ギタリスト・菊地英昭のパッションをさらにスパークさせながら、進化したアンサンブルとエンターテイメント性――ギアを切り替えた最強の4人が華麗なるレースへと臨む!
brainchild'sとは、THE YELLOW MONKEYのギタリスト、EMMAこと菊地英昭の内なる創造力を解放するコラボ型ユニット。2008年の始動以降、多くのミュージシャンがメンバーに名を連ねてきたが、2016年にスタートした現在の〈第7期〉はまさに最強だ。FoZZtoneの渡會将士(ヴォーカル)、鶴の神田雄一朗(ベース)、Jake stone garageの岩中英明(ドラムス)というロック畑の強者たちが集結し、これまででもっともバンドらしい姿になったと言っていい。
「ギタリストに徹したい気持ちと、歌じゃなくてギターで表現したい曲がいっぱい出来たこともあって、それに合わせて集めたのが今のメンバー。ワッチ(渡會)は楽器を持たずに暴れられる、ヴォーカリスト然としたオーラを持っている人で、神田くんは日本人にはいない感じのすごいベーシストだし、岩中くんは昔ながらのドラマーらしい荒々しさと、現代のドラマーの器用さをバランス良く持ってる人。全員が僕のやりたいヴィジョンの核をひとつずつ持っていると思ったんですね」(菊地)。
たとえばフー・ファイターズのような、成熟した大人のロックを――そんなイメージで制作されたという前作『HUSTLER』から約1年3か月ぶり、現体制で2枚目のミニ・アルバム『PILOT』で聴けるのは、より進化したアンサンブルと楽曲のヴァリエーション。荘厳なインスト曲“暁光”から軽やかでファンキーな“Mellow Downtown”に至る6曲では、世代の異なる4人のロック観がミクスチャーされた、ここにしかない音が確かに鳴っている。
「大人ロックと言いつつも、前作はわりとアゲてる曲が多くて、ひとつのカラーで統一されていたので。今回はもっと色を増やして、16ビートのハネてる曲、ゆったりした曲、浮遊感がある曲とか、幅を広げた感じですね」(菊地)。
「ライヴをやってわかったことが多いんですよ。brainchild'sはお客さんのパワー感がすごくて、たぶん僕のことは誰も知らなかったと思うけど、煽ったらちゃんと気持ち良く乗ってくれて、ライヴとして全体で成長していく。“恋の踏み絵”は、そういうパワーのある現場でまたライヴをやるんだなと思った時に、それを上回りたいと思って歌詞を書いた曲だったりします」(渡會)。
グラマラスで挑発的な“恋の踏み絵”、遥かな哀愁漂うメロディーが胸を打つ“Flight to the north”、そして菊地が唯一ヴォーカルもとった、フォーク・バラードのような柔らかな美しさを持つ“白と黒”と、菊地がメロディーメイカーとしての才能を存分に発揮した愛おしい曲たち。なかには歌謡曲的なキャッチーなメロディーを持つ“SexTant”のように、THE YELLOW MONKEYのファンにもすんなり受け入れられそうなタイプの曲もある。
「俺はむしろ、迷ったら吉井(和哉)さんに寄せてます。今回のレコーディングで感じたことがあって、EMMAさんのギターの秘密はリズム感だと思ったんですね。独特のやんわりハネてる感じが、EMMAさんの作る音楽のリズムなんだと。そこに対して世界で一番正解を出せるのは吉井さんだから、“SexTant”みたいな曲はそっちに寄せたほうがいい。THE YELLOW MONKEYは僕にとって永久に憧れのバンドだし、いまだに真似できる対象がいるというのは頼もしいと思ってます」(渡會)。
5月からは、現体制で2度目となるツアーが始まる。テクニカルな楽器バトルや激しいステージングも観どころだが、4人がライヴに臨む姿勢はあくまで自然体だ。
「brainchild's自体が自由なユニットだから、何をやってもいいんですけど、今回のツアーは自由度がさらに増すような気がしますね。全然違うことをやってくる人もいるかもしれないし、今からわくわくしてます。特にこの人(渡會)は、ステージの上で人の心を掴む天才ですからね」(菊地)。
「コール&レスポンスの嵐で、帰る頃には全員喉がガラガラになりますよ(笑)。なんといっても楽しいツアーになると思います」(渡會)。
brainchild'sの近作を紹介。
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