C.O.S.A.×KID FRESINOの話題作『Somewhere』やCampanellaの大傑作『PEASTA』が相次いで届いた昨年から、YUKSTA-ILLの決定的な『NEO TOKAI ON THE LINE』、さらにはMC KHAZZの『SNOWDOWN』が続いた今年初頭にかけて、ワクワクするような素晴らしい深みをコンスタントに届けている〈NEO TOKAI〉のヒップホップ。そんな好況のなか、いま挙げた作品すべてに関わる名古屋のビートメイカーが一般流通では初のアルバムを仕上げてきた。それ以前からJet City PeopleやRCSLUM周辺で活躍し、ERAやMASS-HOLEへのビート提供、tofubeatsのリミックスなどでも名を知らしめてきた人だけに、限定リリースの自主盤『Dusty』から2年を経ての今回は満を持しての結晶となるが、彼の組み上げるイマジナティヴなドープトロニカは、言わずもがな、そうした文脈から切り離しても美しさを喪うものではない。軋みながら像を結んでは解けるビート、その奇妙なレイヤーが最深部で蠢く不穏な熱を曖昧に映し出している。