GREAT MUSIC IN THE BLUE SKY!!!
[特集]夏フェスを聴こう’24【前編】

日本の夏=フェスの夏。楽しい日々をもっともっとエンジョイするために、予定を組むのと合わせて、耳の準備もぼちぼちスタートしましょうか!

 この原稿を書いている6月中旬の某日、東京の気温は32度を超え、早くも真夏日となりました。あちー。だりー。と言いつつ、そんなテンションで過ごすのはもったいないというのは、皆さんもおわかりですよね? なぜなら、夏フェスの季節はもう始まっているから! 今年もbounceでは日本各地のフェス情報と、それらの場所で最高潮の空間を演出してくれるに違いない出演アーティストたちのオススメ作品を紹介します! フェスに行く人も行かない人も、どれに行こうか悩んでいる人も悩んでいない人も、いろいろな作品をチェックして、気分を盛り上げていきましょう!


 

©Cal McIntyre

THE LAST DINNER PARTY
エレガントに舞い、恍惚を運ぶUKロックのニュー・スター

 BBCの〈Sound Of 2024〉で1位に選出され、ブリット・アワードの新人賞を受賞、今年の2月にリリースされたファースト・アルバム『Prelude To Ecstasy』は当然のように発売週のチャートでNo.1をマーク(いわゆる〈バンド〉のセールスとしてはこの約10年で最大とのこと)、秋に予定されている5,000人規模の会場を含むツアーは完売続出と、本国イギリスにおいてものすごい勢いでスターダムを昇っているロンドン出身の5人組、ラスト・ディナー・パーティー。クイーンやスパークス、デヴィッド・ボウイなどが引き合いに出されるバロック的かつデカダンなポップセンス、プロデュースを担ったジェイムズ・フォードによるモダンなヘヴィネスを感じさせるサウンドは、日本のリスナー好みでもあり、メディアからも〈UKロックの救世主〉なんて賛辞を集めているわけだが、早くもメイン・ステージへの登場となった今年の〈フジロック〉では、ハイプならざる真価をエレガントに証明するステージを披露してくれるだろう。アイコニックな佇まい、醸し出されるクールネスと色香には、老若男女問わず魅了されてしまうはず。

このたび日本盤がリリースされたラスト・ディナー・パーティーのファースト・アルバム『Prelude To Ecstasy』(Island/ユニバーサル)

 

折坂悠太
折衷的な音世界を作り出すフォーク・シンガーの歌が山間にこだまする

 柔らかいガット・ギターの音色と豊かな倍音を響かせる声を重ねた歌で人気を集めるシンガー・ソングライター、折坂悠太がニュー・アルバム『呪文』をリリース。同作を引っ提げて、〈フジロック〉に出演する。キャリアを振り返ると、2013年頃より人前で歌うようになった彼は、2014年に自主レーベルよりファースト・ミニ・アルバム『あけぼの』を発表。同時期に松井文、夜久一とのろしレコードを設立し、日本のフォーク・ミュージックにおける新たな胎動を印象付けた。その後は、2016年のファースト・アルバム『たむけ』、2018年のセカンド・アルバム『平成』、2022年のサード・アルバム『心理』とコンスタントに作品を発表。ホール・ツアーから全国の寺や博物館での弾き語り行脚まで精力的なライヴ活動で、日本中に豊かな音楽の場を作り出している。今回の新作『呪文』には、ブラジル音楽やネオアコ、ジャズ、アンビエントなどを織り交ぜながら日本の歌モノとして昇華していく折衷的な音楽性をさらに深化させつつ、いつにも増して軽やかで風通しの良いムードが広がる9曲を収録。senoo ricky(ドラムス)、宮田あずみ(ベース)、山内弘太(ギター)、ハラナツコ(サックス)というバンドを従えた〈重奏〉形態での演奏は、こだまの如く山間に響くだろう。

6月26日にリリースされた折坂悠太のニュー・アルバム『呪文』(ORISAKAYUTA)

 

FRIKO
話題沸騰中のシカゴ発ロックンロール・デュオが初来日!

 SNS上でのバズりを起点に、ここ日本が世界のどこよりも半端ない状況になっているフリコ。早くも〈フジロック〉で初来日を果たします! 彼らは、高校の同級生だったニコ・カペタン(ヴォーカル/ギター)、ベイリー・ミンゼンバーガー(ドラムス/ヴォーカル)により2019年に結成され、ホースガールらも関わる地元・シカゴのインディー・ロック・コミュニティーを根城に活動。いくつかのEPを発表したのち、今年の2月にファースト・アルバム『Where We’ve Been, Where We Go From Here』をリリースしました。生々しさを残したサウンド、泣きじゃくりながら叫んでいるような歌声が鮮烈で、そのリアルな感触がフリコ・フィーヴァーとでも言うべき熱狂を作り出しいるのでしょう。今回のライヴはオーディエンスの温度も含めて伝説になりそう。これは体験しておきたい!

このたび日本盤がリリースされたフリコのファースト・アルバム『Where We’ve Been, Where We Go From Here』(ATO/BIG NOTHING)