしたら自分たちにも可能性があるかもしれないと思わせてもらえたし。その〈同じステージ〉というのが、どういう未来になるのかなと思っていたんですけど、〈MJ〉さんで共演させてもらったあとに、あ~ちゃんが〈今度、『三人祭』というのを武道館でやるんだけど、そこにNegiccoさんも呼びたいと思ってる〉と言ってくれて」

――Perfumeとの関係はホントに美しいですよね。同じ苦労がわかる仲間という感じで。

Nao☆「Perfumeさんとのライヴで初めて武道館に立てて良かったなと思いました。Perfumeさんは、Negiccoがずっと武道館に立ちたいと言っているのを知ってくれていて、〈この場所を練習台だと思って〉と言ってくださったので、すごく良い景色を見せてもらえた。武道館では、みんなで“Puppy love”を歌うことになったんですけど、リハーサルのときにPerfumeさん自身が進行をしていたんです。スタッフさんが言うんじゃなくて、Perfumeさんの気持ちでみんなを動かしていて、それがホントに自分たちのやりたい形でもあるし、素敵だなと思った。Perfumeさんがああいう空気感を作り出したからこそ、良いライヴになったんだなと思います」

Megu「だからNHKホールでもPerfumeさんのTシャツと靴下でリハーサルしました!」

Nao☆「私もPerfumeさんの靴下でした!」

――かえぽはどうでした?

Kaede「2004年にPerfumeさんと共演してるというのはあるんですけど、そこまでNegiccoのことを知ってくれてると思ってなかったから、『GAME』ツアーのときに一人一人の名前を知ってくれていて、すごくビックリしたんですよ。〈MJ〉で楽屋に行ったときも、〈ぽんちゃはカレー好きなんだよね〉みたいな話が自然に出てきて、ホントにNegiccoのこと思ってくれてるんだなと感じました。〈MJ〉に出られたことで今回のNHKホールにも繋がっているし、いろんなことが繋がってきてるなと思います」

Nao☆「ただ、そのときに〈(目標である自分たちの)武道館のライヴどうする……?〉という話にもなって。すごく大変というか、たくさんの人を集めなければいけないという現実や、自分たちのレヴェルをもっと上げなきゃいけないということを実感して……」

――じゃあ、その流れで7月30日のNHKホールのワンマンの話を訊いちゃいましょうか。アンコール明けに衝撃的なMCがありましたよね。

Nao☆「これを言っていいかわからないんですけど。ホントは映像で発表する予定だったんですよ。というのは、結成13周年のお祝いのライヴとは言っても、去年の野音で〈来年は自分たちの単独公演で武道館に立ちます!〉と宣言して、ファンの皆さんの期待も大きくなっていたり、やっぱりNHKホールの次となれば、その報告だと思ってる人も多かったと思うので。Perfumeさんが武道館に立ったときから自分たちも立ちたいと言ってきて、去年の野音では行けそうな気がしていたんですけど……。でも、やっぱり客席が埋まった状態の武道館が見たいですし」

――武道館公演は無理すればやれないこともないだろうけど、それで良いのかという考えで、〈いまの私たちには厳しいと実感しました〉と言ったわけですよね。

Nao☆「すごく立ちたい場所だからこそ、無理してやるのはちょっと違うなと思いはじめて。その夢が自分たちを追い込んじゃっていて、周りの関係者にもすごく焦ってる人がいたし、Negiccoもそれを感じて焦ってるし、その変な焦りがライヴに出ちゃっていて、良くない方向に行っていると思いました。前にスタッフさんといろいろ話す時間があったときに、〈いままで一歩ずつ進んできたんだから、それがあなたたちらしい部分だし、楽しまなきゃ〉と言ってもらって。VTRで発表しようとしたのは、あのライヴのなかでは、そこがすごく言葉に気を遣うポイントでもあったので、ちゃんと伝えなきゃいけないことを緊張して何も言えなかったり、違うこと言っちゃったりしないようにしたいなと思ったから。でもVTRを撮ったときから、なんかちょっと違うかなと思っていて、スタッフさんから〈やっぱりVTRじゃなくて本人たちの言葉で言ってもらうことにします〉と言われたときに、それが良いなと思った」

――〈大事なお知らせがあります〉と言われたから、あのときは会場に緊張感が走りましたよ。

Nao☆「解散かと思った人もいたみたいで。あの空気を作るのが難しかったですね。作れていたかはわからないんですけど、あんまり深刻になりすぎてもいけないし、あんまり笑顔でもいけないし。〈この1年の活動を通じて……〉と言ったとき、〈おお!〉という声が少しあったので、それを掻き消すのが大変で、そうすると自分の言いたいこともちょっと空回っちゃったり……。いちばん最後に〈これからも応援よろしくお願いします!〉と、元気良く明るく伝えるつもりでいたんですけど、いざ立ってみるとファンのみなさんが〈えー!?〉みたいな感じにならないかな、でもきっと温かい方が多いから、ちゃんと見守ってくれるんじゃないかとか、いろんな想像しながら喋って……」

――〈それでいいよ! 無理しなくていいから、ゆっくりと武道館をめざそう!〉という空気になっていましたね。

Nao☆「はい、温かい感じがして、最後は誠心誠意〈ホントに応援よろしくお願いします!〉という感じになりました」

Megu「武道館を目標にしつつ、それに向かって一歩一歩努力していくっていう目標がまた出来て、ホントにずっとNegiccoとして続けていけるんだなっていうのが道として見えたので、さらにがんばりたいなと思いました」

――3人ではどんな話し合いをしていたんですか?

Megu「今年中に武道館は厳しいということを、ステージから伝えるのか伝えないのかを話し合いました。野音で宣言しちゃった以上は何も言わないのも違うし、言ったほうがNegiccoらしいし、ほかのグループとも違う感じになるなって」

――あれで正解だったと思いますよ。

Megu「武道館に立ちたいと言っていたアイドルも、実際に立ってから次のステップにいくのが難しいというのを聞くんですよね。Negiccoはまた違う道――アイドルだけど違う道に行くというか、新しい形を切り拓いていけたらと思います」

Nao☆「良かったよね。ちゃんと伝えられたことで自分たちも安心したし、NHKホールで言ったことでまた新しいスタートになった」

――武道館を諦めるのは、NHKホールのチケットが売り切れなかったことで決意した感じなんですか? あの公演の集客に苦戦しているらしいと聞いて、コンバットRECがTBSラジオ「たまむすび」でNegiccoについて語ったり、ボクもTwitterに過去のインタヴューを貼ったりと活動を始めたんですけど。

※ビデオ考古学者。Negicco“光のシュプール”のミュージック・ビデオを監督している

Megu「見ました。ありがとうございました」

Nao☆「NHKホールはもう少しで売り切れだったので惜しかったんですけど、武道館をめざすことを考えたら全然集まってなかったから、そこで焦っちゃって。最初は落ち込んでいたんですけど、冷静になったらそうじゃないなと思いました。少しずつでも着実にお客さんは増えていってることはわかっているので」

――ライヴ会場での、あの物販列を見ればわかりますよ。ボクも江口寿史先生イラストのTシャツを買えなかったぐらいですからね。NHKホールは良いワンマンでしたけど、ああいう場で初期曲をやってみてどうでした?

Nao☆「恥ずかしくなるね」

Kaede「恥ずかしいし、13年経ってるのに“恋するねぎっ娘”の上達しなさがちょっと(笑)。昔のほうが声高かったなと思って、改めて難しい曲だなと思いました」

――最近はライヴでやってないから、スキルアップもしなさそうですしね。

Kaede「初期曲を中心にしたパートが最初にあったことで、(前回のツアー・ファイナルの)中野サンプラザ(2016年4月27日)みたいな緊張感がなかったというか、和めたし、お祭りみたいな感じでできたのはすごく良かったなと思いました。いちばん最後だけ失敗しちゃったんですけどね。捌けるタイミングが掴めなくて(笑)」

Nao☆「“ネギさま! Bravo☆“で久しぶりにサンバ・ホイッスル吹きました」

――あれ、観ていて大変そうだなと思いましたよ。

Nao☆「大変でした。リハでは楽に吹けていた笛も、本番だとすごい動悸が(笑)。私どんな顔してるんだろと思いながら吹いていて」

――うしろの大きなスクリーンに、すごくしんどそうな顔が映ってましたよ(笑)。

Megu「でも、必死な何かは伝わるよ!」

Nao☆「笛吹いてる顔を想像すると恥ずかしいよね」

Megu「確かに」

――NHKホールは、かえぽの歌も良かったですよ。

Kaede「ありがとうございます。完璧ではなかったですけど、リハーサルのときから今回は大丈夫かもという気持ちになれていました。リハ通りにやろうと思ったら失敗しましたけど、そこまでは気にならないというか。中野のときは緊張感がすごかったんですよ。会場からの圧みたいなのが」

――会場からの圧!

Nao☆「NHKホールは〈お帰り〉という感じで、すごく温かったんですよね。NHKホール自体がNegiccoを迎えてくれている感じがあった。中野サンプラザはちょっと迎えてもらってない感じがあったんです」

Megu「だから、ずっと緊張はしてたよね」

Kaede「すごく緊張してた」

Megu「中野サンプラザと同じことはできないという気持ちがあったし、NHKホールは特別な場所だから、みんなで楽しみたいという気持ちが大きかったので、私はそんなに緊張しなかったんですよ。それでテンションが上がりすぎちゃって」

Nao☆「でも私は何回か見てるよ。ぽんちゃが自分の歌わないところでマイクを構えているの。 “江南宵唄”のダンスするところとか」

Kaede「歌ってないところもあったよね」

Megu「あった(笑)。気持ち的には緊張してなかったんだけど」

Nao☆「そうなんだ。すごく緊張してるのかな、大丈夫かなと思った」

Kaede「確かに、表情を見てて大丈夫かなって」

――いちばん高まってるようには見えましたね。

Megu「高まりすぎて、最後ジャパネットの高田社長みたいな声になっちゃって(笑)」

Nao☆「私、あれ笑っちゃった(笑)」

――かえぽも楽しそうに見えましたね。

Kaede「楽しかったです。ホントにホーム感が強くてめっちゃ楽しかった」

Megu「映像でのconnieさんのナレーションも良かったよね」

――ボクの隣で コンバットREC一家が観ていて、娘さんが〈Negiccoちゃんのオッパイ吸いたい!〉と叫んでたんです(笑)。ビックリしていたら、まだ断乳してなくて、お母さんみたいに親しみやすいってことだったみたいですね。

Megu「おもしろーい! 娘さん、“トリプル!WONDERLAND”で燃え尽きたと言っていて、可愛かったな」

2015年作『Rice&Snow』収録曲“トリプル! WONDERLAND”
 

――そういえば、4年前のインタヴューを読み返したら〈野音が夢だ〉と言ってたんですよね。

Kaede「言ってました。高校生ぐらいのときに野音行ったことがあって、そのときに、ここに絶対立ちたいと思った。でも、まさかね」

Nao☆「昔、ライヴを観に野音に行こうとしてチケットを取ってたんですけど、熱を出して行けなくなっちゃって。その後に、(東京)女子流ちゃんの野音ライヴのDVDを観て、マジで野音に立ちたい、しかもバンド編成で立ちたいと思っていたんで、すごく嬉しかったです。いつか、もう1回野音でやりたいなと思っています」

Kaede「単独でやりたいね」

Megu「やりたい」

Nao☆「でも、会場がなかなか取れないんだよね。それも奇跡だった」

 

新潟の人から〈地元が誇れるグループ〉と言われることが多くなった(Nao☆)

――個人的には、ボクが司会をやった光が丘のイヴェント〈Hikarigaoka Girl’s Pop Wake〉(光が丘IMAホール/2016年1月23日)での、メンバーだけで移動しなきゃいけなくなっちゃった事件も印象深くて。辿り着けるかどうかわからないハラハラ感が最高でしたよ!

Megu「ありがとうございます。交通費を茶封筒で渡されたヤツですね」

Kaede「3人で移動したからね」

Megu「乗り換えがわからなくてすごく焦りました」

Kaede「大宮? 東京? なんか難しかったんだよね。3回ぐらい乗り換えしなきゃいけないと言われて、〈もう無理〉と思って」

Nao☆「大江戸線って乗ったことないしわかんないし。帰りもファンの人と電車で遭遇して、目の前に座って〈どうしよう? どうしよう?〉と」

――役割としては、どういう感じだったんですか?

Kaede「ぽんちゃがiPhoneで調べてくれて〈こっちだよ〉と言われて、〈いや、たぶん逆だと思う〉と私が誘導したんだよね」

Megu「ああ、そうだ」

Nao☆「私は2人に付いて行くだけだったので。最近やっと電車を調べて〈こっち!〉と言えるようになってきたんですけど、光が丘とか難しい場所は2人に任せて」

――あのとき、Nao☆さんがSuicaを使ったことがなかったと言っていたのが衝撃的で。〈新潟はSuica使わなくていいんですよ〉と言うので、〈そうなんですか!?〉って2人に訊いたら……。

Megu「ガンガン使ってますよ(笑)」

――初めてSuicaを使ってみてどうでした?

Nao☆「こんな便利なものがあったのかって」

――ぽんちゃについてきてもらって、使い方を教えてもらったんですよね。

Nao☆「チャージの仕方を教えてもらったり、コンビニでの使い方を習ったり」

Megu「飲み物を買ったとき、〈うわっ!〉と言っていて」

Nao☆「東京メトロ乗るときに、JRの切符を買って乗ろうとして止められた理由がわからなくて。アプリの電車案内とかもSuica案内という感じじゃん」

――Suica案内?

Megu「私もわかりません(笑)」

Nao☆「次この電車に乗るにはこれくらいかかる、みたいな。あの乗り継ぎは切符を買うと間に合わないでしょ」

Kaede「ああ! 最近マネージャーが各自にSuicaを支給してくれたんですよ。これまで熊さんが切符を買ってみんなに支給して領収書を切って、とずっとやってたんですけど、〈みんなにSuicaを持たせたほうがラクですよ〉と言われたらしく。やっとスムーズに移動ができるようになりました」

Nao☆「(電車が)1本違うだけで全然違うから。Suica最高です。ホントに大好き!」

 

――あのとき司会をやっていたバニラビーンズが、努力の果てにつかんだ技術で笑いを取っていたときに、努力じゃないSuica初体験話でNao☆さんが爆笑を取っているのを見て、自然体がいちばん強いと痛感させられたんですよ。

Nao☆「Suicaにもっと早く気が付いていれば良かったです。最高! 感動するよね」

――感動はしないです! あのとき共演したChelipが地方アイドルの先輩としてNegiccoをすごく尊敬していて、ハグされただけで泣き出すような展開もありましたけど、そうやって目標とされる立場になったことはどう思います?

Kaede「どうなんだろ?」

Nao☆「そう感じないこともすごい多いから(笑)」

Kaede「この前も〈アイドル横丁〉に出させていただいたとき、隣が生ハムと焼うどんさんだったんですよ。ほかのアイドルが入れ替わり立ち代わり〈写真を撮ってください〉と来ていて、〈売れてる!〉〈カッコイイな〉と思ってました。Negiccoにはそんなに来なかったよね(笑)」

Nao☆「そうだね、そういうところにも出るよね。あそこにでんぱ(組.inc)さんがいたらすごいことになってただろうな。〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉では女子流ちゃんがそういう感じだったんですよ。女子流ちゃんが来ると、みんなが〈女子流ちゃんだ!〉と言っている感じが格好良くて。ああいうの、憧れるよね」

Kaede「うん、Negiccoにはそういうのない気がする」

Nao☆「全然ないよね(笑)」

――〈TIF〉で一緒に写真を撮ったのは嶺脇(育夫)社長とボクだけと言っていた年もありましたからね。あり得ないアイドルですよ(笑)。

タワーレコード代表取締役社長

Kaede「あのとき誰とも撮ってなくて(笑)」

――じゃあ、なかなかそういう実感は得られにくい感じなんですか。

Nao☆「そうですね、新潟の人ぐらいかな。新潟の人がTwitterなどに〈地元が誇れるグループ〉と書いてくれることは多くなりました」