星と月と太陽の饗宴! 自身の歴史を彩ってきたゲストと共に生み出す音楽宇宙──結成20周年記念の日本武道館公演がいま、丸ごと甦る!!

 頭上で太陽が見守るなか、ステージ上では星が強い光を放ち、三日月から美しいバラッドがこぼれ落ちた昨年11月27日の日本武道館。そんな狂おしくもロマンティックな舞台で結成20周年のメモリアル・ライヴを行ったEGO-WRAPPIN'が、その模様をノーカットで収録したライヴDVD/BD作品「ROUTE 20 HIT THE BUDOKAN ~live at 日本武道館~」をリリースした。

EGO-WRAPPIN' ROUTE 20 HIT THE BUDOKAN~live at 日本武道館~ トイズファクトリー(2017)

「衣装に関しては、最初はハートの形の衣装を提案したんですけど、途中で星の形になって。そして、その星が出来て、月の舞台セットも決まったんですけど、会場の頭上に掲げられている国旗の太陽と合わせて、あの日は武道館が宇宙になったんです」(中納良恵、ヴォーカル)。

 一気に会場のムードを高め、煽るようなサックスのブロウをフィーチャーした“カサヴェテス”で幕を開けると、彼らと長年ステージを共にしてきたTHE GOSSIP OF JAXXの5人に加え、サックスの後関好宏、トロンボーンの滝本尚史、ヴィブラフォン/マリンバの清水一登、バンドネオンの北村聡といった、EGO-WRAPPIN'の歴史を彩ってきたゲストが登場。そのステージには3台のドラムセットが置かれた。

「ずっと一緒にやってるTHE GOSSIP OF JAXXの末房央に加えて、EGOの歴史において強い個性を発揮した2人のドラマー、菅ちゃん(菅沼雄太)と朝倉さん(ASA-CHANG)の存在は欠かせなかったので、今までにないセットになりました。“FUTURE”では自分が叩かせてもらったんですけど、ライヴで叩いたドラムは普段のレコーディングで叩く時とは違う気持ち良さがありましたね」(森雅樹、ギター)。

 甘く豊潤なスカやロックステディを聴かせる“love scene”“a love song”に、ヴィブラフォンを交え、2人の弾き語りで演奏された初期曲の“Finger”。さらに、冒頭部はマイクを置いてアカペラで歌われた“色彩のブルース”、サイレンと拡声器が妖しくエクスペリメンタルな側面を際立たせる“RED SHADOW”など代表曲をズラリと揃え、そのキャリアを濃縮して披露した全27曲。本作は、多面的な彼らの音楽世界を総覧できる、そんな決定的な映像作品になっている。

「このライヴではEGOのいろんな面をできる限り見せたくてセットリストを組ませてもらったんですけど、多彩ではあっても、僕のなかではどの曲にも共通している世界観はあって。もちろん、音楽をジャンルで聴いている人もおれば、録音の空気感を聴いている人もおるし、オンマイクで良い音楽、オフマイクで良い音楽もあるし。僕らとしては、〈大きな意味での音楽〉をただただ自由にやっているっていう、そういう意識ですね」(森)。

 そして、もちろん、EGO-WRAPPIN'の音楽宇宙は武道館に収まることなく、この先も果てなく広がってゆくことになるだろう。

「音楽は人間が授かった大切なもの、記憶とか時間とか、そういうふうに次元を超えられる、すごいツールというか、魔法やなって思うんです。その力を信じてやってきたし、これからもやっていきたいですね」(中納)。

「みんなが安定を求めているところで、僕らは気の赴くままに挑戦、実験した作品を提示して、それを聴いてもらっているので、〈ありがたい〉という気持ちと〈すみません〉という気持ちが入り交じっているんですけど、こと自分たちの作品に対しては、受け入れてもらえるのか、常に不安がつきまとっていたんです。でも、20年目にして武道館でライヴをやらせてもらって、みんなが楽しんでいる光景を前にして、自分の音楽をもう少し信じてもいい気がしましたね」(森)。

EGO-WRAPPIN'の20周年記念関連作。