CAMPY ROCKS!
~ネオ東海シーンのドープネスを鮮明にする男――CAMPANELLA~

 フリーで発表した2011年の『DETOX』を機に、RCSLUMやJET CITY PEOPLE周辺と共に〈ネオ東海〉シーンの一翼を担う存在となったCAMPANELLA。オフィシャル作品の待たれていた彼が、ようやくファースト・アルバム『VIVID』を完成させた。WDsoundsの後押しも手伝い、今回は盟友RAMZAやYUKSTA-ILLのような東海勢のみならず、Fla$hBackSの3人やSIMI LABのOMSBとMARIA、そしてBUSHMINDらSEMINISHUKEI人脈にThe Anticipation Illicit Tsuboiのミックス(と制作2曲)と、鉄壁のメンツを召集。ドープな手捌きのビートからソウルフルなサンプリング、生ドラムが疾走するダビーなトラックまで、彼なりのフレッシュをアルバムに詰めた。

 「身近な人以外に関してはその人の色が出てる、その人っぽい音が欲しかった。Fla$hBackSのj(jjj)もそう。名古屋にFla$hBackSが遊びに来たとき、ホテルで聴いてたネタでトラック作ってもらって〈これで行こうよ〉って(“I make it”)。Tsuboiさんの“Mothership Connection”に関しては〈このトラックでシンガーを入れたいんだけど〉って言われた時にMARIAの名前が出て。構成は全部Tsuboiさんに組んでもらって大変でした」。

CAMPANELLA 『VIVID』 WDsounds/Pヴァイン(2014)

 そうした布陣は、すべて地元のラップ層を広げるべく彼の用意した「夢のある」展開とのこと。故MAKI THE MAGICのトラックにキエるマキュウとTOSHI MAMUSHIが客演し、サビからマキュウイズム全開の“HIP HOP 女郎地獄”もその一つだ。

 「このアルバムで名古屋にもっとラップを始める奴が増えるような夢のある感じにしたいってなった時に、TOSHI君に誰とやりたいすか?みたいな話をしてたら、ちょうどキエるマキュウとライヴがいっしょで。けっこう話させてもらったのがきっかけで、ダメもとでお願いしました」。

 マキュウはもちろん、そのメンバーであるCQの前歴にあたるBUDDHA BRANDも引き合いに出しながら、「リリックのスタンスも結構影響を受けてるし、そういうラップが基本的に好き」と彼は話す。ライフストーリーに回収せず1ライン1ラインを響かせる歌詞は、まさにその影響というべきか(〈Don’t Test Da Master〉や〈伝道者ILL〉などアルバムにちらほら聴かれるBUDDHA関連のワードにもそれはより明らか)。絡みつく巧みなフロウと併せた彼のラップぶりは、“I make it”での〈宙に浮かんだWORDSキャッチしてまた飛ばす/ワビとサビとヴァースとノリがマスト〉というラインそのままだ。「トラックを聴いてそん時のテンションで思ってることを書く」とは、曲作りについての本人の弁。

 「言いたいことは特にないんすけど、遊んでてムカついたことやアガったこととか、自分の中の気持ちが消えないうちに今回の14曲のタイミングで思ってることを書いた。手法としてやってるわけでもなく、意識もあまりしてないすけど、8割はけっこうしょうもないこと言ってても、2割ぐらいはマジだったりする。ネガティヴなことはあんまり歌いたくないけど、言いたいこと言ってるとどうしても出てきますね」。

 〈GOIN’ BACK/東海再燃させるイメージ〉というラインを含む“new way new game”に始まり、ふたたび〈再燃東海REVIVE〉というサビの“RE:TOKAI”(YUKSTA-ILLをフィーチャー)で締められる『VIVID』。その構成に地元意識を覗かせるのも、彼の活動の軸足が東海、とりわけ名古屋の現場にあるからこそ。本作で彼がなしえた成果ももちろん引いてはそこへと繋がっていく。

 

▼関連作品

左から、CAMPANELLA & TOSHI MAMUSHIの2012年作『CAMPY & HEMPY』(RCSLUM/PRESIDENT HEIGHTS)、DJ ISSO & CAMPANELLAの2013年作『HOPE IS NO HOPE』(諭吉)、MIKUMARIの2013年作『FROM TOP OF THE BOTTOM』(RCSLUM)、2014年のコンピ『JET CITY PEOPLE presents Fat Bob’s ORDER vol.3』(Jet City People)、YUKSTA-ILLの2013年作『tokyo ill method』(RCSLUM)、Fla$hBackSの2013年作『FL$8KS』(FL$Nation/Cracks Brothers)、SIMI LABの2014年作『Page 2: Mind Over Matter』(SUMMIT/Pヴァイン)、キエるマキュウの2012年作『Hakoniwa』(第三ノ忍者)
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