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FURIOUS MUSIC
数々の名場面を彩り、数多くのヒットを生んだ〈ワイルド・スピード〉シリーズの名サントラをこの機会に振り返ってみよう

 

ワイルド・スピード(2001)

VARIOUS ARTISTS The Fast And The Furious Murder Inc./Def Jam(2001)

ジャ・ルールが本編に出演も果たした関係か、彼を筆頭に当時のシーンを席巻していたマーダー・インクがショウケース的に機能させた一枚。“Put It On Me(Remix)”をはじめとするジャのヒットや、この後に大ブレイクするアシャンティの初単独曲“When A Man Does Wrong”といったインク勢を軸に、(後にタイリースとTGTを組む)タンクやR・ケリーら、ほぼヒップホップ/R&B曲のみで構成されている。そこにWWEでも人気曲だったリンプ・ビズキット“Rollin'(Urban Assault Vehicle)”が並ぶのは、ロック様のシリーズ登場を予見していたのか(なんてことはない)。

 

ワイルド・スピードX2(2003)

VARIOUS ARTISTS 2 Fast 2 Furious Disturbing Tha Peace/Def Jam(2003)

ブライアン中心の物語となった2作目のサントラは、本編に出演したリュダクリス率いるDTPからのリリースに。ブレイク前夜のチンギーをはじめとするDTPクルーの面々がラインナップされ、“Slum”には後にシリーズのサントラ常連となるティティ・ボーイ(2チェインズ)も。本編にメカニック役で出演したMCジンの“Peel Off”があったり、最新作でも腐れ縁な仲で楽しませてくれるリュダクリス&タイリースのコラボ“Pick Up The Phone”には感慨深いものがある。また、マイアミが舞台ということで、ピットブルがすでに“Oye”で番長ぶりを見せているのにも注目だ。

 

ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006)

VARIOUS ARTISTS The Fast And The Furious: Tokyo Drift Universal Motown(2006)

サン・カン演じるハンの初登場など後に繋がる要素は一応あり、ヴィン・ディーゼルのカメオ出演もあるものの、東京を舞台にした奇妙な異国情緒もあってパラレルワールド的な扱いだった3作目(バウ・ワウや北川景子、妻夫木聡も出演)。そんな〈勘違いニッポン〉的な世界観にTERIYAKI BOYZが主題歌を提供するのも皮肉が効いているのか。ファー・イースト・ムーヴメント最初期の音源からDragon Ash、THE 5.6.7.8'sの既発曲まで、欧米人なりのアジア感がコンパイルされるなか、本編への抜擢に先駆けてドン・オマールとテゴ・カルデロンが幅を利かせている。

 

ワイルド・スピード MAX(2009)

VARIOUS ARTISTS Fast & Furious StarTrak/Interscope(2009)

中南米を舞台にドミニクとブライアンが久々に揃い踏みし、以降のアクション巨編化の礎となった4作目。サントラはネプチューンズが総監督を担い、ドミニクの仲間を演じたテゴ・カルデロンの“You Slip, She Grip”などのエクスクルーシヴをプロデュースしている。そこに客演したピットブルは、ファレルとの“Blonco”ほか既発も含めて都合5曲に関与し、本編に出演したドン・オマールもヒットを提供。そんなラテン~レゲトンの爆発力はシリーズのド派手なスケールアップをサウンド面からも支えていくことになる。一方で、ライ・ライとM.I.A.の“Bang”にも注目。

 

ワイルド・スピード MEGA MAX(2011)

VARIOUS ARTISTS Fast & Furious 5: Rio Heist Abkco(2011)

レティは不在ながらも前作で敵だったジゼルが加わり、テズとローマンが8年ぶりに再登場、追っ手側としてドウェイン・ジョンソン演じるホブス捜査官や、ドミニクと恋仲になるエレナも初登場するなど、ファミリーの陣容も整ってきた第5弾。リオデジャネイロが舞台だけにサントラにも大御所カルリーニョス・ブラウンや、ラッパーのMVビル、マルセロD2らブラジル勢が多く名を連ねている。テーマ曲“How We Roll(Fast Five Remix)”と世界的ヒット“Danza Kuduro”を提供したドン・オマールが存在感を見せるほか、リュダクリスの“Furiously Dangerous”も聴きモノだ。

 

ワイルド・スピード EURO MISSION(2013)

VARIOUS ARTISTS Fast & Furious 6 Def Jam(2013)

オーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンス)率いるロンドンの犯罪組織を相手にファミリーが奮戦し、死んだはずだったレティの再登場もキーとなる6作目。サントラからは2チェインズ&ウィズ・カリファによるテーマ曲“We Own It(Fast & Furious)”がヒットを記録し、UKのベニー・バンクスやデッドマウス&サイプレス・ヒルらの多様なラップ・チューンが中心なのは変わらず。一方ではEDM台頭を反映して、ハード・ロック・ソファ&スワンキー・チューンズらのダンス・トラックも目立ち、リュダクリスもデヴィッド・ゲッタ製の“Rest Of My Life”に挑んでいる。

 

ワイルド・スピード SKY MISSION(2015)

VARIOUS ARTISTS Furious 7 Atlantic/ワーナー(2015)

最強の敵としてデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が登場してスペクタクル感も絶頂を迎え、興行成績も過去最高となった7作目は、ユニバーサル系列から初めてアトランティックにリリース元を移したこのサントラも全米チャートを制することに。なかでもウィズ・カリファ&チャーリー・プースの“See You Again”は、ブライアンを演じるポール・ウォーカーの急逝にも重なって各国でNo.1ヒットを記録した。キッド・インクやYGら旬な5MCのコラボや、ディロン・フランシス&DJスネイク、プリンス・ロイスなど、ホットなコンピとしてもバランス良く楽しめる。