新しい呪いをかける3人――このまま終わると思うの?
呪いというキーワードをコンセプトとする風変わりなアイドル・ユニット、じゅじゅが帰ってきました。今年7月に所属レーベルのイヴェント〈箱祭2016〉で新メンバーを加えて3人体制をお披露目して以降、すでに夏の〈TIF〉や〈@JAM〉などのステージも経験してきた彼女たちですが、その〈@JAM×ナタリー EXPO 2016〉のステージでニュー・シングルのリリースをアナウンス。そしていよいよ満を持して今回“ノロイハジメ”を送り出してきたというわけです。
もともと2014年3月29日に活動を開始したじゅじゅの、結成時のメンバーは〈しらい〉と〈ねう〉の2名。ネガティヴィティーや闇/病みをある種の表現やキャラクターとして打ち出していくアーティストたちが一定の市民権を得た昨今、それ以上に何でもアリになっているアイドル界隈では何が出てきても珍しくはありませんが、ゴスロリな衣装に身を包み、世の不条理や嫉妬、妬み、インターネットの闇などにまつわるネガティヴな詞世界というコンセプトへのこだわりもあって、彼女たちのキャラクターはすぐに名を広めていくことになります。結成から1年後の2015年3月には初の全国流通シングルとなる“idoll”を世に出して初のワンマンも敢行。並行して主催イヴェント〈じゅじゅの宴〉をスタートするなど、ライヴ活動も積極的に展開していきました。8月にはタワレコのアイドル専門レーベルのひとつ、箱レコォズの第1弾アーティストとしてシングル“零”をリリース。今年に入って2月にはファースト・アルバム『イケニエ』を発表して2度目のワンマンも開催——と状況は好調に推移しているかと思えましたが、そんな最中にしらいが卒業。そんな運命を呪ったのかどうか……ねうは新メンバー加入までソロで動いていくことになったのでした。
そして、ねう(写真中央)の元に新たに集まったのは、みのる(左)、みおり(右)の2人。今回のニュー・シングル“ノロイハジメ”は、soeda yusukeが作曲を担当し、じゅじゅの詞世界を支えてきたエンドケイプが改めて〈呪い〉というテーマにフォーカスした原点回帰的なラウド・ナンバーに仕上がっています。〈このまま終わると思うの? 意のまま消せると願うの?〉という歌い出しからダークで不穏な雰囲気は十分ですが、歌唱面では厚みを増したハーモニーや各々のソロ・パートも聴きどころとなりましょう。
カップリングに収められたのは、金川武史のペンによる刹那的な疾走チューンの新曲“全部嘘”と、アルバムに収められていた“イケニエ”の3人による新ヴァージョン。とりわけ“全部嘘”はいつも以上にキャッチーな展開で歌い上げられ、エモーショナルなギター・ソロにも注目したい アグレッシヴなナンバーです。
アルバムではさらに多彩な音楽性も垣間見せていただけに今後のサウンド的な広がりも楽しみになりますが、まずはここからの動きに期待していきましょう。