INTERVIEW

マーキス・ヒルが探求する、ジャズのルーツと今のセンスを自然に融合した表現「次作ではベースをエレクトリックに替える」

写真提供/COTTON CLUB 撮影/米田泰久

 

ジャズのルーツと今風のセンスが自然に融合した表現を探求

 ニューオーリンズやフィラデルフィアなどと並ぶジャズの聖地シカゴで生まれたトランぺッターのマーキス・ヒルは、ノーザン・イリノイ大学でジャズ教育を専攻し、2014年にセロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティションで優勝した逸材だ。今年1月にはマーカス・ミラーのサイドマンとしてブルーノート東京に出演した後、コットン・クラブで自身のバンドであるブラックテットを率い、メジャー・レーベルでのデビューとなる5作目『The Way We Play』の収録曲を中心にした公演を行った。

MARQUIS HILL The Way We Play Concord(2016)

 過去の4作は、スポークン・ワードを織り交ぜながらもトラッドなアレンジによるオリジナル曲で構成されていたのに対して、最新作では様々な時代のスタンダードを取り上げながら、ヒップホップをリアルタイムに通過してきた世代ならではのグルーヴやセンスを繊細なアコースティック・サウンドの中に忍ばせるという、ある意味、過去の作品とは真逆のアプローチになっているのが興味深い。

 ダイナミクスやトーンのコントロールが絶妙なトランペットとアルト・サックスのハーモニーと並んで、ブラックテットの繊細なサウンドの鍵を握っているのが、ジャスティン・トーマスのヴァイブラフォンだ。「マレット4本で演奏するヴァイブラフォンは、ピアノと違って最大4音までしか同時に鳴らせないから、アンサンブルもよりオープンなサウンドになる。このブラックテットを組んだ時には、最初からそういうサウンドを狙っていたんだ」

 今回の公演では、来日できなかったジャスティンの代わりに参加したジェイムズ・フランシーズが、フェンダー・ローズ・エレクトリック・ピアノを弾いていた。「メロウなサウンドのフェンダー・ローズのサウンドは、比較的ヴァイブラフォンに近いと思う。曲を書く時には、今でも頭の中でヴァイブラフォンのサウンドが鳴っているけれどね」

 フランシーズはディレイやサンプラーも駆使しており、バンドはアルバムよりも今風のサウンドになっていた。「次の作品ではベースをエレクトリックに替えるつもりなんだ。今の自分が耳にする音楽は、エレクトリックなサウンドを基調にしたものがほとんどだということに気が付いたし、僕の耳も自ずとそういうサウンドに惹かれているからね。前作『Modern Flows EP Vol.1』でも、アコースティックな曲をサンプリングしたトラックでエレクトリック・ベースを使ったけれど、『~Vol.2』でああいう方向性をさらに追求したい。もちろん、大好きな50~60年代のジャズやビ・バップがルーツになっていることには変わりないけれどね」

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